2012年12月 2日 (日)

ツイートまとめ(2012-12-01)

<原発廃止と核燃再処理に関するツイート、2012-12-01>
「反原発?だったら廃炉&使用済み核燃料処理はどうする?」ってのは無理筋。処理が困難だからこそ、これ以上発生させるのを止めねばならない。当たり前のことなんだが…。実は推進派自身もこの問いに対する回答を持っていない。再処理すれば核燃料が消えると言うトリック(屁理屈)に頼っているだけ。

原発を廃止するには核燃再処理を停止すれば良い。再処理しない核燃料の受け入れ先はないので原発敷地内に保管するしかないが、地元に対しては「核燃料は全て搬出する。廃炉後は解体撤去する。」と説明してきた為約束違反になる。要するに日本中のどの県も使用済み核燃料の処分先にはなりたくないのだ。

<核武装論に関するツイート、2012-12-01>
プルトニウム爆縮型の核爆弾ってのはうまく爆発させるのが難しくて、例えばインドの最初の核実験は爆縮不十分・早期臨界で大量の未反応Puをぶちまけたとか。今ではシミュレーション技術とかが進歩しているとは言え、きちんと爆発することを実証して抑止力(恫喝)に使うには核実験が一番効果的。

核爆弾に少量含まれる様々な核分裂性核種は自発的に崩壊して別な核種に変化して行く。だから爆弾の組成は時間と共に変化する。この中にはPu238より不安定(臨界を起こしやすい)核種があるため古くなった核爆弾は早期臨界(不完全爆発)を起こす可能性がある。各国が核実験を繰返したのはこの為。

と言うことで核武装には核実験が不可欠。さて、どこで爆発させる?沖ノ鳥島?沖縄のどこか?尖閣?竹島?福島?紛糾する事必至だ。

<同じく、2012-11-30>
「日本は核武装すべき」と言っている人に聞きたいのだが、どこで核実験をする気だろうか?日本にはシミュレーションだけで核爆発を保証する技術はない。加えてプルトニウムは崩壊によってどんどん変化するので、古くなった爆弾の動作も確認しなければいけない。どこでやるのか?福島?どこかの離島か?

<経済の変調と新自由主義批判のツイート、2012-12-01>
メディアへのクロスオーナーシップ規制や電波オークションと、解雇規制や最低賃金制の撤廃は”規制緩和”と言っても意味が異なる。前者は「新しいビジネスをやりたいから邪魔を止めて欲しい」だが後者は単に労働費を値切りたいだけ。財界もアイディアが枯渇しているのではないか?

「上場企業の7割が法人税を納めていないのだ」(http://blogos.com/article/6824/ )世界中で経済に対する政府の力が及ばなくなっている。それなのに新自由主義にかぶれたマスコミは「より一層の規制緩和を…」と連呼する一方で「政治にはリーダーシップが必要」と矛盾した事を言う。

<福一事故に関する報道、2012-12-01>
「我々は前例のない調査をしているのだ」~「減る鳥・昆虫…奇形も福島原発周辺で異変」(TBS報道)の衝撃 (http://blogos.com/article/51485/ )「前例がない」は正確な言い方。福一事故がどれくらい危険か本当の所誰も分からない。だからこそ用心すべきなのに「危険はない」は酷過ぎる。

<橋下の「自分勝手」発言について、2012-11-30>
何故、瓦礫焼却処理が「自分勝手」にすり替えられるのだろう?放射能管理の基本は「封じ込める」「遮蔽する」「距離を取る」。わざわざまき散らすのは馬鹿かキチガイのやることだ。

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2011年1月 9日 (日)

中国語を義務教育必修科目とせよ

中国はもはや世界第二位の大国だ。

昨年(2010年)初頭にはASEAN諸国と自由貿易協定を結んだし(http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0105&f=column_0105_002.shtml、日本のPTT騒動はこれに慌てた結果のようにしか見えない、バカな話だ)、インド洋に海軍基地を設けアフリカ進出を図り、世界中の資源、土地、水、食料を買い占めんばかりだ。

兵器の近代化だけでなく、海軍将兵の実力も伴ってきたと聞く(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/1598)。

国内の不平等や不満も相当らしいが、そういった怒りの矛先が日本へ向くのも一部は(全てとは言わない)戦後処理をきちんとやって来なかったことのツケでもある。

日本が排他的経済水域を主張する200海里海域に関しても大陸棚資源は大陸国のものと主張し(http://ja.wikipedia.org/wiki/東シナ海ガス田問題/)による琉球王国併合を不当として沖縄の領有権まで主張するようになった(http://sankei.jp.msn.com/world/china/100919/chn1009192131008-n1.htm)。

こうなると尖閣諸島の小競り合いなどゴングがなる前の睨み合いにもならない。

さあ、この厄介な隣人にどう対処すればよいのだろう?

