職種について掘り下げる前に、自転車業界の内部環境ってどうなってるの?
こんにちは
ドゥロワーの山路です。
先日、自転車業界の業種についてお話をさせていただき、それぞれの職種について掘り下げていこうと思っていましたが、実はその前に自転車業界の内部環境的にはこうなってるんだよ、という前提の共有が必要だと考えました。
今回は、自転車業界の内部環境はこんな感じというイメージを持っていただくために、少し過去の話を交えてお話しましょう。
ドゥロワーの山路です。
先日、自転車業界の業種についてお話をさせていただき、それぞれの職種について掘り下げていこうと思っていましたが、実はその前に自転車業界の内部環境的にはこうなってるんだよ、という前提の共有が必要だと考えました。
今回は、自転車業界の内部環境はこんな感じというイメージを持っていただくために、少し過去の話を交えてお話しましょう。
ガソリン価格の高騰やエコブーム、また健康志向といった社会的背景も手伝い、2008年度は空前の自転車ブームとして、皆さんも記憶に新しいことと思いますが、今もなおブームの余波といいましょうか、自転車に興味を持ち始めている方が増えているのが現状です。
80年代~90年代後半頃、それまで国内工業型メーカー(ブリヂストン、パナソニック、ミヤタ、丸石など)がスポーツバイクマーケットをけん引していました。
バブル景気やマウンテンバイクブームなども手伝って、多くのすぐれたスポーツバイクが、ここ日本で続々と生まれ、世界中に輸出もされていました。
もちろんこれ以外にも優れたフレームメーカーがたくさんあり、マウンテンバイクの生みの親の一人とも言われているリッチーや、量産型マウンテンバイクを初めて製造したスペシャライズドのフレームなども日本で大量に製造されていたのもこの頃です。
つまり、メイドインジャパンが世界を席巻していたわけで、このころは日本の自転車業界は「モノ作り」が中心となっていた時期です。
しかしながら、2000年ごろをを境に台湾や中国など、アジア諸国の製品の日本国内への本格参入に伴い、安価で優れた製品が国内で評価される流れが出来上がると、国内メーカーは急速にその勢いを失っていくことになります。
現在では、スポーツバイクの輸入車と国産車の比率が8:2以上とも言われており、日本国内で消費されるスポーツバイクのほとんどは輸入車という環境になっています。
もちろん、国産メーカーもただ黙って指をくわえてこの状況を見ていたわけではありませんが、海外勢のマーケティング戦略や消費者ニーズにマッチした商品戦略、また価格競争力も兼ね備えているわけですから、国産勢がなかなか太刀打ちしようにも困難な背景があったのも事実です。
また、日本市場の場合、少しだけ特殊な事情でスポーツバイクが浸透しにくいもう一つの背景があります。
それはこの国の成長の過程によるところが大きいと考えられますが、古くから自転車とは移動する事やモノを運ぶための手段としてとらえられてきました。
特に国土も狭く、免許が必要な自動車よりも簡単に誰でも活用できる自転車は、必然的にスポーツのためという自転車は受け入れにくい環境にありました。
その中で、独自の進化を遂げてきた自転車こそ、ご存じ「ママチャリ」です。
ママチャリという言葉はあまり良い言葉だと思っていませんが、一般の方も見ているこのサイトですので敢えて一般用語となっている呼び方で表記させていただきました。
日本には年間で1000万台程度の自転車が消費されていますが、その内の95%は「軽快車」と呼ばれる、いわゆるママチャリの部類に入ります。
これは、日本という土壌において、自転車の存在意義が移動するための「コミューター」としての意味合いが強いがために、コミューターとしての最大の効率を求めていくと、必然的にママチャリに行きつくのです。
日本ではお買い物や通勤、通学といった場面で自転車が多く使用されますが、駐輪のためのスタンドや鞄や買い物袋を入れるためのバスケット、雨が多い地域ならではの不可欠品である泥除けなど、普段使いに持ってこいなのがママチャリなわけで、多くの人がそれらの自転車を選ぶのは当然のことと言えるのです。
そのため、前述の国内工業型メーカーも絶頂期の頃でさえも主要商材は、あくまでもママチャリであり、それを無視してまでスポーツ車を製造することなどできないほど、圧倒的なシェアの差があるわけです。
主要4ブランドのうち、現時点で本格的なスポーツバイクを国内で製造しているのは、わずか2社のみになってしまっているのが現状です。
一方で、それまで部品やアクセサリー類などを主な取扱商品としていた部品問屋などは、国産完成車メーカーの衰退に乗じて、海外の新興完成車ブランドの輸入に力を入れ、問屋ならではの小回りの良さを生かした商品展開で、徐々に占有率を広げていきます。
当然広がってくると、日本法人を創設するブランドも出てきますが、日本の市場自体は海外のそれとは大きくかけ離れていますので、その多くは撤退したり、取扱代理店を変えたりしながら年々適正化されていきました。
そういう環境の中で、現在の日本の自転車業界においては、スポーツバイクについて「モノ作り」というよりも、すぐれたモノを作っているブランドを日本に紹介して販売するという形態のディストリビューターが多く存在し、デザインや本質的な機能とは少し離れたギミック的要素などをオリジナルとして味付けし、パッケージ化するという「モノ作り」に変化していると言えるでしょう。
こういった内容を少し数値的なデータに落とし込んでみると、先日お話した業種の占有割合というものがどの程度かイメージしやすくなるかもしれません。
製造:販売:広告・宣伝:その他 = 2:7:0.5:0.5
こんな感じでしょうか?
