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法務省の「取調べ可視化」についての中間報告を批判する。これ以上の冤罪事件を生み出さないために可視化の実現は急務だ。
法務省は、6月18日、「被疑者取調べの録音・録画の在り方について~これまでの検討状況と今後の取組方針~」中間報告を明らかにした。報告は、「全事件の可視化は多大な負担」、「現実性にも欠ける」などと可視化実現にブレーキをかける内容となっている。
▲足利"冤罪"事件で無罪を勝ち取った菅家利和さん(3月26日)
09年8月の鳩山政権の成立時、千葉景子(参議院・民主党)が法相に就任後、省内に可視化実現のための検討を指示し、10月に法務省政務三役を中心とする勉強会及び加藤法務副大臣を座長とするワーキンググループを設置した。しかし法務省官僚、検察・警察官僚は、可視化検討の指示に対して表面的に対応しつつ、その本音は人権軽視・破壊を強行しながら日本帝国主義国家機構をなんとしてでも防衛しなければならない階級的任務のために敵対策動を繰り返してきた。その「成果」として押し出してきたのが、この中間報告である。
真っ向から敵対する報告
報告の第一の欠陥は、歴史的に冤罪事件を引き起こしてきた権力犯罪についての反省と掘り下げが全くないことである。報告は、「録音・録画による被疑者取調べの可視化については、事後の検証を可能にすることにより取調べの適正を確保し、ひいては、誤判の発生を防ぐとともに、裁判員制度の下における自白の任意性の判断を容易にするなどのメリットが指摘されてきた」などと権力犯罪の主犯であるにもかかわらず「他人事」のポジションから述べ、「誤判の発生を防ぐ」の一言だけで冤罪事件を作りだしてきたことの原因、結果、方針を展開することもしないのだ。憲法違反・人権侵害に満ちた裁判員制度の維持さえも主張する。
そのうえで「年間に検察が受理する約200万件の事件の75%が、道交法違反や自動車運転過失致死傷などの交通事件で、起訴(公判請求)される事件も6%にとどまる」し、「容疑者の供述の任意性が争いにならない事件が多い」から、「膨大な事件のすべてで可視化するのは、多大な負担となる」「全事件可視化の必要性は疑わしく、現実性にも欠ける」と可視化否定の結論ありきだ。