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十月二十二日、東京・文京区民センターで「普天間基地の閉鎖・撤去 辺野古新基地建設反対」を掲げ、「~名護市民の民意を沖縄県民の民意へ~ 県内移設がってぃんならん大集会」が開催された。「がってぃんならん」とは「がてんがいかない、認められない」という意。沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックがよびかけ、十一月二十八日投票の沖縄県知事選での伊波洋一さん必勝のうねりを作り出すために準備されたこの集会には、会場を埋め尽くし立ち見も出るほどの四百五十人以上が参加した。


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 一坪反戦関東ブロック共同代表の外間さんが開会のあいさつを行った後、衆院議員の服部良一さん(社民党)が十月二十九日に大阪でも沖縄県知事選勝利の集会を行うことを報告し、ともに伊波さんの知事選勝利・「普天間即時閉鎖・基地は国外へ」を実現するためにがんばろう、と訴えた。

 「沖縄からの訴え」の一人目は九月十二日の名護市議選で二位と高位で当選し、市議選での稲嶺市長与党圧勝の原動力ともなった仲村善幸さん(ヘリ基地反対協事務局長)。仲村さんは十月十五日の市議会会期最終日に五月二十八日の「日米合意」撤回を求める決議を公明党議員の賛成をふくむ十七対八(議長・副議長をのぞく)の圧倒的多数で採択したことを報告。

「これは歴史的勝利だ。一九九七年の市民投票勝利から十三年かけてついに市民・市長・市議会の意思が一つになった。十一月四日と五日にはこの決議を各省庁にも手渡して説明する。市長選と市議選の勝利は『振興開発神話』がついに破綻したことを意味している。新基地容認派は普天間基地の危険をなくすためには、辺野古に基地を作るのもやむをえないと言っていたが、普天間基地の危険性をなくすためには普天間基地をただちに閉鎖し、基地をなくせばいいだけだ」。

「仲井真知事は九月の定例県議会で、『県内移設を丸ごとノーと言ってしまった時に普天間飛行場が固定化される懸念もゼロではない』と語った。仲井真知事は『県外移設』論にまわったとされるが、それはまやかしだ。民主党は沖縄差別の現実に真剣に向き合ってはいない。真に対等な日米関係のためにはアメリカと真剣に向き合う必要がある。伊波勝利で日本に新しい風を吹かそう」。

仲村名護市議は十三年の苦しい闘いを思い起こし、時に声をつまらせながら、このように語った。

「沖縄からの訴え」のメインの特別報告は、五日前に宜野湾市長を辞任し知事選本番の体制をスタートさせた伊波洋一さん。伊波さんは「十一月二十八日の県知事選は基地負担の重圧を跳ね返し、日米両政府に沖縄の意思を示す県民投票だ」と訴え、安保・地位協定の不平等を暴きだした。さらに「尖閣問題」を理由に石垣や与那国に自衛隊を配備する計画を正当化する動きを批判し、基地をなくすことにより中国との平和的関係を作り出すことが必要と語った。また「振興開発」ではなく地域に根ざした産業振興や、県立病院を守るなど住民福祉に予算を使うことの重要性を訴えた(伊波さんの発言詳細は別掲)。

 沖縄からの報告に続いて連帯のあいさつをフォーラム平和・人権・環境(平和フォーラム)の藤本事務局長、全労協の金澤議長、日本平和委員会の西村理事が行った。最後に一分間スピーチが、米軍占領下の闘いを行った元沖縄民主同盟の上原さん、労働情報の浅井さん、沖縄・意見広告運動の生田さん、九条改憲阻止の会の渕上さん、全国一般東京労組の大森さん、伊達判決を生かす会の土屋さん、米紙に意見広告を掲載する運動や米議会への働きかけを進めてきたJUCONの弁護士、辺野古実の山下さん、「沖縄を踏みにじるな!緊急アクション」の園さんが行った。

