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2015年2月24日火曜日

第35回DTPの勉強部屋で「まとめて解る!InDesign自動化の全て」を再演してきました〜その1

1年ぐらいご無沙汰していたDTPの勉強部屋に行ってきました。

page2015のAdobeクリエイティブセミナーで講演した「まとめて解る!InDesign自動化の全て」を再演してきました。聞いていただいた方々ありがとうございました。


時間を30分に圧縮して駆け足だったので、少し解説を付け足したいと思います。
(書き始めたら量が多くなってしまったので、数回に分けます)

※後述でも紹介していますが、dproofsのクーポンコードを当日配布しました。
 使い方は、dproofsクーポンコードの使い方を参照してください。

今回「その1」では、以下を補足します。
  • はじめに
  • 段落・文字スタイル
  • ワード取り込み
  • タグ付きテキストデータの取り込み

…が、その前に、「フォーマットをつくる」を講義していただいた鈴木誠一先生のかつてのインタビュー記事にあった「資本主義が消費をあくまでも拡大し続けるのであれば,人間をどんどんわがままにしていく宿命を持っている。なるほどと思い…(引用:インタビュー 鈴木一誌氏に聞く『知恵蔵裁判全記録』「思想的事件」の全貌)」)」を読んだときに、自動化というものが、ただ趣味趣向のお遊び、やれたらやる、という類のものではなく、「やるべきものである」ということがしっくりきました。この辺りは、また別で書こうと思います。

1. はじめに

今回のテーマは、
  • InDesignの自動化機能を知る
  • InDesignを触らない人にも知ってもらうことでメリットが活かされる
  • 自動化の先に何があるか
と、だいたいこんなところです。


InDesignを上手く使って、時間とお金を獲得しようぜ、ということなんですが、 そのためには、DTPオペだけだ知っている、使っているというより、営業も機能を知れば「こう作ろう」「こう直そう」「こういうデータをお客さんからもらおう」と考えることができたり、校正者も作り方がわかれば「ここを見れば良い」「こういう指示をすればいい」となり、それは効率化に繫がるはずです。

2. 段落・文字スタイル

レイアウトソフトにおいて、とても基本的なことですが、word(よく知らないけど)なんかに比べると、組版作業を楽にしてくれるようになってます。
大昔のソフトには、スタイルという概念は無かったですが、タグやファンクションといったものがそれをなしていたのでしょう。
今回は例として、ドキュメント内の特定の文字列に対してスタイルを当てられる正規表現スタイルや、自動番号付き箇条書きなどを紹介しました。設定しておけばInDesignが勝手にやってくれるので、できる限り組版作業のルール(仕様)をこのスタイルの中に入れてしまいましょう、ということです。


そのためには、前段の見本組などの仕込みとお客さんも含む理解が重要ですね。
ポイントは、この設定でいける範囲に仕様を絞り込まないと、ここからはみ出たところは手作業であり、リスクを伴うよ、ということがあります。

3. ワード取り込み(リッチテキスト取り込み)

ワードでもらって、InDesignに取り込んで、またワードで返して、InDesignに取り込み直す、という夢のようなことが果たしてできるのか?
今回は、この機能の精度がどんなものか実際InDesignを動かしながら皆さんと一緒に確認してみました。
  1. まず、完成したドキュメントからリッチテキスト形式で書き出す
  2. 検証用にpdfを書き出す
  3. リッチテキストをwordで開き、doc保存(とりあえず何もせず)
  4.  「3」のデータをInDesignに取り込み(配置)
  5. pdfを書き出して、dproofsでチェック
この機能を信用できるかという質問を会場でしてみたところ、半数以上が信用しないということでした。
実際、取り込む時のオプションやテクニックが若干必要なわけですが、ちょっと当日は時間がなかったので、正解も解説しておきます。
上記1〜5の結果のPDFをdproofsにかけて出た差分が以下です。(ドキュメントは2と同じ)

なんか、違いますね。これが当日見せたものですが、以前YUJIさんの紹介記事にもあったような気がするのですが、スタイルパネルで「オーバーライドを消去」した結果が以下です。
「No Diff!」なので、違いなしです。
だから、100%信用していいよ、というわけではないですが、wordというアプリのバージョンとかOSとか、色々あるので、このように検証して、使い処によっては使える機能として知っておいた方がよいと思います。