つまり日本で自転車に関する仕事に就きたいなぁと考えている方のほどんとは「販売」という職種を選ぶのが最も確率が高くなるということです。
逆に「モノ作りをしたい」というお考えで自転車業界を視野に入れている方にとっては結構な狭き門であり、職種もかなりイメージとは異なるものになるかもしれません。
簡単に説明しようと思っていたのですが、中途半端に長くなってしまいました。
次回は、それぞれの職種について掘り下げていきたいと思います。
では、次の引き出しをお楽しみに。
80年代~90年代後半頃、それまで国内工業型メーカー(ブリヂストン、パナソニック、ミヤタ、丸石など)がスポーツバイクマーケットをけん引していました。
バブル景気やマウンテンバイクブームなども手伝って、多くのすぐれたスポーツバイクが、ここ日本で続々と生まれ、世界中に輸出もされていました。
もちろんこれ以外にも優れたフレームメーカーがたくさんあり、マウンテンバイクの生みの親の一人とも言われているリッチーや、量産型マウンテンバイクを初めて製造したスペシャライズドのフレームなども日本で大量に製造されていたのもこの頃です。
つまり、メイドインジャパンが世界を席巻していたわけで、このころは日本の自転車業界は「モノ作り」が中心となっていた時期です。
しかしながら、2000年ごろをを境に台湾や中国など、アジア諸国の製品の日本国内への本格参入に伴い、安価で優れた製品が国内で評価される流れが出来上がると、国内メーカーは急速にその勢いを失っていくことになります。
現在では、スポーツバイクの輸入車と国産車の比率が8:2以上とも言われており、日本国内で消費されるスポーツバイクのほとんどは輸入車という環境になっています。
もちろん、国産メーカーもただ黙って指をくわえてこの状況を見ていたわけではありませんが、海外勢のマーケティング戦略や消費者ニーズにマッチした商品戦略、また価格競争力も兼ね備えているわけですから、国産勢がなかなか太刀打ちしようにも困難な背景があったのも事実です。
また、日本市場の場合、少しだけ特殊な事情でスポーツバイクが浸透しにくいもう一つの背景があります。
それはこの国の成長の過程によるところが大きいと考えられますが、古くから自転車とは移動する事やモノを運ぶための手段としてとらえられてきました。
特に国土も狭く、免許が必要な自動車よりも簡単に誰でも活用できる自転車は、必然的にスポーツのためという自転車は受け入れにくい環境にありました。
その中で、独自の進化を遂げてきた自転車こそ、ご存じ「ママチャリ」です。
ママチャリという言葉はあまり良い言葉だと思っていませんが、一般の方も見ているこのサイトですので敢えて一般用語となっている呼び方で表記させていただきました。
日本には年間で1000万台程度の自転車が消費されていますが、その内の95%は「軽快車」と呼ばれる、いわゆるママチャリの部類に入ります。
これは、日本という土壌において、自転車の存在意義が移動するための「コミューター」としての意味合いが強いがために、コミューターとしての最大の効率を求めていくと、必然的にママチャリに行きつくのです。
日本ではお買い物や通勤、通学といった場面で自転車が多く使用されますが、駐輪のためのスタンドや鞄や買い物袋を入れるためのバスケット、雨が多い地域ならではの不可欠品である泥除けなど、普段使いに持ってこいなのがママチャリなわけで、多くの人がそれらの自転車を選ぶのは当然のことと言えるのです。
そのため、前述の国内工業型メーカーも絶頂期の頃でさえも主要商材は、あくまでもママチャリであり、それを無視してまでスポーツ車を製造することなどできないほど、圧倒的なシェアの差があるわけです。
主要4ブランドのうち、現時点で本格的なスポーツバイクを国内で製造しているのは、わずか2社のみになってしまっているのが現状です。
一方で、それまで部品やアクセサリー類などを主な取扱商品としていた部品問屋などは、国産完成車メーカーの衰退に乗じて、海外の新興完成車ブランドの輸入に力を入れ、問屋ならではの小回りの良さを生かした商品展開で、徐々に占有率を広げていきます。
当然広がってくると、日本法人を創設するブランドも出てきますが、日本の市場自体は海外のそれとは大きくかけ離れていますので、その多くは撤退したり、取扱代理店を変えたりしながら年々適正化されていきました。
そういう環境の中で、現在の日本の自転車業界においては、スポーツバイクについて「モノ作り」というよりも、すぐれたモノを作っているブランドを日本に紹介して販売するという形態のディストリビューターが多く存在し、デザインや本質的な機能とは少し離れたギミック的要素などをオリジナルとして味付けし、パッケージ化するという「モノ作り」に変化していると言えるでしょう。
こういった内容を少し数値的なデータに落とし込んでみると、先日お話した業種の占有割合というものがどの程度かイメージしやすくなるかもしれません。
製造:販売:広告・宣伝:その他 = 2:7:0.5:0.5
こんな感じでしょうか?
つまり日本で自転車に関する仕事に就きたいなぁと考えている方のほどんとは「販売」という職種を選ぶのが最も確率が高くなるということです。
逆に「モノ作りをしたい」というお考えで自転車業界を視野に入れている方にとっては結構な狭き門であり、職種もかなりイメージとは異なるものになるかもしれません。
簡単に説明しようと思っていたのですが、中途半端に長くなってしまいました。
次回は、それぞれの職種について掘り下げていきたいと思います。
では、次の引き出しをお楽しみに。
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