おまけ物語。
「太郎の大冒険」「太郎、敵が現るの巻」
奥に進んでいく太郎達。
果たして花子のペットは見つかるのでしょうか。
しばらく行くと何か物音が聞こえてきました。
更には、木々の間から松明の明かりが消え隠れするのが見えます。
ベアは立ち止まり、太郎達を手を伸ばし歩きを止めました。
指を1本たて口に持っていくと静かにするように合図しました。
全員はその場で止まり物音をたてません。
すると、物音は数人の男たちの声と草の上を激しく歩き回る音が聞こえてきた。
「ベアさん、誰か居るね。」
「ああ。」
ベアは短く答えながら、鋭い目で音のする方向を見つめています。
「静かに進むぞ。」
小さな声でみんなに言うと少しずつ前に進んでいきます。
少し開けた場所で5・6人の男たちがせわしなく動く姿が見てきました。
その男たちは何かを檻に入れる作業をしていました。
どうも生き物を捕まえて檻に入れようとしているのだが、なかなかその生き物は抵抗して檻の中には入ろうとしません。
そしてその生き物がちらっと見えました。
「次郎!!」
花子は思わず声を上げてしまいました。
檻になんとか生き物を入れ終わった男たちが一斉に振り返りました。
「誰だ!」
男たちは声のする方に走り出します。
「逃げるぞ。」
ベアが声をかけると、5人は今来た道を走りだしました。
しかし、ちょっと遅れたプー子が木の根に足を取られ転んでしまいました。
「プー子!!」
プーの助が助けようと戻ろうとしたら、近くにいたベアが手を取り助けに行くのを止めました。
「お前は走れ。ワシが助けに行く。」
そう言うと、向きを変えてプー子を助けに迎います。
しかし、もう遅くプー子はすぐ後ろまで来た男の一人に捕まってしまいました。
「遅かったか。」
その一言で皆は立ち止まってしまいました。
「待て。お前たちは誰だ。」
プー子を捕まえた男が聞きます。
その質問に太郎が答えようとした時にベアが止め、代わりに答えました。
「私たちはそこの町の者だ。」
「何故ここにいるんだ?」
「あなた達が捕まえた生き物を探しに来たのじゃ。」
「あの生き物の事を知っているのか?」
「この子のペットなんじゃ。返してくれんかのう。」
ベアは花子を振り返りながら答えた。
すると男は、
「それは出来ないな。」
男が答える後ろで他の男たちが整列をし始めました。
その横を一人の男が、プー子を捕まえている男に声をかけました。
「どうしたのだ。」
他の男たちとは違う服を着た男が近づいてきます。
その時になってやっと、太郎は男達が兵隊の制服を着ていることに気が付きました。
「隊長。見知らぬ者たちがいまして。」
「見知らぬ?馬鹿かお前は。」
「はいっ?」
「こいつらたちは太郎王子たちだぞ。」
「えっ。」
「それに・・・そこに居る老人は戦士、いや竜戦士のベアだな。」
太郎王子はそれを聞いて、ベアの事を思い出しました。
前にDキングに昔にとても強い戦士が居たことを。
昔、D王国と隣国R王国が連合でW国と戦争をしていました。
その戦争の勝利をもたらしたのが戦士ベアなのを、小さい頃に絵物語のようにDキングから聞いていました。
「よくワシの事を知っておったのぉ。」
「私の父はお前に殺されたからな。」
隊長と呼ばれた男は答えました。
「お前の父を?」
「そうだ。あの戦争の時に前の女王の側近だった父をお前が殺したんだ。私は小さかったがお前の顔をその時にこの瞼に焼き付けたのさ。」
「そうだったのか。」
「悪い事をしたな。しかし戦争というものはそういうものだ。」
「ここで会ったのは神の引き合わせに違いない。お前をこの場で殺す。」
「それはさせれんな。ところでお前の名前は何と言うのか?」
「私は、W国親衛隊隊長、ショウだ。」
ショウは腰の剣を抜きました。
いきなりな展開。
さぁー大変なことになった太郎王子達。
これからどうなるのでしょう?
「やぁー、元気?」何のんきなこと言っているんですか。これからすごい展開になりそうなんですよ。
「そう。ちょっと疲れていて。」どうしたんですか?
「内緒。教えない。」ああ、そうですか。聞きません。
「えっ、聞かないの?」聞きません。
「本当に?少しは聞きたいでしょ?」いや、本当に聞きません。
「教えないよ。いいの?」いいです。
では皆さんまた次回をおたのしみに。
「えー、聞いてよー。」