[南アフリカ発] 南アでは人がライオンに襲われる事故が多発しているが、その一方でライオンと信じられないような強い絆と信頼で結ばれている人間もいる。動物行動学者、ケビン・リチャードソン(34)がそうだ。彼はヨハネスブルグ近郊の広大な私営動物保護区「
Lion Park」で猛獣たちを飼育、訓練している。
11年前、飼育下で生まれた2頭の子ライオンの面倒を見る機会があり、それ以来、彼はライオンの虜になったという。今では、「ライオン・ウィスパラー(ライオンと交流できる人)」と呼ばれる身だ。
そんな彼のライオンたちとの触れ合いを英スカイニュースが現地からルポしていた。
「'Lion King' who is like one of the pride」by Skynews
- 2009年3月19日放送 -
いきなり数頭の雄ライオンが画面に現れるが、ここは動物保護区にある広い囲い地の一つ。彼らはケビンの呼び声に応えて薮の中から出てきたものだ。ライオンたちがケビンに近づくと、彼は「愛してるよ」と声をかけながら、一頭一頭の喉やたてがみをなでる。
ご忠告しておくが、サファリに行っても決して真似しないように。彼は長い年月をかけて、この信頼と愛情の関係を築いてきたのだ。彼はライオンの群れと交流するとき、ご褒美の餌や鞭などの武器を決して携行しない。彼は群れを支配しているのではなく、群れのメンバーとしてライオンたちに受け入れられているのだ。
ライオンの群れは全部で38頭(成獣となった上記2頭の子ライオンも含まれる)。彼らは飼いならされているわけではなく、広い囲い地を動き回れる分、野生の本能もかなりの部分持ち合わせている。
例えば、濃いたてがみを持つ2頭の雄ライオンが雄叫びをあげている姿が見えるが、これは撮影クルーに向けられたものだ。ライオンはクルーを威嚇しているのだろうが、 この時の撮影は安全確保のためフェンス越しだったそうだ。
寝転がるライオンたちに押しつぶされそうになるケビンは、動物行動学者として、動物を遠巻きに観察するという手法を信じていないという。
レポーターが「あなたは自然界に干渉していると批判する人々に対して、どのように返しますか?」と質問すると、彼は「動物を囲い地に追い込んだ時から、自然界に干渉しているわけです。これらのライオンは皆野生じゃありません。ですから、自然界への干渉とは違います。飼育下の動物たちの生活をより良くしようとしているのですよ」と答える。
野生のライオンは水を嫌うことで知られるが、若い雌ライオン、メグとケビンが川で遊ぶシーンは、以前にも放映されたらしく、世界中の野生動物専門家たちを驚かせたそうだ。どうやら、メグは苦手のはずの水も気にならないくらいケビンにぞっこんのようす。
ケビンのここでの活動は、自然保護論者の意見を分断しているという。その多くは野生動物への干渉はどんな形であろうと絶対間違っていると言うが、他方、これは動物の長期に亘る生存を保証する方法で種の繁栄を推進すると見る人々もいる。
しかし、ケビン自身の生存は疑わしいかもしれない。彼がフェンスの中に入るや否や、3頭の若い雄ライオンが彼に飛びかかった。彼は、まるで獲物のように地面にねじ伏せられる。
心配するレポーターが「大丈夫ですか?」と声をかけると、ケビンは「ええ、いつものことですよ」と笑いながら返事する。ライオンたちは、ただ彼に戯れついているだけなのだ。
彼はライオンに殺されるかもという不安はないといい、この世に生まれ変わる機会があれば、同じことをすると言い切る。
ケビンによると、野生ライオンの生息数は過去15年間に350,000頭から25,000頭ないし30,000頭に激減しているそうである。彼は最近、このライオンの群れを題材にした『The Kingdom of the White Lion(ホワイト・ライオンの王国)』というフィルムを制作している。(
参照)
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- 2009-03-29 02:31
- 動物物語
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