スティルス戦闘攻撃機?

巡航ミサイル?

航空母艦?

陸自の水陸両用戦対応(海兵隊化)?

弾道弾防衛構想?

原子力潜水艦?

それとも核武装?

あなたならどれを選ぶだろうか?

まぁ、軍オタ的妄想は楽しくは有るのだが危なっかしい、それよりももっと賢くて長期展望にたった予算の使い方がある。

それは、義務教育で中国語を必修外国語とすることだ。

「中国は何をするか分からない怖い国だ」と言うのであればまず相手を知ることからはじめるべきではないのか。

考えても見て欲しい。世界人口の1/4は中国語を話す。中国は米国に次ぐ大国だ。そして、日本からの距離は米国よりもはるかに近い。さらに、日中の経済的なつながりも強い。だから、英語以上に中国語教育を重視してもおかしな事は何も無いはずだ。

「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」とは言い古された言葉だが、古代でも現代でも兵器の性能などより情報の方が戦いを決することに変わりは無い。

「『敵を知る』のであれば、中国専門家を育成するとか、シンクタンクや研究機関を設置する、と言ったやり方もあるのではないか?」、そう思われた方もいるかも知れない。おそらく、今後そういった予算は増え、自称中国通の発言も多くなるのだろう。しかし、彼らの言葉をだれがどうやってチェックするのか?と言う問題が残る。

国際政治学者や外交官の発言は自分たちの知識やコネクションを商売道具にしている以上、どうしてもバイアスがかかる。つまり、「○○は危険な国だ」(○○脅威論)もしくは「××をうまく利用することが出来る」(××ハンドラーズ)の両極端になりがちだ。

彼らの作るリポートや、それらに基づく報道など間接的な情報ばかりに頼っていると、いつの間にかこう行った政治勢力の造った「状況」の中に取り込まれてしまう可能性がある。

だから、我々市民は市井の情報、いわゆる「市民感覚」と言うやつでプロフェッショナルの発言をチェックしていく必要が有る。

しかし、今の日本人の中で間接情報によらず中国語のニュース、新聞、HP、等を自分で見たり読んだりしている人は何パーセントいるだろう?中国人の友人から政治的な本音を聞ける人はどれだけいるだろう?そう考えると、今からでも中国語を勉強しなくてはいけないな、と強く感じるようになった。

(ついでに言っておくと、日本の政府は尖閣諸島で何が起きたかさえ自国の市民から秘密にしようとする有様で、これでは「己を知る」こともおぼつかない。)

中国語教育は「親中派を増やす」ことを意味しない。相手を理解したからと言って仲良くなれる保証は無い。知れば知るほど嫌な奴だと判る場合も、利害対立が解消できないことがはっきりすることだって有り得る。そうであれば、敵対する道もやむを得ないかもしれないが、少なくともそれは我々市民が自分の判断で決定すべきことであり、一部の官僚や政治家の言葉を盲目的に受け入れることは市民としての重大な責任放棄である。

何を悠長な!と言う無かれ。今すぐはじめれば10年後には中国語教育を受けた世代が社会人になる。次期主力戦闘機FXの耐用寿命は30~40年が想定されていることを考えれば決して遅すぎることはない。

敵を知らず(英語を敵性語として忌避し、研究者や海外を知る者の批判的発言を許さなかった)、己を知らず(軍事機密と称して情報を隠蔽し大本営発表を繰り返した)、悲惨な敗戦へと転がり落ちていった第二次世界大戦の失敗を繰り返してはならない。

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2010年6月 2日 (水)

ネット規制はどこに向かう?

いったいどうなっているんだ?
ネット選挙解禁と平行してこれだけの改悪の動き・・・

ディープパケットインスペクションを容認?
http://www.asahi.com/business/update/0529/TKY201005290356.html

放送法改正(改悪)
http://www.videonews.com/asx/interviews/100528_sunakawa_300.asx

警察はブロッキング強化を要請している
児童ポルノ接続遮断「早期実現を」=アグネス・チャンさんが提言-東京(2010/05/27 18:38   【共同通信】)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2010052700809

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2010年5月29日 (土)

