コラテラル

トム・クルーズが初の本格的な悪役に挑戦した作品ですが、白髪で無精ひげ
のトム・クルーズもカッコいい。本作品は、日本でも２２億円の興行収入が有っ
たことを考えると、何をやってもトム・クルーズ観たさに映画館に観に行った人
が多かったんでしょう。


内容は、至って簡単で、ロサンゼルスで、平凡で真面目なタクシードライバー
のマックス（演者：ジェイミー・フォックス）が、ある夜、最初のお客さんのアニー
（演者：ジェイダ・ピンケット＝スミス）と目的地に着くまでの時間の賭けをします。
賭けは、マックスの勝ちに終わり、彼は、検事局に勤めるアニーから「何か困っ
たときに」と連絡先（名刺）をもらいます。次に、マックスはヴィンセント（トム・ク
ルーズ）と名乗るビジネスマン風のお客さんを拾い、またも目的地までの時間
を当ててしまいます。それで、マックスの腕と真面目さに感銘を受けたヴィンセ
ントは、一晩で５か所巡って欲しい、報酬として600ドルを渡すと言われ、貸し
切りは規定違反ではありますが、マックスはそれを引き受けてしまいます。その
提案を跳ね返せないくらいヴィンセントの強引さに負けたんですね。
そんな殺し屋のヴィンセントであっても、そこはトム・クルーズ。気さくで洗練され
た物腰。いざ殺しとなると、全く別人になって、冷血な殺し屋になります。その対
比（変貌ぶり・豹変ぶり）も面白かったです。「ロスでは地下鉄で男が死んでも誰
一人気が付かない」とロス市民の無関心ぶりをヴィンセントは言いますが、それ
は、日本の東京でも同じようなものだと思います。日本は、人が死んでいたら、
さすがに気が付かないふりまではしないまでも、怪我程度であれば、素通りされ
るでしょう。「地球上から人間が１人や２人消えたところで何の変化もない」とも
ヴィンセントは言い切ります。ロスって人口が970万人しかいないのに、そんなに
ひどいんですか？東京は、3500万人ですけど・・・
分からないのが、殺人が目の前でバンバンされるのに嫌気を指して、マックスは、
ヴィンセントの標的データの入ったカバンを奪った時に、どうして衝動的にヴィン
セントは怒ってマックスを殺さなかったんでしょう。かばんが無くなったことは、ヴ
ィンセントにとって、そんなに大したことでもなかったんでしょうか。その代わりに、
マックスを「自分はヴィンセントだ」と麻薬組織のボスであるフェリックスの元へ行
かせて、標的データをコピーさせてもらいます。こんな大事な取引に単なる運転
手を行かせますか？それも、運転歴12年の、運転しかできない男を。その辺が
ご都合主義が入っているなと思いました。一方で、カバンを奪って逃げようとした
チンピラ２名は躊躇なく殺しています。その矛盾。
最後の最後に、作品の最初で、タクシーに乗せた女性 アニーがヴィンセントの最
後のターゲットだとマックスは知り、アニーに連絡し、二人で逃げます。


本当に運よく、銃撃戦の末、ヴィンセントに致命傷を負わせたマックスは、アニーと
二人、無事生還しますが、ヴィンセントは、一人、ロスの地下鉄の中で息絶えます。
その恰好もカッコよくも有る。。。


何か、あっけなさを感じますが、それでも見物としては、良い作品だったと思います。
ご都合主義なところは、どの映画にも有るので目をつぶるとしたら、殺人者とタクシ
ー運転手と言う全然関係ない他人を結び付けて作品にするのは素晴らしいと思い
ました。意外性と言うものは、失敗を恐れないこうしたちょっとしたひらめきで感じら
れるものだと思います。



評価点　　 82点
お薦め度　 84点

2004年　　120分　　アメリカ製作

　
　
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