なんていうかスカル編でテンション上がって、オーズ編でそれに水ぶっかけられて、
ムービー大戦コアで背中に氷入れられて
ビショビショのまま家に帰るような映画だったな……。
ディケイド&Wの時と同じく、
最初はWとオーズの話をやってから両方が繋がるムービー大戦がスタートする構成。
最初は仮面ライダーW……というかスカル編だったけどこれは満足だったわ。
久々に聞く所長の汚い叫び声マジ癒される……。
おやっさんによるハードボイルドに次ぐハードボイルド!
潰されそうになってる時の電話やら、風車で変わる姿やら!
そして敵のドーパントがバットとスパイダー!
とにかくおやっさんの演技とセリフ回しと
スカルのアクションと演出のすべてがピタッとハマっていて、
良い意味で「スカルかっこ良過ぎる……」以外の感想がまったく出てこない!
このやり過ぎなくらいにカッコつけたハードボイルドは
「仮面ライダー」でやるからキマるんだろうね。
誘拐された人間がガイアメモリの実験台にされてるシーンも怖くて良かった
あれ仮面ライダーじゃなかったらもっと酷いシーンだったろうな。
犯人の外道っぷりにも戦慄。
去年の映画では仮面ライダーエターナルが最凶最悪の犯罪者として出てきたが、
俺の中ではスパイダードーパントの方が上だわ!
過去の話だけど子供の頃の翔太郎がちょっとだけ出てきたり、
見覚えのあるコルクボードが出てきたり聞き覚えのあるBGMが出てきたり
TV版を見ているとニヤッと出来てる小ネタが多かったのも嬉しい。
アクションも工事現場での「いかにも」な泥臭いアクション。
最後はスカルギャリー呼んでカーチェイス!大爆発!と、
どちらも違った迫力があって見所は十分。
ただ、尺やオーズと繋げなきゃならないせいもあったんだろうけど、
脚本自体はかなり荒かったね。
現在と過去との繋げ方もそうだし、スカル初変身のシーンや犯人の見つけ方。
ある程度は「昔のガイアメモリだから」で納得できるものの、
それでも首をかしげる点が少々。
Wとアクセルもほとんどおまけで「疾走のアクセル」無しだったのも残念。
(後ろから近づいてエンジンブレードで不意打ちする照井さん)は良かったけどさ。
スパイダードーパンドの能力もさすがにやりすぎ感が。
しかしそれを全部スカルとおやっさんのカッコ良さでカバーし切ってたから問題ない!
ヒーローモノなんだから主人公の魅力やアクションで
欠点をカバー出来ていればまったく問題ないのだ!
スカルパートのラストが特にいい。男は背中で語るのさ……。
こういう演出やカットがとにかくバツグンだったぜ。
で、オーズ編は……どうしようこれ……。
撮影が本編より前なのに本編に一切関わっていないライターに脚本やらせた判断と、
時間ない時のやっつけモードに入った井上敏樹によるテキトーな脚本と、
驚くほどに滑りまくりで冗長な演出。
この3つによるコンボで見た人間の体に大きな負担が!
やっぱりコンボは危ないな……。
映司のキャラが全然違うのはもうどうにもならない点なのでしょうがないが、
信長ことノブくんの描写が駆け足過ぎる上に、
冗長で意味不明なバレエの演出に始まって妙なギャグやらシーンやらてんこ盛りで、
重要なシーンとか描写を投げっぱなしにしてるもんだから本当に何がなんだか分からない
ノブくんは途中から瞬間移動レベルであちこちフラフラし過ぎだし、
映司はフラフラするノブくんから目を離しすぎだろ!
すぐ追いかけないといけないようなシーンなのに何二人ともフラフラしてるのッ!
そもそも「仮面ライダーオーズの映画」なのにメダル争奪戦やらないでどーするッ!
それが面白いんじゃないかオーズは!
バレエの先輩は突然踊りたくないとか言い出してオーディションやめたり、
(そんな、オーディションに参加して踊る直前になって何故今更そんなことを……)
その後はただ踊ってるところをノブくんに絡まれただけの話だし、
その割に踊ってるシーンだけは異常なまでに長い。
ええい!バレエはいい!仮面ライダーを見せろ仮面ライダーを!
