日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

人目につかぬが宝かもしれず

 

かつて、ナチス・ドイツはユダヤ人から美術品を略奪し、ドイツ精神に反するとみなした作品を“退廃芸術”と決めつけ押収した。若い頃、画家志望だったヒトラーは写実主義を好み、抽象絵画を嫌悪したそうだ。

ドイツ南部のミュンヘンで(ナチスが略奪した)大量の絵画が見つかったなかには、それまで存在の知られていなかったシャガールの作品も含まれていたという。

マティスの抽象画『舟』は多くの人に鑑賞されているが、アメリカの美術館に展示されたとき、上下を間違って逆に飾られていたのに、誰も気がつかなかったという。こうなると、人目にふれるのも良し悪しなのか。

 

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こんな小咄(こばなし)がある。
「店の商品を泥棒に盗まれちゃって…」
「被害額は?」
「助かったよ。50%オフのセール中だったから」。

これを評した立川談志さんいわく<確かに、そうだ。よく“1万円のを2千円で買った”などと言うが、あれは2千円なのだ。それを1万円で売ってただけのこと>と。

これも笑い話では済まず、一昨年の「楽天市場・優勝セール」では現実化している。複数の店舗が通常価格を高く設定し、大幅な値引きであるかのように偽装していたのである。名人・談志師匠があと2年長生きされていたら、どんな落ちを下されたことだろう。

 

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<良い噺家(はなしか)を一人ダメにします。お許しください>。
桂小文治さんの前で手をつき、こう述べたのは映画監督・川島雄三さんだという。
松竹映画『こんな私じゃなかったに』の製作のため小文治さんの(二ツ目の)若手弟子を映画界にスカウトしたときの話である。

その青年はやがて、映画とテレビで超売れっ子になる。当然、高座とは疎遠になった。
桂小金治さんである。

若き小金治さんの『大工調べ』を聴き、落語の魅力にとりつかれたというのは、永六輔さん。川島監督のいう“良い噺家”はお世辞でも誇張でも決してなかったようだ。
落語家の頃は月収4000円だったのが、タレントでは2日間で5000円を稼いだ。
<金に目がくらみ、僕は落語界を捨てたんですよ(笑)>。後年の回想である。

昨年、88歳で亡くなった小金治さんであるが、老境に入いり時折、フリーの落語家として江戸前の小粋な語りで噺を聞かせたそうだ。それを聴かれた方々は“儲けもの”の気持ちで帰られたような気がする

 

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今年の6月であろうか、『最初の読者はだれ?』との小記事が今も頭に残っている。
ネット記事か、新聞記事かも定かではないが。

神奈川県秦野市立図書館の展示コーナーのお知らせだった。
<過去5年間に同館で1度も借りられたことのない図書を集めた展示「あなたが最初の読者です!貸出回数0回の本」>の開催であった。

そのときのネット検索では、秦野だけではなく、いくつかの図書館も同様な展示をしていたようであった。

専門書など利用の少ない本を、<書架に眠る隠れた宝>として、利用者に知ってもらい、新たな本と出会う機会として実施していた。
その際、集められた図書は602冊で全て貸し出し可能な図書。展示コーナーには602冊のリストも置かれていた。

いったいどんな本が置かれていたのか。そして、どれほどの方が最初の読者になられたのか。想像するだけで楽しくなってしまう。

ジャンルは多岐に渡り、必ずしもベストセラーだけが図書館の仕事ではなく、保存価値がある本も含まれている、と同図書館の主旨が紹介されていた。

「保存と公開が図書館の仕事」であり、歴史的価値のある教科書集や、専門誌など(貸し出しされないまでも)貴重な図書は多いそうだ。

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