2008-09-01(Mon)

ペシャワール会・中村氏のことば

読売新聞より

 ペシャワール会の現地代表・中村哲医師(61)は「お別れ会」で「彼は、すべての平和を愛する人々に代わって死んだ」と涙声を詰まらせながら弔辞を述べた。

 中村医師は、大干ばつに襲われたアフガニスタン東部で、かんがい用水路建設や農業振興に尽力した伊藤さんの業績を紹介。「愚痴一つこぼさず、村人たちの生活を思いやり、必死で汗を流す姿は多くの者に温かい励ましを与えた」とたたえた。また「和也君は言葉ではなく、その平和な生き方によって、困った人々の心に明るさをともしてきた。彼の生き方こそ私たちへの最大の贈り物」と強調した。

 さらに「平和は、戦争以上の忍耐と努力が要る。和也君はそれを愚直なまでに守った。和也君を倒した暴力主義は私たちの心の中に潜んでいる。今必要なのは、憤りと悲しみを友好と平和への意志に変えることだ」と訴えかけた。


2008年9月1日 読売新聞

この中村医師のことばは、他紙は一切報じていない。
なぜ読売なのかはよく分からないが、いずれにしても、心にとどめたい言葉だ。

伊藤和也さんの生き様に感動するすべての人に、この言葉は発信されている。

「平和は戦争以上の忍耐と努力が要る。」
そう、その覚悟なくして、平和はつかめない。
平和ボケは戦争への一里塚。

安易に戦争に走ろうとする者たちの卑小さを、自らの生き方をとおして否定した。

「暴力主義は私たちの心の中に潜んでいる。」
ブッシュやコイズミに乗せられて、戦争を後押ししたわれわれ日本国民は、胸に手を当てて聞きたい。

「今必要なのは、憤りと悲しみを友好と平和への意志に変えることだ」
憤りと(見せかけの)悲しみを、報復攻撃へと誘導する政府自民党と、またぞろ尻馬に乗ってしまいそう我々への、悲痛な抗議。
しっかりと受け止めよう。


付録

3ヶ月前に、中村氏がマガジン9条のインタビューに答えている。

中村  ある意味「美しき誤解」かもしれませんが、そういうふうに、日本の平和的なイメージが非常な好印象を、アフガンの人たちに与えていることは事実です。日本人だけは、別格なんですよ。
nakamuraisi.gif
編集部  日本人と他国の人たちを区別している?

中村  極端なことを言えば、欧米人に対してはまったく躊躇がない。白人をみれば「やっちゃえ」という感覚はありますよ。でもね、そういう日本人への見方というのも、最近はずいぶん変わってきたんです。

編集部  それは、なぜ、いつごろから、どのように変わってきたんですか?

中村  いちばんのキッカケは湾岸戦争。そして、もっとも身近なのは、もちろんアフガン空爆です。アメリカが要請してもいない段階で、日本は真っ先に空爆を支持し、その行動にすすんで貢献しようとした。その態度を見て、ガッカリしたアフガン人はほんとうに多かったんじゃないでしょうかね。

編集部  せっかくの親日感情が、そのために薄らいでしまったんですね。



この段階で、中村氏は、危機感を持ち始めていたようだ。
だが、これまで培ってきた関係が、そう簡単に壊されることはない、という確信も一方で持っておられたようだ。
そして、インタビューの最後のほうでは、


中村  僕は憲法9条なんて、特に意識したことはなかった。でもね、向こうに行って、9条がバックボーンとして僕らの活動を支えていてくれる、これが我々を守ってきてくれたんだな、という実感がありますよ。体で感じた想いですよ。

 武器など絶対に使用しないで、平和を具現化する。それが具体的な形として存在しているのが日本という国の平和憲法、9条ですよ。それを、現地の人たちも分かってくれているんです。だから、政府側も反政府側も、タリバンだって我々には手を出さない。むしろ、守ってくれているんです。9条があるから、海外ではこれまで絶対に銃を撃たなかった日本。それが、ほんとうの日本の強味なんですよ。


こうした日本の強みと、ペシャワール会の築き上げた信頼関係を帳消しにしたのが、アメリカを応援するんだと大騒ぎしている、自民党であり日本政府であることは、論をまたない。

伊藤さんと、中村氏の無念は、決して他人事ではない。


関連記事

trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

トルコ・アルメニア和解へ。アフガニスタンでは…

トルコ・アルメニア和解への第1歩。ロシア人力士の大麻使用。で、本来の趣旨は、グルジア情勢。

comment form

管理者にだけメッセージを送る

comment

明月さん

お気に触ったみたいで
日本の福祉の現場で働いていると
あなた方のおっしゃることは空虚に感じます
私たちに子どもたちや老人が助けを求めて来ます
日本政府もあなた方も同じ
気付きませんか?あなた方のすぐ隣ですよ
海の向こうのイラクやアフガンではありません
さようなら
もう来ません

海の向こうは別世界?

「市民」さんはセレブに平和ボケされてるんですか?
うらやましいですねえ

だから、この記事を読んでも、どうしてアフガンなのかわからないんですねえ

いやいや 結構なご身分で何よりです

明月さん

どうしてアフガンなの?
どうしてイラクなの?
私たちのすぐ隣に助けを求めている
子どもたちや老人はたくさんいるよね?
どうして海の向こうなんだろう?
セレブに平和ボケした頭脳に渇!
生活フォーラム関西
なんとしても政権交代を!
20140723-3.jpg
カレンダー
03 | 2025/04 | 05
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 - - -
リンク1
貴重な情報をいただいています
(順不同)
リンク2
ブログ内検索
twitter
田中龍作ジャーナル
20140723-4.gif
ひとびとの経済政策研究会
松尾匡氏ら気鋭の経済学者による  政策提言と勉強会
ひとびとの
マガジン9条
パレスチナ・オリーブ
パレスチナで作られたオリーブオイルやオリーブ石けん。これはお勧め。
palestineolive.jpg
RSSフィード
blogranKing.net

カウンター
最近の記事
プロフィール

明月 こと 山岸飛鳥

Author:明月 こと 山岸飛鳥
木の家プロデュース 明月社 主宰
一級建築士
趣味 キコリ 畑
取り柄 貧乏
Email : [email protected]

明月社のアルバム
明月社の作品や家づくりのアイディアなど ちょくちょく更新しています
アルバムLOGO
木の家プロデュース明月社
ホームページをリニューアルしました
meigetsusha.jpg
明月社へのご連絡

名前:
メール:
件名:
本文:

明月社 facebookページ
六甲菜園ブログ
郊外楽園プロジェクトの六甲菜園
rokkou-sides.jpg
おすすめの本
こんな時代だから、お薦めしたい本。アフィリエイトではありません。

自伝的戦後史(羽仁五郎) jidentekisengosi.jpg

おすすめの本 2
日本はなぜ「基地」と「原発」を止められないのか

nihonhanaze.jpg

おすすめの本 3
日本はなぜ「戦争ができる国」になったのか
nihonnhanaze2.jpg
おすすめの本 4
世界超恐慌の正体

sekaichoukyoukou.jpg

おすすめの本 5
そして、日本の富は略奪される

sositenihonnno.jpg

おすすめの本 6
コンクリートが危ない

conclete.jpg

おすすめの本 7
家を建てる。家づくりはたたかいだ

iewotateru.jpg