4. タグ付きデータの取り込み

昔からレイアウトソフトにはテキストデータにタグを付けて、流し込むときに自動で設定させる機能があります。というか、ウン百万する組版ソフト達は、一人一台なんて大変だったので、そもそもそれを前提としていたと思います。
画面上でテキストを選択して、こちこちスタイルを付けるのではなく、
  • 行頭にといったタグをいれる
  • テキストフレームに配置
すれば、勝手にスタイルが付いてくれます。

これらのタグは、InDesign用となります。他にも色々タグがあるので、それを見たかったら、タグ付きテキスト書き出しをして調べてください。

これの何が良いかというと、InDesignが入っていないPCでも作業ができる、という点です。原稿がどっと入ってくるというようなことはよくあることなので、InDesignが足りないなと思ったら、テキスト作業を他の人にやってもらう、という方法がある、ということです。
pstyleとか入力間違えしやすいので、「★見出し★」とかで代用するとか、よくやりますね。

その1のまとめ

当日言わなかったですが、InDesignのこの機能を使ったら、こうなった、使えねえとか、そういう考えを減らしたい。
InDesign信者でも何でもないですが、そもそも月5,000円ぐらい?、そんな金額で手に入るようなソフトウェアであって、ソフトウェアを作る側からすると、だったらもっと高級なソフト買え、となるでしょう。
でも今はもう無理ですね。印刷業界のワガママに飽きて開発側が手を引いてしまっている。
こういう事態になっていることをよく理解して、もっとInDesignをシンプルに使って可能な範囲はここ、って割り切ってやることや、dproofsなどその他のツールを使って検証することも自動化や効率化に繫がる考えだと思います。

次回以降は…

  • データ結合
  • XML取り込み
  • 検索置換
  • スクリプト
  • もっと効率化できないか、の考察
  • 完全自動組版はアリなのか?
  • IDMLについて
  • IDMLでライトなWEB自動組版を
  • 自動化のその先
となります。

書き切れるのかしら。。。

2015年2月16日月曜日

カタログ制作における入稿システムについて(完全自動と半自動組版について)

数年前からカタログ制作における入稿システムのオーダーが増えているので、ちょっとまとめます。

入稿システムが必要とされる背景

WEB入稿システムが必要とされるのは、複数メーカーから原稿を受け付けるタイプがほとんどで、その理由は、「とりまとめるのが大変だから」がダントツです。

確かに、とりまとめ=原稿整理、進捗管理は、非常に大変です。

原稿がなかなか出てこなかったり、画像がこなかったり、逆に一旦もらって進んでいる途中に差し替えが来たりと、、、下版日が刻々と迫る中、気が狂う人が出るのも頷けます。

それでも、カタログに手を出すのは何故でしょうか。

いわゆる厚物で、印刷会社としては金額もそこそこでしょうし、そういう大変なものが出来るというステータスもあるのかもしれません。自分にはこぞって獲りたがっているように見えます。
一方で、客側は、紙カタログの部数を減らして、WEB用にPDFで展開したり、検索サイトにしてしまったりということもしているので、紙が無くなるわけではないですが、そこへ向ける力のいれ具合は、違うように思います。
また、自社の基幹システムのデータなど、基本となるデータはあるのだから、これを上手く使えばDTPなんて楽にできるんじゃないの?と思われているかもしれません。

そういう中で、客側の手は煩わせず、データを渡すから上手く使ってね、最後にはデータを使いたいので返してね、印刷(制作も含む)が安ければ出すよ、と難題を受け入れざるを得ない状況ではないでしょうか。

相談を受けるカタログの特徴を挙げると、
  • 頁ボリュームが多い
  • 年1回、2回など定期もの
  • 複数メーカーからの原稿回収、やりとりが大変
  • メーカーから受け付けた後、掲載情報として精査、追加編集する
  • 客先から何かしらの商品データがくる
  • 商品スペック部分はある程度パターン化されている
  • 商品の流用画像や新規撮影画像など画像の取り回しを考慮する必要がある
  • 索引がある
  • 完全自動組版にできない理由がある(デザイン調整が必要など)
となります。
そして、どの工程の人たちも一様に大変だ、というのが現状です。
この現状を打破するために、入稿システムが欲しい、となるわけです。

カタログ制作でやりたいことは?