ノブくんもいきなり治癒能力使ったりして、最後は復讐や郷愁も全部投げっぱなし。
敵グリードの正体は「これからのTVで明らかに!」みたいな感じで説明ナシ。
話も人物描写も滅茶苦茶だし、アクションもコンボ使いまくりではあったけど、
ガタキリバ以外はTV版と比べてそこまでアクションが凄いってほどでもなかったし……。
スカルに予算取られまくってるのが伝わってきた。
オーズ編は脚本もひどかったけどそれ以上に演出がダメだったと思うなあ。
見せ方次第で少しは印象変わりそうなシーンは多かった。
とにかく何もかもが致命的にかみ合ってなくて、
歴代平成ライダー映画でもっとも珍奇な作品が出来上がってしまったよ……。
これに比べたらクライマックス刑事なんて可愛いモンだぜ。
TV版オーズの面白い要素がまったく全然無くて泣けるでぇ。
そしてムービー大戦COREである。
すっげぇ適当な繋ぎ方でスタートして適当に終わる。
まあそれ言うとムービー大戦2010も適当な繋ぎ方ではあったが、
あれはダブル東映からの
「通りすがりの!」「二人で一人の!」「「仮面ライダーだッ!」」
の勢いが凄かったし、
アクションとかラストとかでガンガン盛り上げてくれたから問題なかった。
オーズとWはホントに最初から最後まで取ってつけたような内容でなあ。
「仮面ライダー!この醜い姿!」みたいな仮面ライダーコアのセリフとか
所長の仮面ライダーアレルギーとかから、
「仮面ライダーとは?」というテーマなのは分かる。
でもWに関しては作品のテーマの一つではあったものの、
運命のガイアメモリの「仮面ライダーWvs仮面ライダーエターナル」で
このテーマを最高の形でやりきっているし、
オーズに至っては劇中で仮面ライダーって単語自体がまったく出てこなくて、
最近の仮面ライダーバースでようやく
「ああ、この世界にも仮面ライダーって言葉が出てくるんだー」って思わされた作品だから
この2作品をくっつけて仮面ライダーという存在について
どうこう言われても取ってつけたような感じしかしない。
そりゃ映司も「多分…」としか言えないよ!
そもそもの仮面ライダーコア自体もよく分からない存在で話に説得力が無い。
Wとスカルだけで十分まとまる話というかそっちの方がまとまってたよ。
唐突に出てきて「仮面ライダーアクセル!力をあわせよう!」とか
これまた唐突に取ってつけたようなセリフを言うバースはむしろアリだったけどさ。
そして全仮面ライダーWファンがガックリ来た
サイクロンジョーカーゴールドエクストリームの適当過ぎる登場シーン……。
運命のガイアメモリが台無しにもほどがある!
場所が地球の中心核だから、
風によって巻き上げられた地球のエネルギーがWに流れ込んだとか、
そういう解釈も出来なくはないけどあれはねーって!
アクションも全体的に大味。
エンドロールでもWは綺麗にシメてるのに、
(結婚式のシーンなのに歌がハートブレイカーなのは置いておいて)
オーズの方は絶対その場の思いつきで決めたとしか思えないようなギャグを挟んで
ノブくんには一切触れずに終わりとかかなりひどいぜ。
スカル編は文句無かった。
いや、文句というか気になる点はあるんだけど
それ以上の見せ場があったから文句は無い。
スカルは昭和テイストというか「平成の技術で美化した昭和テイスト」というノリで、
これはむしろ新しい仮面ライダーと呼べる存在になっていて良かった。
しかしオーズとムービー大戦がもう、
時間も予算も無いからテキトーに作りました感バリバリで…。
「別の仮面ライダー同士の夢の共闘」を何年も続けてきた上でのこの内容だから
お祭り感も薄いし見ててゲンナリしっぱなしだったぜ……。
スカルだけVシネでやれば十分だよこれ。
ここ1~2年は儲かるもんだから仮面ライダーの映画を
見ていて心配になるペースでどんどん作り続けてるけど
それによる歪みが目に見える形でいよいよ出てきてしまったって感じ。
4月公開のオールライダーはどうなるやら……。
それ以上に夏のオーズ映画で、
「まともな仮面ライダーオーズの映画」がちゃんと見れるかどうかが心配だぜ。
頼むよ!
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