普天間問題について ~日本はいずれ沖縄を失うだろう~

政治が力と損得を扱う活動である以上いわゆる「飴と鞭」(籠絡と恫喝)を手段とすることはある程度は仕方のないことだ。問題となるのはそれが相手を自分の望まない方向へ押しやる結果につながる場合だ。例えばアメリカの中東政策はイランやイラクを軍事化し、同時に独裁と腐敗それに強引な近代化の結果として民衆の反米感情を産み育てた。
日本が(正確には東京の親米保守派の官僚・政治家・資本家、以下では“東京政府”と呼ぶ)沖縄に求めてきたのは、米国の覇権が東アジアを覆っていることを誇示するための巨大な迷惑施設(在日米軍基地)を一手に引き受けることであり、その対価はいわゆる「公共事業」などの予算バラマキであった。しかしこのやり方は沖縄に対してはあまり有効とは言えない。
ダム・道路・港湾・空港などの「公共工事」が歓迎されるのはそこが「僻地」や「離島」である場合である。そう言った人・物・金・情報の国内ネットワークの末端に位置する地域は単なる豊かさの再配分でなく中央とのコネクションの強化こそを何より渇望する。

しかし沖縄は「僻地」(末端)ではなく中継地である。
沖縄の世論を見て本土のそれと違うなと感じるのは「中国の脅威」に対する警戒感の差である。本土にいるとマスコミ報道に洗脳されているために、ウィグルやチベットで残酷にふるまう北京政府のやり方や急速な軍事大国化に不安を覚えるが、沖縄にとっては今そこにある在日米軍の横暴さや東京政府の沖縄に対するぞんざいな扱いへの怒りの方が大きい、そう言うことなのだろうか。いやそれだけではないと思う。沖縄にとっては日本も中国も厄介な隣人(近隣の大国)である。複数の文化圏の境界に位置する小国が繁栄する道は交易の中継地としての役割であり、かつての琉球王国はまさにそのようにして栄えた。軍事進攻や圧政のリスクはもとより承知の上、日中との共存の中にしか沖縄の活路は無い。沖縄が欲するのは日中の仲立ちとしての役割をはたしその経済的恩恵に与ることであり、最も恐れているのは「本土の盾」として沖縄を焦土と化した第二次世界大戦の二の舞になることであろう。
だから、沖縄を単なる「僻地」とみなしそこに住む人々を同化することしか考えない、そして軍事基地ばかりを押しつけている東京政府のやり方は沖縄人の心をつかんでいない、そう思う。

マキャヴェッリやクラウゼヴィッツを持ち出すまでもなく、平和な時代における「戦争に備える」政治とは、味方を増やして敵を減らすこと、経済を富ませ資源や戦略拠点を確保し適切な規模の軍備(過剰であってはならない)を整えることだ。和戦両様の構えで軍備近代化を進めつつ、一方では巨大な国内市場の開放をチラつかせることで近隣諸国の経済的取り込みを図る北京政府のやり方はまさしくそう言った古典的な外交戦略を巧みに実行しているように見える。(あくまで外から見た印象であって内実は火の車なのかもしれないが。)

一方、東京政府はかつての冷戦構造の再現を期待して米中軍事対立を演出するばかりで影響力を失いつつある。今はまだ平和な時代であるのに軍事脅威を声高に叫ぶことで逆に敵を増やしてしまい、資源や戦略拠点の確保がすすまない。これではいくら軍事力を強化しても不安が増すばかりだ。このまま行けばいずれ日本は沖縄も失うだろう。

50年後の日本は、沖縄もその他の島嶼も日本近海の海洋資源へのアクセスも失い、外堀を埋められた大阪城よろしく海岸線の12海里先に中国艦隊を見ながら本土決戦の準備をしているのだろうか?

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2010年2月 7日 (日)

JSF-35は何故混迷したのか?

JSF(Joint Strike Fighter)-35プロジェクトはかなり深刻な状態だと言うことだ。
やれ推力不足であるとか、オバマ政権がエンジン改良予算をカットしたとか、と騒がしい。
ハイ・ロー・ミックス構想でF-15の補助として開発されたF-16の成功を知る眼には今回のF-35の陥った窮状は意外だったのだが、なぜそうなったのだろうか?
以下の三つの視点から分析してみたい。