やりたいことは、単純に書くとこうなります。
つまり「データを上手く使って本を作りたい」となります。
本やWEB、その他メディアに向けたコンテンツ制作における効率の良いサイクルを確立したい、ということです。

しかし、現実はなかなか難しい状況のようです。
今までに相談をしてくれた人たちの状況をみてみると、以下のようになります。
  • 客先からきたエクセル(CSV,XMLなど)を使って手動DTP
  • FileMakerからツールを経由して半自動DTP
  • WEB入稿システムまでは作ったが、DTPは完全非同期
  • 最後に返すデータはDTPから書き出すか、直接エクセルを手作業で作成
どうみても、それぞれの工程でデータが切り離されていて、本来やりたいことにはほど遠い状況で混沌としています。
「データがあれば本ができる」というのは難しいかもしれませんが、それでもこれを理想論で留めるのではなく、目指さなければいつまでたっても同じ悩みで停滞してしまいます。

入稿システムの範囲

一括りに入稿システムといっても、どこまでやりたいか、予算によってその範囲を決める必要があります。コストがかからない順にいくと、以下のようになります。
  1. メーカーがログインして自社商品情報をエントリーするだけ(メーカー側の機能)
  2. エントリーした商品情報を精査、管理するところまで(編集側の機能)
  3. 自動組版または半自動組版データの生成(DTP側の機能)
  4. データ活用のためのデータ出力(客先のシステム部などのための機能)
※3,4は手法によってコスト順位が変わります。

これらは、1だけ、2までなどでも可能ではありますが、本来の目的を達成するためには、3、4まで考えなければ中途半端になってしまいます。

入稿システムを使った制作サイクルの具体例

数年前から、色々なタイプのWPS.3をカスタマイズしたカタログ制作向けの入稿システムを稼働させていますが、事例をもとに前述の要望をもう少し具体化すると、以下のような制作サイクルになります。


これは、入稿システム上でデータ校了になったことを前提にDTP作業に入り、その後は一般的な印刷物制作の流れを組むものです。システム上からDTPへのデータの引き込みは、スクリプトやCSVなどいくつかの手法があります。

完全自動組版と半自動組版

1と2は、業務フローが確定すれば、それほど大変ではないので、3と4について、現実的な問題はさておき、考えてみます。
データ活用のために入稿システムが存在するとき、PDFを作る系統は2つあります。

上段の流れは、入稿システムから直接PDFを出力する流れ「完全自動組版」の例です。これはWPS.3(自動組版エンジンはAH Formatter)で実現しています。

下段の流れは、入稿システムからIDMLをダウンロードしてDTP作業(InDesign)によってPDFを作る流れ「半自動組版」の例です。IDML Binderが例となります。
※IDML Binderに関する記事は以下を参考にしてください。

完全自動組版の場合の新規・修正の流れ

完全自動組版では、入稿システムから直接PDF(印刷仕上がり)を確認できるので、修正がある場合は、原稿を作成する本人がシステム上で修正をして再度PDFを生成すれば、入稿システム上で完全校了になります。DTP作業が介在する必要はなく、大きな業務効率化が可能です。

半自動組版の場合(入稿システムからの自動生成は初校時のみ活用)

半自動組版では、入稿システムで生成されたIDMLをダウンロードして、DTP側で開き、デザイン調整を行います。校正者から戻ってきた朱字をDTP作業で修正、調整します。
新規作成では、IDMLによって半自動で組版できるメリットはありますが、その後は通常DTPとなり、データを戻すためには、スクリプトなどを使って必要なデータを校了後のDTPデータから取り出して入稿システムへ戻します。

