図1 側面を開いた様子。画面の右側に空冷ファンがある。このファンとともにメイン基板も搭載されている。メイン基板には,プリンタの制御や画像処理などの主要な機能を担うSoCや,SDRAMやフラッシュ・メモリなどが実装されている。
図1 側面を開いた様子。画面の右側に空冷ファンがある。このファンとともにメイン基板も搭載されている。メイン基板には,プリンタの制御や画像処理などの主要な機能を担うSoCや,SDRAMやフラッシュ・メモリなどが実装されている。
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図2 直径60mm程度の空冷ファン。台湾ADDA社製である。型番は「AD0624MS-A70GL」。羽の数は7枚である。
図2 直径60mm程度の空冷ファン。台湾ADDA社製である。型番は「AD0624MS-A70GL」。羽の数は7枚である。
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図3  SCX-4501Kの裏側。底面の両側にスポンジが付いている。
図3  SCX-4501Kの裏側。底面の両側にスポンジが付いている。
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 複合機の上半分の分解も一段落し,次は下半分に着手する。まずは分解しやすい側面を開いてみる(図1)。「大きいですね」。技術者がつぶやく。

 技術者が注目したのは空冷ファンの大きさである。直径は約60mm(図2)。一般的には,直径40mm程度のファンを利用する場合が多いという。当然,機器の寸法という点では直径が小さいファンを採用した方が装置を薄型に設計しやすい。コストも安い。それにもかかわらず大口径のファンを利用しているのは「回転時の音を抑制するため」(技術者)とみられる。同じ風量を送り出すのなら,直径が大きいほど回転数が少なくなり,回転時に発生する音が小さくなる。

 実は印刷テストの際に,技術者たちは「SCX-4501K」の動作音について「非常に静かである」と評していた。カタログの仕様上では印刷時の騒音は45dBA以下である。静音化に向けた取り組みの一端が,この口径が大きいファンだったのである。韓国Samsung Electronics Co., Ltd.が静音化に注力したのは,机上で使うことを想定しているためと推測できる。

 静穏化への取り組みはこれだけではない。例えば複合機本体の下面にはスポンジが付いている(図3)。動作音や振動を抑制するためである。デザイン同様,こだわりのある部分にはコストアップをいとわない同社の姿勢が見てとれる。

 続いて下側の中央部分に手を伸ばす。

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