(1) プロジェクト開始時のリスク管理
(2) プロジェクト進行時のリスク管理
(3) マルチロールファイターの限界

(1) プロジェクト開始時のリスク管理
「未完成の新型エンジンをあてにして機体開発をするな」と言う警句が有る。日本の誉、アブロマンチェスターのヴァルチャーX、He177のDB606などが有名だ。現代の軍用機であれば機体・エンジン・ウェポンシステムの3つのうち少なくとも1つかできれば2つまで確立した技術を用いたいところだ。
また、新規技術領域の研究開発と実施調達を一気にやってしまうのはリスクが非常に高い。F-16とF/A-18を産んだLWF計画は「調達を前提にしない」と言う珍しいものであったが、空海両軍は機能を削ぎ落としたプロトタイプ軽戦闘機をよく吟味して、それぞれの要求性能を付加した機体を開発することができた。この例に倣った結果かどうか知らないが、最近ではタイフーンやラファールのように「先に実証機ありき」の考え方でデモンストレーターが製作されるケースが多く、少なくとも計画途上なのに生産ラインを組んでしまうようなことは無くなった。
これらの例と比べると、F-35に対して米空軍・海軍・海兵隊(および英国海軍)が求める性能はかなり異なる上に、採用予定のF-135エンジンはベースとなるF-119よりさらに高推力である、と言うリスクの高いものであったにも関わらず、デモンストレーターの飛行前から各軍の開発計画を一本化してしまった。

(2) プロジェクト進行時のリスク管理
逆説的に聞こえるだろうが、開発リスク管理の手段としては国際共同開発が良いと思う。参加各国の要求仕様を受け入れたため重量過大となったと言われているが、実は少し違うのではないかと筆者は思っている。
Wikipediaによるとイギリス以外の各国の参加はSDD(System Development and Demonstration; システム開発実証)段階以降であると言うことだ。しかし、デモンストレーターが飛行している段階ならば機器・兵器・燃料の追加積載に伴う性能低下は正確に予測できるはずで、各国の要求に対してもトレードオフと限界を示して説得することができたはずだ。したがってこうなったのは、きちんとした説明をせず甘い予測を示して参加国を増やそうとした結果ではないのか。
むしろ、参加国の脱落や不協和音によってプロジェクトの問題発生を各国の納税者がいち早く知ることができると言うのは国際共同開発の利点だと思う。

(3) マルチロールファイターの限界
マルチロールファイターの起源は第二次世界大戦後期の戦闘爆撃機あたりから始まると言われているが、特に第四世代以降の戦闘機は膨大な余剰推力・余剰揚力と強度をもつことと電子機器が高度化・小型化したことが組み合わさって高度な攻撃・偵察任務を兼務できるようになった。しかしこのことは一方で、余剰推力と余剰揚力を損ねるような要求やこれらの優位性だけでは解決できない任務をマルチロールファイターに求めるなら、何かを犠牲にするか新たな技術革新が必要になると言うことでもある。
具体的に言うと以下のものが挙げられる。

・小型空母や高速道路への離発着などによるサイズ・重量の制限(ラファール、グリペン)
・艦上機や近接支援機に求められる低速度性能(F/A-18、A-10など)
・超音速時の造波抵抗を増やす過剰な胴体内容積(ステルス機のウェポンベイ)
・大迎角時のエンジン性能や失速特性を損なうような特殊な形状(A-10、F-117など)
・近接支援において必要となる迅速な弾薬搭載や整備補修を困難にするようなデリケートなメカニズムや材料(F-22の電波吸収材料やハッチ類)

F-22、ラファール、グリペン、F/A-18は無論立派なマルチロール機だが、いずれも他国・他軍との共同開発が困難な独自開発の機体であることを思い出してもらいたい。

F-35の開発目標はF-16、F/A-18、A-10、AV-8の4機種を代替し、さらにステルス性を付与することだが、これにはかなり無理がある。
まずF-16とF/A-18だが、この2機で最も違うのは臨界マッハ数の選択だろう。F-16の主翼は45度の前縁後退角をもつクリップドデルタ翼を採用している。これは低速での旋回性能と遷音速~超音速域での加速性能のバランス点を求めてシミュレーションを繰り返した結果である。一方、F/A-18は27度と浅い前縁後退角を持つ大きな主翼とストレーキの組み合わせにより低速大迎角で優れた失速特性をもち空母離着艦やドッグファイトにおいて優れているが、同時に試作機からスーパーホーネット登場に至るまで常に超音速域での加速性能不足に悩まされてきた。
もっと極端な例として、ミラージュ2000は58度の前縁後退角を持つ純デルタと単純な構造の一軸ターボファンエンジンSNECMA-M53の組み合わせながら優れたエネルギー性能によりF-16に負けない空戦能力を持つと言われている。
この様に、余裕の少ない軽戦闘機にとって臨界マッハ数の選定は特に重要な意味を持つが、ステルス性能や空母離着艦性能の要求はしばしば設計の自由度を奪う原因になりマルチロール機の共同開発においては厄介な要素と言える。