十一月二十八日の沖縄県知事選での伊波さんの勝利は、まさに沖縄を変え、日本を変え、日米関係を変えるための大きな一歩である。「ヤマト」からも最大限の支援を。(K)

伊波洋一さんの発言要旨

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 私は二〇〇三年。自民・公明が一番強い時期に宜野湾市長に当選した。当時は必ずしも「県内移設反対」が県民の声というわけではなかった。しかし今は違う。

 今年で日米安保改定五十年になるが、冷戦当時に作られた安保の姿は今もそのままだ。地位協定も全く改定されていない。沖縄や日本の基地の現状を米国の議員や市民に伝えると、どうしてこんな所に基地があるのか、という反応が返ってくる。米国内ではこんな危険な場所に基地を置いてはならないというのが当たり前なのだ。そして日本政府は米軍基地の運用に関して何も文句を言っていない。

 アメリカは一九七八年に連邦法が軍事基地には適用されない条項を改正し、基地にも一般の法律が適用されるようになった。そして一九七九年には、海外の米軍基地においても平時には米国の環境基準・安全基準を適用せよという命令が発せられた。冷戦終結後の一九九〇年には世界各地の環境基準を調査して、基地による環境汚染への対策に踏み込んだ。一九九六年には海外の米軍基地に関して、米国の基準と受け入れ国の基準が違う場合にはより厳しい方に従うことになった。

 二〇〇〇年九月には「環境原則に関する日米共同発表」が合意され、日米両政府は日米いずれかのより厳しい原則に従うことになった。しかし日本政府はその合意文書を翻訳しておらず、各自治体に対して周知させていない。普天間・嘉手納基地の騒音は環境基準に反するが、それは守られていない。騒音はむしろ増えている。

 さらに日米合同委で確認されたが三十年間隠された原則がある。それは自治体から要請があった場合、環境問題等についての調査に米軍側は応じるというものだ。こうした原則は、米軍も環境・人権を尊重しているというもっぱら米連邦議会向けのアリバイのようなものだ。いろんな「日米合意」があるが住民のためになる合意は認めず、住民のためにならない合意だけが強制されている。われわれは要求を突きつけてこうしたあり方を変えていかなければならない。

 米軍が日本にいることは日本にとって必要だと信じられている。しかし海兵隊の役割については米国内でも問い直しが始まっている。ところが日本政府は海兵隊は家の前につないだ「番犬」のようなものだと考えている。

 沖縄県の予算にも大きな問題がある。たとえば大田県政以来、国から出される沖縄特別振興措置のための調整費という名目で年間五十億円に上る枠がある。稲嶺県政時代にその枠は百億円になった。その金の使い道はどうなっているのか。その使途は中央官僚が承認するのだが、一九九九年七月以来、沖縄の高速道路料金は三割低減となった。実はこの十年で、調整費の中から高速道路料金低減の保障として百五十九億三千万円もが道路公団に支払われていたのだ。その一方で社会福祉支出は削減され、県立病院は切り捨てられようとしている。

 沖縄県の予算は年間約六千億円だが、私は部局のタテ割りの壁を超え、福祉のための予算を増額させる。基地のための振興策ではなく県民の生活のための振興策だ。

 今、「尖閣諸島」問題を利用して、石垣・与那国への自衛隊配備など、南西諸島への自衛隊配備を二万人にするという構想がある。私はそれにノーと言いたい。中国の覇権的対応は問題だが、中国・日本双方でしっかり平和的関係を作り上げ、漁業問題での規制に取り組むことが必要だ。領海外で中国の漁船を取り締まれるのは中国だ。琉球王国の時代から沖縄は中国との平和的関係を築いてきた。中国に対抗するために基地を強化するのではなく、沖縄の基地をなくすことで中国との平和的関係も作り出される。

 私は地域において住民の利害に沿った産業振興策を推進し、県立病院を守るなどの福祉を重視したい。

 皆さんとともに沖縄と日本を変えていきたい。(発言要旨:文責編集部)

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