中国の「短期激烈戦争」の恫喝に屈する日本
中国・杭州で20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれ、5日夜には安倍総理は習近平(シーチンピン)国家主席と会談した。両首脳は、様々な分野で対話を進めていくことで合意。
また、会談の冒頭、習氏は両国関係について「双方ともに妨害を排除し、中日関係を一日も早く正常な発展の軌道に戻すよう努力しなければならない」と呼び かけた。首相は「戦略的互恵関係の考え方に立ち、大局的な観点から協力や交流を進め、安定的な友好関係を築きたい」と応じた。
習さんは「双方ともに妨害を排除し、・・・」と、しれ~と、もっともらしく、おっしゃってますが、日本は中国に妨害はされても、妨害したことは一度もありません、し、できないです。
日本の首相が靖国に参拝することだって妨害されても、従順に従うような国が、中国の何を妨害したというんだろうか。
安倍総理も開いた口が塞がらないで、さぞや困ったことでしょう。
今日も秀逸のブログ(農と島のありんくりん)を掲載させて頂きます。20カ国・地域(G20)首脳会議等よりも、はるかに勉強になります。
(農と島のありんくりん)
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2週間ちかくかけて延々と核武装問題と、それをめぐるテーマについて議論してきました。
そろそろ今回で終了します。
昨日、中国が米国と相互確証破壊システムを完成させるためには、絶対に宮古島南西から南東海域に広がる深き沖縄トラフが必要だと書きました。
おさらいを兼ねて、これを家にたとえてみます。
門扉に当たるのは、宮古島の北方180キロにある尖閣諸島です。
この尖閣諸島という門扉を破れば、その先には庭である東シナ海が広がり、そこの支配権も手に入れることが可能になるでしょう。
このような軍事的支配権を確立させた海域のことを、「内海化」と呼びます。
冷戦期に旧ソ連がオホーツクの「内海化」を目指し、日米に阻まれましたが、その目的も核戦略でした。
この尖閣の実効支配→東シナ海の内海化という一連の地ならしが終われば、次はいよいよ目的である家の中に侵入します。
この家の扉に当たるのが宮古島です。
宮古島は、中国艦艇、特に潜水艦の安全地帯を提供する絶好の軍事拠点となります。
また宮古海峡は、日本有数のチョークポイントで、ここを扼すことができれば、中国艦隊は自由に太平洋に進出できることになります。
そして、彼らの核ミサイルを搭載した戦略原潜は、水深2200mに及ぶ世界有数の深海である沖縄トラフを安住の地とすることでしょう。
ここに中国は初めて、米国を核攻撃するための水中核ミサイル基地を作ることが出来たのです。
これによって中国は核戦略の3本の柱(トライアド)である、空中、地上、水中の三つの投射手段を得ることができ、米国との半世紀をかけた相互確証破壊体制がここに完成します。
1963年に毛沢東が、「たとえ百年かかっても、ズボンをはかなくても原爆を作る」と言った狂気の夢は、ついに百年を待たずして完成の日を迎えたわけです。
参考文献 伊藤實「中国の「核」が世界を制す」
もうあまりくどくど書くのもいやですが、日本人はいいかげんなぜ尖閣を中国が取りにくるのか、どうして東シナ海の覇権を握ろうとしているのか、なぜ宮古島が重要なのか、その意味を知るべきです。
ではなぜ、南シナ海のように、いきなり中国は軍事侵攻をしないのでしょうか。
理由はひとつしか思いつきません。
在日米軍がいるからです。
尖閣についてはグレーゾーンですが、宮古島に軍事侵攻があった場合、日米安保はさすがに機能するはずです。
ただしそれが有効なのは、日米が想定しているような、台湾侵攻のために宮古島を保障占領するといったシナリオか、あるいは日中の尖閣水域での戦闘などの場合です。
もちろんこのシナリオは大いにありえるでしょうが、中国は取らないと私は見ます。
中国が取るのは「短期激烈戦争」と呼ばれる、長距離ミサイルの飽和攻撃です。
緒戦において中国軍が、長距離巡航ミサイルの千発ちかい短時間飽和攻撃をおこなった場合、それで勝敗は決します。
これは数波に及び、日本全土の枢要な政治中枢、基地、石油ターミナル、原発が攻撃対象となります。
迎撃は事実上不可能です。
専守防衛というわが国が半世紀の間後生大事にしてきたドクトリンは、わずか30分以内に砕け散って跡形もなくなるでしょう。
しかし一方これは、中国にとっても、米中全面戦争を招きかねない危険な賭ですから、安直に踏み切るとは思えません。
軍事力という刃は、抜いたらお終いなのです。
中国は、米国が日本を見捨てたと明確に見切った時に、この攻撃が可能となったと判断します。
国内的には、日米同盟廃棄のスローガンを掲げた政治勢力が政権を握った時です。
日本には左右に、このような考え方をする勢力が現実に存在します。野党第1党内部にも多数存在します。
米国内では、トランプのような自国中心主義の人物が政権を取った場合です。
このような極端な立場の政治思想の持ち主が日米に出現しない限り、中国はこの長距離ミサイルの飽和攻撃という軍事オプションを、政治恫喝にのみに使用します。
日中間で、国家主権に関わる重大な衝突が起きた場合です。
たとえば尖閣諸島の領有権、東シナ海の日中境界線確定などが激化し、それが膠着した場合、つまり今のような状況です。
このような状況で、軍事オプションの前段としてミサイル攻撃をチラつかせることは、<恫喝>手段としてきわめて有効です。
もちろん、密室の交渉でほのめかせるていどでしょうが、まだ1発のミサイルも撃たれていないのですから、日本防衛の頼みの綱の日米同盟は動きようがありません。
その時、中国に過度に宥和的な人物が政権に座っていたり、あるいは逆に、軍事的に必要以上に自衛隊を過信した政治家が首相だった場合、日本の悲劇です。
とまれこのように、わが国は現在いつ中国の長距離ミサイル攻撃という軍事恫喝を受けても耐えられないのだということを、しっかりと認識に落とすべきです。
バランスの取れた眼を養いましょう。
中国が明日攻めてくるなどというのはデマですが、あるいは正反対に「平和な島」と叫んで警官隊と衝突してみても平和は来ません。
今、リアルに沖縄を取り巻く環境を見て、できることから考えていかねばなりません。
中国を過度に敵視する必要はありませんが、中国の危険さと弱みを知り、その意図の裏をかくていどのことを考えましょう。
まだまだ語り尽くしていませんが、いちおうここでこのテーマには区切りをつけます。
来週月曜から、1週間の夏休みを頂戴します。
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