近接支援任務とステルス性能も矛盾するものである。イラク戦争におけるA-10は低速ゆえにF-16以上の正確な地上攻撃を可能としたし、海兵隊の使うAV-8は重火器や戦闘車両の不足する海兵隊の強襲揚陸作戦において「空飛ぶ砲兵」として地上部隊を支援するものである。いずれの任務でも急造りの前線飛行場から大量の弾薬を抱えて離陸し、敵味方の混在する流動的な最前線で目標を識別して正確に攻撃する能力が求められる。また、繰り返し攻撃を行うことが多いため、前線基地で迅速に補修整備や弾薬補給ができるターンアラウンド性能も求められる。
こう言ったケースでは胴体内のウェポンベイは無用の長物だし、デリケートな扱いを必要とする電波吸収コーティングやハッチ類も手間を増やすだけの代物である。A-10のエンジン配置はIRステルスの一種であるし、チャフ・フレアの大量携行・自動射出や、バイタルエリアへの重装甲、重要システムの多重化など、F-22の高度な対電波ステルスとは異なる攻撃機なりの身の守り方が有る。

筆者は単なる軍オタであり航空技術の専門家ではないから以下の分析は単なる素人の推測ではあるが、F-35が陥った問題は単なる重量過大ではなくて太い胴体と低い臨界マッハ数に起因する超音速域での抵抗過大なのではないだろうかと考えている。
非ステルス機であれば追加の燃料弾薬装備はパイロン懸架かコンフォーマルパレットとすれば良いのであり、「素の状態ではこれだけ素晴らしい性能を持っています。お客様の要求仕様を満たそうとすればこれだけの性能低下となりますが、将来のエンジンの改良が実現すればその問題も解消いたします」と説明できるが、ステルス機の場合は始めの設計段階から多量の燃料弾薬を機体内に搭載することを前提として太い胴体としなければならないから、搭載量も航続距離も少なくて済む顧客にも太くて重い機体を売りつけることになる。F-22の場合、双発であるからエンジン間の空間および屈曲するインテークダクト間の空間をウェポンベイにすれば胴体断面積の増大は防げるが、単発のF-35の場合そうはいかずエンジンの左右にウェポンベイを置くことになる。
さらに、F-35の主翼は後退角が小さい。ステルス性を考慮すると主翼のみの後退角変更は好ましくないから、これは恐らく海軍型を前提にして機体全体が低い臨界マッハ数を前提に設計されていると言うことなのだろう。臨界マッハ数が低いと言うことは音の壁が比較的遅い速度にあるのでそれを越えてしまえば造波抵抗は小さくなるのだが、F-135単発のF-35の場合はミリタリーで推力不足、A/Bで燃料消費過大と言うことで行き詰っているのではないだろうか。

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2009年12月 3日 (木)

事業仕分けについて、もう一言

ピーターの法則と言うのが有る。
階層社会では、すべての人は昇進を重ね、おのおのの無能レベルに到達する。だから、階層社会の上の方は、無能な人であふれ返ってしまう。というものだ。

これに似た言い方をスパコン問題等について適用すると、以下のように言えるかもしれない。

「全ての生き残っている国策プロジェクトは予算の無駄遣いである。なぜならば、うまく行きそうなプロジェクトにはアメリカ政府の横やりが入って、潰されるか共同開発と称して横取りされるからである。」

TRONプロジェクトとか、F-2支援戦闘機とか。

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2009年11月29日 (日)

事業仕分けに関するひとこと

事業仕分け、と言うやつがかなり話題というか問題になっている。やれ、FX、スパコンから漢方薬の健康保険適用除外まであれこれ。ノーベル賞受賞研究者や元宇宙飛行士までが擁護に担ぎ出されている。
個々の問題については、技術的+経済的+政治的な複雑な問題であるから、とても素人がジャッジできないようなややこしい問題が多いのに、素人のネットオタクから著名な経済学者や評論家まで、百家争鳴である。
ただ、それぞれの分野に詳しい専門家と言うのは同時に利害関係者でもある場合がほとんどであるから、この問題はとてもたちが悪く、素人が口出しせざるを得ない訳だ。

ここでは具体的な事項に関する議論はしないが、一番心配なのは、採算性とかわかりやすい成果にばかりとらわれて、本来「公共」が為すべきことは何なのか?がなおざりにされることである。

下記HPに挙げられていることがほぼ私の見解と重なるのでそちらを見てほしい。

以下、引用。
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正直な気持ち:
「事業仕分けはあくまでも慎重に!! 」
http://blogs.yahoo.co.jp/cook402000/57867105.html

国民へ公開と言う違いはありますが、全体のフレームとしては、財務省の強いイニシャティブを感じますね

公共性がしばしば、天下りや族議員の隠れ蓑、無駄使いの温床として使われていることが事実であっても、だからと言って公共性や公的な役割を安易に廃止するなど無視をする理由にはならないということです。非効率な面があるのであれば、その効率化を目指すことが肝要だと思います。

