「移動局」と,内部の見学に並ぶ人。移動局のアンテナは5本立っている。
「移動局」と,内部の見学に並ぶ人。移動局のアンテナは5本立っている。
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MIMOの信号分離用ASIC。ダイの寸法は8.4mm×4.2mmだが,パッケージの寸法は数cm角と大きい。「多くのテスト用回路を付け加えているため」(NTTドコモ)という。
MIMOの信号分離用ASIC。ダイの寸法は8.4mm×4.2mmだが,パッケージの寸法は数cm角と大きい。「多くのテスト用回路を付け加えているため」(NTTドコモ)という。
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 NTTドコモは,ワイヤレスジャパン2008(2008年7月22~24日,東京ビッグサイト)で,同社が「Super3G」と呼ぶLTE(long term evolution)の無線規格を実装したシステムを実演している。「以前にも日本国内の展示会でデモをしたことはあるが,電波は出していなかった。今回は実験向けの無線局免許を取得して,電波を利用した通信の初公開になる」(同社)。

 今回,通信を実演して見せたシステムは,LTEの規格で4×4のMIMOを実装したもの。移動局はトラックまるごと1台を利用している。バス内部の公開には,見学を希望する人が数mの列を作り,最後尾では「30分待ちの状態」(NTTドコモ)という人気を博していた。

 実験では1.7GHz帯で下り(基地局システムから移動局方向)および上り方向でそれぞれ20MHzの周波数帯域幅を用いている。データ伝送速度は,4×4 MIMOを利用時に,上りが最大250Mビット/秒,下りが約50Mビット/秒である。

 NTTドコモはこのデモとは別に,独自に開発したMIMOの信号分離用アルゴリズム「QRM-MLD法」を実装したASICを出展している。同ASICのダイの寸法は8.4mm×4.2mm。65nmルールで製造した。回路規模は数百万ゲート相当。消費電力は79.2mWと小さく,「端末搭載可能レベルになった」(同社)という。

 今後の予定は「2009年末に商用システムの開発を完了させ,インフラの構築を開始する」(同社)という。

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