[南アフリカ発] アフリカで最も近代化が進んでいる南アフリカは、野生の保護にも熱心で、国土の20%が自然保護区で占められている。ライオンや象などの猛獣が自由に闊歩する南アはまさに野生の王国と言ってもいいだろう。
当然、そういった保護区で働く人々もいるわけだが、猛獣に襲われる事故が後を絶たないようで、先日も野営していたレンジャー(警備員)がライオンに食い殺されるという事故が発生している。
同僚が雌ライオンに薮(やぶ)の中へと引きずり込まれていたその時、聞こえてくるのは同僚のヒステリックな叫び声だけだったという。
ライオンの姿が見えなくなった後ですら、エルヴィス・マテブラさんには同僚のリッチモンド・シブイさん(24)の悲鳴が聞こえていた。
トレーニングの後、同僚たちと川で泳いで涼をとるシブイさん(写真の最前列右端)。シブイさんは昨年2月に就職。1カ月にわたるトレーニングを終えた後、11カ月間の勤務を経て、チームリーダーに昇進したばかりだった。 「あっという間に死んだわけじゃないんだ。考えたくもないことだが」と、密猟を取り締まる営利会社「プロトラック」の広報担当、ヴィンセント・バーカス氏は言う。
バーカス氏によると、マテブラさんとシブイさんは1月30日の夜、クルーガー国立公園から約25キロ離れた私営ゲームファーム(動物農園)をソーニーブッシュ・ゲームリザーブ(動物保護区)との緩衝地帯に沿って巡回していたそうである。
巡回が終わった後、2人は就寝に入った。ところが、11時頃、マテブラさんはシブイさんの悲鳴で目を覚ます。見ると、一頭の雌ライオンが寝袋で寝ていたシブイさんの胴体部分に食らいつき、彼を寝袋ごとテント内から引きずり出すところだった。
その夜、テントの出入り口は開け放したままで、シブイさんは頭をちょうど出入り口のあたりに置いて寝ていたらしい。
マテブラさんはライオンを撃ち殺そうと、あわててライフル銃をつかんだが、弾丸が装填(そうてん)されていないことに気付いた。そこで、彼は必死に銃でライオンを殴りつけたそうだ。
しかし、それは無駄な努力で、ライオンは殴られながらも、シブイさんを薮の奥深くに引きずり込んで行くのだった。
しかたなく、マテブラさんは薮の中を近くに住むマネジャーの自宅を目指し走った。マネジャーはプロトラックのスタッフに連絡を取り、車両が出されシブイさんの捜索が始まった。
テントからの引きずり跡ははっきりと確認できたものの、暗闇の中、生い茂る薮に阻まれて捜索は困難を極め、シブイさんが発見されたのは翌日の早朝だった。しかし、シブイさんは既に死亡しており、そこには無惨な死骸が横たわるのみだった。
彼を襲った雌ライオンは死骸のそばにまだ座っていたという。シブイさんはテントから250メートル引きずられた後に食い殺されたらしく、後には頭部、胸部、両腕が残っているのみで、下半身は食われてなかった。ライオンはその場で殺処分された。
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- 2009-02-08 09:00
- 生と死
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