行政刷新会議及び事業仕分けグループに配置されている「小さな政府」思考の市場原理主義者、新自由主義者の存在がその懸念材料である。

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世に倦む日日:
「基準と意味のスリカエ - 事業仕分けは官僚の無駄の根絶とは」
http://critic6.blog63.fc2.com/blog-entry-185.html

ところが、現在市ヶ谷の国立印刷局(財務省)体育館で行われている事業仕分けでは、仕分けの対象にされている理由は、
(1)赤字で採算性が悪い
(2)費用対効果が十分でない
(3)民間に任せられる、
、等々である。

国の事業というのは儲からなくてはならず、黒字を出して利益を上げろという主張に他ならない。逆ではないか。採算に合う事業ではないから国がやっているのである。今回の事業仕分けを支配しているクライテリアは、受益者に負担させ、国の持ち出しを減らし、社会保障や文教予算を縮減して身軽になろうとする「小さな政府」の論理と志向である。官僚の無駄を削るはずの仕分けが、国民の生活や国家の未来を削る仕分けに転化している。  

引用終わり
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一言だけ補足しておくと、いわゆる「民営化」と言うやつを私はあまり信用していない。国鉄→JR、電電公社→NTT等の巨大組織の解体から自治体事業の民間委託(ゴミ収集とか)に至るまで、政府が現業部門を切り捨てて企画立案・管理機能だけに特化することは、少人数のスタッフで大きな予算を執行できると言うだけのことであり、「正社員」の公務員は少なくなるが予算規模は小さくならない。「民営化」された現業部門は「民間企業」と言うことになり、予算や議会の影響が及ばなくなり透明性は低下する。「小さな政府」の正体とはこう言ったことだ。
我々がなぜ、見ているか否かにかかわらずNHKの受信料を払わねばならないか?なぜいつまでたっても高速道路が無料化されないか?を考えてみれば、こう言った似非「政治改革」が「見えない税金」を増やすばかりであることが分かると思う。

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2009年11月18日 (水)

DARKER THAN BLACK 流星の双子 ep6 「香りは甘く、心は苦く・・・」感想

続けて感想。

この回は心理劇としては文句なしです。蘇芳と黒の関係がグラッと変化する様も良いし、ノリオに「契約者は人を殺しても平気なのか」となじられる場面はかつて蘇芳自身が発した言葉を思い出させます。

しかしアクション作品としてみると気に入らない点がいくつかあります。

・移動時間、距離感

一番気になったのがこれです。葉月が蘇芳達に追いつく前にマオと黒が合流していますが、これは無理な気がします。黒が囮に引っかかった地点から港までの距離は分かりませんが、風景が違うこと、敵を分断する意図が有っただろうこと、を考えると多分車で十数分程度の距離でしょう。一方、蘇芳達から潜水艦までは2,000mですから葉月のボートが対岸に到着する方が黒の帰還より早いのではないでしょうか。マオに関してもボートを操縦している葉月より隠れていたマオの方が早く合流できるのは不自然です。追いついた後の葉月も本来の目標であるイザナギ(紫苑or蘇芳)ではなく黒の方を追いかけるのは何故なのか。

いっそのこと蘇芳のPTRDで海上のボートを狙撃すれば足止めになったんじゃないかと・・・

・潜水艦には大きなものは積めない

潜水艦への物資の搭載は前後のハッチもしくは艦首にある魚雷搭載用の小さなハッチからしか行えません。これは耐圧殻の開口部が限られているためで、作中で出てきたような観音開きの大きな扉を付けることはありません。米軍がやっているように甲板上にタンク状の水密チャンバーを背負わせてやれば良かったのにと思います。

http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2006/2006/html/i1210000.html

http://www.ships-net.co.jp/detl/199910/ssnj.html

PTRDを手すりに載せて構える

銃を手じかなものにレストすると言うのは正解です。また、手すりの下にクッションをかませて安定させるのも正解。このクッションは第一話で蘇芳が木の上で望遠レンズを安定させるのに使っていたピンクの変なヌイグルミなのもナイスです。

でも手すりの高さが低すぎないでしょうか?以下の二枚を見比べるとおかしいことに気がつきます。

http://blog-imgs-41.fc2.com/3/4/6/346zakki/cp091115-dtb06-a03.jpg

http://continue.blog.so-net.ne.jp/_images/blog/_991/continue/hey2-2eff2.jpg

落下防止の手すりはふつう100110cm位でみぞおちから胸の高さあたりです。一方、片膝ついて鉄砲を構えると(立った時の)おへその高さくらいになります。小柄な蘇芳では70cmくらいだと思うので、あの姿勢で構えることは困難なのです。