この戻す作業は、かなりテクニカルことが要求されたり、人の手によって無法地帯となったDTPから100%データを戻すことは不可能だと思った方がよいです。

半自動でもデータ活用を重視したい場合

半自動でもデータを戻したいということであれば、戻すことを考えるよりも、データとしてメンテナンスしなければいけないところは、入稿システムを修正し、再度IDMLをダウンロードして、変更部分だけを使う、というのでもよいのではないでしょうか。
この方法であれば、最新データは入稿システムに必ずある状態です。DTPで修正する場合も、最新のIDMLを使う(部分的にでも)ようにすれば正しいデータが反映されることになります。この考えは、カタログでよくある在版流用でも生きてくると思います。

完全自動と半自動のハイブリッド

もうひとつは、完全自動と半自動のハイブリッドです。
これは、データ部分は、自動組版によって、印刷仕上がりも確認しつつそれでOKならそこで完結し、それをラフデザイン原稿レベルとして、DTP用のデザイン原稿として使うというのもアリです。このあたりは組み合わせによって色々パターンがあると思います。

最後に

システムで楽になるか?というと、「楽になる」というポイントは、人によって違います。とにかく自分の手を煩わせたくない、丸投げタイプの人にとっては、システムによって増える工程を「手間が増えた」と考えます。
例えば、入稿システムがあれば、今まで期日通りに入れてくれなかったメーカーさんが原稿を入れてくれるかというときっと変わりません。システムはただ面倒に見えるだけです。別にそれが悪いとは思いません。どちらかというと普通だと思います。

一方で、データの活用や業務の効率化を真剣に考える人(普通ではない人)にとっては、システムによって安定したフローになったことで「無理しなくてよくなった、楽になった」と考えます。
原稿整理や進捗管理する人、メーカー担当者も、DTPもみんなの気持ちが楽になったと思えるようになればまずは成功だと思います。

システムに対する考え方が、それぞれの立場によってもこれだけ違うわけなので、目指すべきところは、何も考えなくてもいい、簡単に使える、という路線と、どんな要求にも対応できる柔軟な考え方と、データの居場所を確保する裏方の部分をしっかり構築する路線が必要なのだと思います。

また、カタログ制作が一様で、データの中身も変わらないのであれば、入稿システムは必要ありませんが、毎年更新が必要であり、内容もデザインも変わるということにシステム的に柔軟に対応し続けるためには、常にメンテナンスが必要、そこにコストがかかる、ということも内外で理解しておくことも重要です。

次の世代に繋ぐためにも、少しでも理想に近づくため、あきらめずに続けていきたいと思います。




2015年2月9日月曜日

page2015まとめ その1

2015年2月4日から3日間開催されたpage2015が無事閉幕しました。

2月ということもあり毎年天候に恵まれない印象がありましたが、今年は初日から来場者が多く、ブースにも沢山の方にお立ち寄りいただきました。ありがとうございます。

また、今年はブース出展の他に、
  • カンファレンスのスピーカー
  • クリエイティブゾーンセミナーの講師(?)
  • ITmediaさんからの取材
  • しずおかオンラインさんと共同出展「paper-web」の発表
  • IDML Binderの公開
など、充実したものでした。

カンファレンススピーカー

2月4日に開催された「Web to printの新展開<Web上で動作する新たな組版エンジンの可能性>」 で、「WEB入稿自動組版の過去〜現在〜未来」をお話させていただきました。
"Web to printの技術は、ネット印刷ビジネスだけには留まらない。デザインテンプレートや共通パーツによる簡易レイアウト、Web制作と印刷の一元化など、DTPに置き換わる可能性を考える。

Web to printは、デザインテンプレートや共通パーツによる簡易レイアウト、Web制作と印刷の一元化など、独自の組版エンジンが動作することによって、DTPに置き換わる可能性がある。専門的な知識やスキルなしに自動組版や簡易レイアウトが行うことが可能になり、さらに印刷物と電子コンテンツのワンソースマルチユースも実現する。これからのWeb to printと新たな組版エンジンについて議論する。"(page2015カンファレンス紹介より)
の順番で、各社が取り組み等をお話していくわけですが、アンテナハウスを出てオープンソースプロジェクトでCSS組版を進めている村上さんも、自社自動組版エンジンを使ってマニュアル等のシステムを展開する藤原さんも、エンジンをお持ちですが、ニューキャストにはエンジンはありません。WPSの自動組版エンジンは、メーカー製エンジンであるEdian、MC-B2、Formatterと使用してきました。自動組版は、まだまだこれからも続けていくわけですが、我々が重要視する「エンジンは変わる、それよりもデータが大事」というコンセプトを提唱してきました。その点は、もっと将来を見ている村上さん、自動組版は単なるオプションになりつつあるという藤原さんも根本は同じであろうと思います。

