Storytelling

写真と言葉たち

思考の迷路

夕闇の手招きに従い坂道を上がる
二つの影は角を左へ行くようだけれど
行くべき道が果たしてあるのか、
それともただ歩くことが目的なのか?


そのすぐ脇、石に腰を下ろした男は
手のひらの光る地図を見つめる。
目に映るのは世界か、それとも自分か。
答えを求める彼の静けさに、街は無関心。

そこへ現れるもう一つの影。
軽やかなステップがリズムを刻み、
彼女には、すでに出口ば見えてるかのように、
歩くテンポはクレッシェンドしているかのようだ


都会の迷路の中でそれぞれの影たちは、
迷いながらも、すれ違い交差しながら
迷路を抜ける道筋を
それぞれの地図に描いている。


迷路を抜ける道筋は、すでに足元に
あるのかもしれないし、
無いのかもしれない。


無いのかもしれないし、
あるのかもしれない。


==この写真について==


迷路を抜ける道筋はあるのかどうか?あってもただ気が付かないだけなのか?その前に正しい道筋なのか、間違った道筋なのか、とりあえず、コーヒーでも飲みながらこんな思考の迷路で迷ってみましょう。


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光の雨が街路を染める夜の歌舞伎町

光の雨が街路を染める夜の歌舞伎町
その真ん中で立ち止まったまま、
夢中でスマホにをしている女性がいる。


きっと何か特別な人とメールでもしているのだろうか?
沢山の人が行きかっているのにかかわらず、
きっと彼女にはそんなことも全く気にせず
自分だけの世界に浸っているわがままな女王の様だ。

沢山のお土産を携えた旅行者のグループが、
近づいてきた。


どうやら、彼らは立つ尽くす彼女に
気が付き、彼女に敬意を表するかの如く、
歩く方向を少し右に寄せて彼女を交すらしい。


まるで、異国の輝く月を尊び、
軌道を修正する潮のように。


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沢山の人が行きかう夜の歌舞伎町のこの一瞬、それぞれの人たちはそれぞれの世界に没頭するヒロインたちだ。彼らの無言のストーリーに耳を傾けてみませんか?ほら、テレビばかり見ていないで、静止画も面白いですよ。ここからあなたも自分だけのストーリーを見つけたらいかがでしょう?


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ブティックステージのマドンナ

左から現れた一陣の風。
軽快なリズムをまとった彼女の歩幅は、
まるで街路の五線譜を奏でる音符のようだ。


手にしたスマホはただの道具ではない。
次のステージへの方向を示す羅針盤だ。
行くべき場所は、彼女の瞳の奥にすでに映っている。

ショップ前のポスタースタンドが
彼女に声をかけようとしているが、
きっと彼女は立ち止まらない。


「私が主役」とでも言うように、
ポスターのモデルを置き去りにして、
口では何も言わずに通り過ぎるだろう。


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駅前交差点の横断歩道にて

動かぬ車列が見守る静寂の舞台に
黒いスラックス、黒いマスクの女性が現れた。


右折する車が通り過ぎた後
青になった横断歩道を歩むその姿は、
白いラインをひとつずつ踏み越えながら行く、
白日夢の地図をたどる探検家なのだろうか?

車窓越しの視線を気にも留めず、
その一歩一歩が確信の足音となる。
焦らず、迷わず、急ぐでもなく、
ただ、自分のリズムで未来を紡ぐ。


彼女は目の前の白いマークを、
ひとつづつ、ひとつづつ
丁寧に、確実に、
ひとつづつ、ひとつづつ
クリアしていく。


夢の切れ端が風に舞う交差点ステージの中で、
彼女は過去を背に、今を踏みしめ、未来を引き寄せているヒロインだ。


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雨上がりの交差点にて

雨上がりの交差点を眺めていたら、
一人の少年が、私の目の前にやってきて、
停めていた自分の自転車に乗るためなのでしょうか、
テキパキと何やら作業をやり始めました。


どうやら傘をしまって、自転車に乗る準備を
始めたようです。

おそらく全ての作業は一つのルーチンになっていて、
何度も同じことをしているのでしょう、
どの動きも非常にスムースでした。


なぜ彼がその様な事をしているのかは全く分かりませんが、
彼は自分でやるべき事を自分でしっかりとやり遂げる事に、
真っすぐに向かって突き進んでいる事は良くわかりました。


間もなく、見ていた私には全く気に留めるでもなく、
彼は私の横をすり抜けてペダルを漕いで去っていきました。