それと金属の手すりと言うのは共振しやすいので、望遠レンズや狙撃銃を載せる台としては今一つ信頼できないことが多いです。PTRD17kgもあり、伏せ撃ちでも反動で本体が65mm後退しますから、やわな手すりではとても安定しないでしょう。

・コンビニは危険

コンビニのレジには防犯カメラがあります。オンラインで警察がリアルタイム監視しているケースはまだ少ないと思いますが、治安機関から逃げ回っている黒と蘇芳が一緒にコンビニにやってくるのはまずいでしょう。

・黒が飛び乗ったワゴン車の走る方向

黒が戦っている道路からみて正面の道路から来たはずの車が右から左へと通り過ぎるのは何故か?

・折れた腕が治っている

ノリオの友人の太った男の子ですね。前回のけがはどう見ても肘の脱臼か前腕の複雑骨折で一週間やそこらでギブスもテーピングもなしで済ませられるものではないはずです。

全体として、コンテ段階でのチェックもれが多い回だと思います。

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Draker Than Blackに登場するPTRD(デグチャレフ対戦車ライフル)に関するメモ

以下はDarker Than Black 流星の双子に登場するデグチャレフ対戦車ライフルPTRDに関するメモ。

・腰だめ射撃はできるか?

反動がきつくて手首を痛めるだろうと言うのは置いておくとしても、どうも腰だめ射撃をすると自動排莢機構が働かないようだ。

下記アドレスに図解がある。

http://www.ww2aircraft.net/forum/ww2-general/antitank-rifles-mgs-1930-1945-a-7069-2.html

簡単に言うと、銃全体が反動で後退してショルダーストックにめり込むように動いて、ストック右上に突き出している台形の鉄板にボルトハンドルがぶつかってロック解除する機構のようだ(なんて野蛮な!)。ボルト自体が飛び出すのは多分慣性力によるのだろう。だから腰だめではストックに力がかからないのでただのボルトアクション単発になってしまう。

まぁ、そもそも対戦車兵器と言うのは周辺への危険(リコイル、ブラスト、破片など)が多いので正規の射撃姿勢以外をとるのはやめた方が無難だ。

・スコープマウント

スコープはちょっと問題で、アニメの設定ではスタンダードのオープンサイトの位置にプレートを溶接したものだが、これはどうも間違っているようだ。

銃全体が何センチか後退する作りだから、あの位置にスコープに付けていると、ぶっ放すと同時にガツンときて目の周りにパンダマークを作ることになる。これはとても恐ろしい。

この件は、下記アドレスの写真で判明した。

http://img369.imageshack.us/img369/1923/32836411un7.jpg

グリップ基部右側(ただし構造的にはストック側)からプレートが伸びてレシーバーをぐるりと巻いているようだ。

・長距離射撃精度と有効射程

精度について言うと、PTRS(シモノフ対戦車ライフル)のガスピストンなどの複雑な機構が無いPTRDの方が銃身の余計な振動が少なくて有利じゃないかと思う。それとストックの伸縮機構がクッションになるので反動がマイルドなのだろうと思う。PTRSだと弾丸が銃口をでるまでボルトとレシーバーは勘合しているので反動がガツンときて肩に青痣を作りそうだ。(そう言う場面が有ってもよかったかもしれない。蘇芳がお風呂で肩の青痣を気にしてる場面とか・・・これは漫画版パトレイバーに有ったけど。)

長距離射撃時の精度上の問題となりやすいのはたぶんバイポッド(二脚)のガタつきだ。GUN誌のTurk氏がしばしば指摘しているのによると、二脚は問題を起こしやすいのでできればサンドバックかバックパック上に銃を置いた方が良い、のだそうだ。肩あてから二脚まで1mで二脚のガタが1mmとしても、2000m先を狙うと2,000mm狂うから、銃を設置する地面の状態には特に神経を使う必要がありそうだ。その他にも連射すると重心の温度上昇で着弾点が狂うとか、いろいろややこしいことが有るらしい。

カートリッジの性能だけで言うとたぶん2000mでも有効射程だろうが、大戦中はオープンサイトで動く戦車のペリスコープやキャタピラを狙っていたそうで、本来の有効射程は2-300mが良いところだったのだろう。

・スポッターの役割

もうひとつよく考えているなぁと感心したのはジュライの存在だ。ゴルゴ13と違って実際の狙撃と言うのはシューターとスポッターの二人で行うのが普通らしい。スポッターの仕事は、目標観測、着弾観測、外した場合のバックアップ、急襲された時の対応などに加えて照準修正計算を手伝う場合もあるようだ。

