Storytelling

写真と言葉たち

駅前交差点の横断歩道にて

動かぬ車列が見守る静寂の舞台に
黒いスラックス、黒いマスクの女性が現れた。


右折する車が通り過ぎた後
青になった横断歩道を歩むその姿は、
白いラインをひとつずつ踏み越えながら行く、
白日夢の地図をたどる探検家なのだろうか?

車窓越しの視線を気にも留めず、
その一歩一歩が確信の足音となる。
焦らず、迷わず、急ぐでもなく、
ただ、自分のリズムで未来を紡ぐ。


彼女は目の前の白いマークを、
ひとつづつ、ひとつづつ
丁寧に、確実に、
ひとつづつ、ひとつづつ
クリアしていく。


夢の切れ端が風に舞う交差点ステージの中で、
彼女は過去を背に、今を踏みしめ、未来を引き寄せているヒロインだ。


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