当日の資料は、こちら

クリエイティブセミナー講師

YUJIさんからお話をいただいて快諾しましたが、当日100人以上は参加いただいたのでしょうか、自分のセッションは10人ぐらいでこぢんまりかなと思っていたのでかなり驚きました。
InDesignを、DTPオペレーターだけでなく、みんなが知ることでやっとその機能が活かされると常々思っているので、営業さんなど普段InDesignに触れない人に聞いてもらいたかったのですが、圧倒的にオペレーター関係の方が多いという結果でした。
  • 文字スタイル・段落スタイル
  • ワード取り込み
  • タグ付きテキスト
  • XML取り込み
  • データ結合
  • スクリプト
  • IDML
と、基本的なところから順番に進めていったのですが、つい「ちまちま」とやってしまう理由は何かというと、「機能が信用ならん」「上手く使えない」ということではないかと話ました。ソフトウェアなので、何か問題、課題は絶対ありますが、折角お金を出して買ったわけなので、単なるレイアウトソフトとして使うのではなく、自分の時間が持てるように使い倒しましょう、というお話でした。

当日の資料は、こちら

今回は盛りだくさんだったので、また続きを書きます。(なるべく早いうちに)

2015年2月1日日曜日

IDML BinderでInDesignからWEB入稿フォームを作る

先日紹介した「エクセルをアップしてInDeisign(IDML)をダウンロード」を早速、近所の印刷会社さんでネタ話してきたのですが、

デザインテンプレートとなるIDMLをアップロードすると、タグが入稿フォームになるよ

というのを書き忘れたなと気付きましたので、追記です。
※IDML Binderは、page2015 ブース(D-28)クリエイティブセミナー(まとめて解る! InDesign自動化の全て 2/5 11:40〜12:30)カンファレンス()【G2】Web to printの新展開<Web上で動作する新たな組版エンジンの可能性> でもお話&デモします。

つまり、

IDMLのタグ = 入稿フォームのフィールド = エクセルの項目

になります。

これは、先に開発を進めていたWPS4IDML(WPSのIDML出力版)の中にあった機能で、これを切り出してよりライトな仕組みからやってみようというのが、IDML Binder。
WEB上の入稿フォームというと、大がかりなデータベースを想像してしまうのですが、自分達が欲しいのは、掲載情報を入れる場所。それが、エクセルでくる、それをInDesignにはめ込みたいだけ。というようにシンプルに考えています。

タグ付けは、データ結合と同じイメージでいいと思います。
データ結合の場合、
  • InDesignフォーマットを作る
  • CSVを指定
  • CSVのフィールド項目をInDesignのフォーマットにマッピング
となりますが、
IDML Binderの場合は、
  • InDesignフォーマットを作る
  • タグをInDesignのフォーマットにマッピング
となります。
データ結合の不便なところは、ドキュメントとなるInDesignとCSVとマッピングしたセットの情報が残らないので、一連の作業を一気にやらないといけないのが、
「いいんだけどイマイチなぁ。。。」 となるのですが、
IDML Binderは、テンプレートをあげておけば、項目名をもとに、InDesignとエクセルデータを紐付けしてくれます。
なので、項目名さえ合わせておけばいいということになります。
この辺りもデータのハンドリングが軽やかになっていいのではないかと思います。

