2009年の世界のノート・パソコンの生産台数は,対前年比10.9%増の1億4666万台になる見通しだ(図1)。そのうち低価格ミニ・ノート型が2190万台で全体の14.9%を占める。
ノート・パソコンの価格下落に歯止めはかからず,デスクトップ型からノート型への需要シフトが2009年も続く。その結果,2009年通年で初めてパソコン全体に占めるノート型比率が50%を超え,デスクトップ型を上回る見込みだ。デスクトップ・パソコンの生産台数は,2008年に続き2009年も大幅に減ることになる。
ノート型の価格下落に歯止めかからず
2008年にノート・パソコンは,大幅に値下がりした。日本市場で見ると,平均価格は2008年通年で約30%下落した。機能を落として価格を抑えた低価格ミニ・ノート型がシェアを拡大したことで,ノート型全体の平均価格が引き下げられた上に,従来のノート型パソコンも低価格ミニ・ノート型に引っ張られる形で価格が下がった。
2007年までの世界市場は,デスクトップ型の成長にかげりは見え始めていたものの,やはり安いパソコンを買おうとすればデスクトップ型を選ぶしかなく,BRICsなど新興国ではデスクトップ型の需要が大きかった。しかし,低価格ミニ・ノート型の出現で,最も安いパソコンがノート型に取って代わられ,需要が一気にノート型へシフトした。
ASUSとAcer,シェア争いで減産タイミング逃す
2008年第4四半期,世界の電子機器の生産台数にブレーキがかかったが,ノート・パソコンは増え続けた(図2)。その背景には,需要を見誤った台湾メーカーの競争意識があった。
低価格ミニ・ノート型を初めて製品化したことで世界中から注目を浴びた台湾ASUSTeK Computer社と,低価格ミニ・ノート型では後発ながらASUSTeK社に肩を並べた台湾Acer社が,2008年第4四半期になっても生産計画を下げなかった。世界不況に陥っても,かえって需要は低価格機に追い風になると踏んだからだ。これを受けてASUSTeK社向けに生産する台湾Pegatron社とAcer社向けに生産する台湾Quanta Computer社は2008年第4四半期に生産台数を増やした。
しかし,低価格ミニ・ノート型といえども世界不況の影響から逃れることはできず,結局Pegatron社とQuanta社は在庫を積み増した。特にAcer社が強気だった分,Quanta社の在庫は大幅に増え,その反動で2009年に入ってからの生産調整幅が大きくなっている。