照準の計算と言うのがえらく面倒で、距離、高低差、風速、風向、温度、湿度、陽炎の影響などを考慮して照準修正量を計算しそれをMil値(スコープの目盛数)に換算しなければいけない。このために、双眼鏡のほかにレーザー測距機、風速計、弾道計算プログラムをインストールしたPDA等を駆使する。ターゲットが予定距離と別なところに現れるとか、気象条件が急変するとかの事態になると、あわてて再計算を行い場合によるとスコープの調整が必要になる。(この辺の様子はGUN誌の“スナイパーズチャレンジ”記事が興味深い。)

どうやらMI6はドールに射撃管制機能をプログラムしているらしくて、こう言ったややこしい仕事を全部やってくれて暗算結果を口頭で指示してくれる。ライフルマンにとってこれはもうドラエモンのような存在だ。

Milドットについては下記アドレス参照

http://www.shootingtips.com/NewFiles/article/Leupold%20Tactical%20acope%20&%20Mil%20dot/Leupold%20Tactical%20Mil%20dot.html

MI6PTRDのデータまで持っていたかどうかは不明だが、射撃練習を行ったのは蘇芳の特訓であると同時に、ジュライへのデータ入力とキャリブレーションでもあったのだと考えると納得がいく

ここまでやったのだからついでにジュライに装填手をやらせてもよかったかも知れない。大戦中のソ連軍ではPTRDは二人ひと組で運用していたそうだ。17kgの重さも二人で運べば何とかなったろうし、単発自動排莢の欠点も装填手がタマ込めを担当することで補えたそうだ。

まあ細かいツッコミよりも、ここまで調べ上げて作画したスタッフの努力の方を評価すべきなのは言うまでもない。PTRD以外にもFSBの使っているVSSKEDRなど気になる銃が満載だ。面白い物語というのは、「小さな真実を沢山並べておいて、大きな嘘を一つつく」だと思うが、DTBのスタッフはこの辺が良く分かっているなあと感心するようなディテール描写だ。

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2009年8月29日 (土)

WW2大戦機の主翼構造の考察(その7、彩雲)

ここまで単発戦闘機の翼ばかりを見てきた。単発戦闘機の主翼は引き込み脚と翼内砲を収めるため、主桁を屈曲させたり開口部によって分断された箱型断面構造を上手くつないだりと様々な工夫がみられるからだ。また燃料タンクの配置も工夫が見られる部分であり、被弾しやすい翼内タンクをあえて採用するか、胴体内重心付近にタンクを設置するためにコックピット・エンジン補機類・胴体内機関銃とのスペースの奪い合いを上手く調整するかも設計者の腕の見せ所だ。これに比べれば双発機や偵察機は主翼の設計の自由度が大きくてあまり面白くないから取り上げなかったわけだ。そんな中で偵察機である彩雲を取り上げる理由は、これがそれまでの4式戦、雷電、紫電改など日本軍単発戦闘機の経験(反省?)を反映した新しい世代の機体に思われるからだ。

図 彩雲の主翼構造

C6n1

彩雲の特徴は厚板構造と大直径プロペラの採用だ(この辺は陸軍のKi-83も同様)。その主翼は2本桁構造であるが、主脚は主桁後方に引き込む。この理由は彩雲が(内翼部に)層流翼を採用しているため、主翼最大厚位置より前方をできる限り平滑に仕上げたかったためだと言う。主脚を主桁後方に引き込むことで主桁前方が付け根から翼端までD型の閉断面構造となっている。この辺はスピットファイアやタイフーン・テンペスト等のイギリス機と少し似ている。

疑問なのは翼付け根の補強方法だ。前縁の閉断面構造は胴体中心線から600mmの位置で途切れているが、主脚引き込み部は326mm位置まで開口しており、前縁が受け止めた捩じり荷重を前後の桁からなる主構造に伝達するためにはこの断面材一枚分300mm程の幅を補強してやらなければならない。例えばスピットファイアの場合は一番内側の断面材が前縁から後桁取り付け金具まで捩じり荷重を伝達するのだが、彩雲ではこの部分が今一つはっきりしない。

彩雲の主翼はインテグラルタンク化されており厚板構造の分小骨(主に縦通材)を減らしているなど強い構造とは言えないため、このまま戦闘機化できるものではない。しかしもしも次世代の日本製プロペラ戦闘機が開発されていたならば、彩雲の主翼構造はかなり影響を与えていたのではないかと思う。

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