是非ブースで見ていただいて、感想など意見交換できたらいいなと思います。







2015年1月27日火曜日

エクセルをアップしてInDesign(IDML)データをダウンロード

ずっと組版を自動でやりたくて、WPSが出来たことによって「入稿データをそのままサーバで自動組版する」というところは完結。
その後、「もっと自由度の高いレイアウトに対応して対象範囲を拡げたい」となって、WPS.3がそれを解決し、でもやっぱり「自動で組んだあとInDesignで触りたくもなる」という気持ちをWPS4IDMLが解決へと導きつつあります。
これらのアプリケーションは、10年の歳月を経て、色んなことを想定して改良を重ね、そして、たくさんの人たちに使ってもらえるようになりました。
WPS系列は、今ではかなり沢山の機能を詰め込んだサービスとなっていますが、世の中にはまだまだ大変な作業、非効率な作業を強いられている現場があることも事実です。

今日紹介するのは、デキタテほやほやの「IDML Binder」

いわゆるオンライン自動組版のアプリケーションです。
制作入稿したエクセルと、流し込みたいデザインがあるとき、どうしてますか?
コピペ?データ結合?プラグイン?
きっと、それぞれのやり方があることと思いますが、
エクセルを投げたら、InDesignデータが出来るなんていうサービスがあったらいいよね
という話を前から言っていて、つい昨日見せてもらったのが今から紹介するアプリケーション「IDML Binder」です。

0. 準備

流し込みたいテンプレートは、IDML形式です。
データ結合で使うイメージで、タグを付けたInDesignデータを作成し、IDML書き出ししておきます。
また、タグに対応するエクセルも準備しておきます。
※テンプレートアップ後に、空のエクセルをダウンロードも出来ます。 
サンプルデータのイメージ
 

 
ちょっとまだURL非公開です。(page2015でお知らせするかも)

 

1. サインインは、googleアカウントで。

 
アカウントを選択すると、登録画面が表示されます。名前をいれて登録を完了します。

 

2. まずはプロジェクトを作る

ログインすると自分のプロジェクトが表示されます。
新規プロジェクト作成をクリックしてプロジェクトを作成します。
名前を付けたらプロジェクト完成です。 

 

3. テンプレートをアップロード

「テンプレート管理」をクリックして、IDMLテンプレートリストを表示します。
 IDMLアップロードに準備したIDMLをドラッグしてアップロードします。

アップロードが完了すると、リストに表示されます。これでテンプレート登録は完了。プロジェクトへ戻ります。

 

4. エクセルをアップロード

エクセルはIDMLのタグと紐付いていれば良いですが、最初から作りたい場合は、「記事データダウンロード」をクリックすると、空のエクセルデータをダウンロードできます。
 
アップロードするサンプルエクセル
 
 「Excelデータ取込」ボタンのあたりにエクセルをドラッグ&ドロップしてください。
 
アップロードが完了すると、リストを表示します。
※データはすべて上書きされます。

 

5. IDMLをダウンロードして、InDesignで開く

上記スクリーンショットの「Edit」ボタンをクリックすると、データの編集ページを開きます。

「IDML生成」ボタンをクリックしてIDMLを生成後、「ダウンロード」ボタンをクリックしてダウンロード。InDesignで開いてみてください。
 



内容のデータを直したいときは、編集画面で、デザインを直したい場合は、テンプレートを変更して再度アップロードして、同じ手順で進めれば修正が可能です。


 

さて、これで何が想像できますか?

制作の効率化ってなんだ?とよく聞かれますが、ずばり「入り口と出口の距離を縮める」ことだと思います。

今回は、カタログのスペックっぽいものですが、フォーマットのあるページレイアウトなら何でもよいと思います。

例えば、
  • エクセルをもらった営業さんが、これを使ってIDMLをデザイン担当に渡したら、これを調整しておいて、で済むかもしれない。
  • そもそもエクセルをもっているお客さんが先にアップロードして、営業さんにIDMLで渡してくれるかもしれない。
などなど、「入り口と出口」が少しでも縮まるのではないでしょうか。
そして、これによって効率化のための色んな想像ができそうです。

「IDML Binder」は、今まで色んな事に取り組んできたけれど、もう一度やりたかった原点に立ち返り、今何ができるのか、今後どうなっていけるのかをイメージさせてくれる夢の詰まったアプリケーションだと思います。

これから「IDML Binder」をブラッシュアップしていきたいと考えています。
page2015のセミナーで紹介もしますし、ブースでデモもできます。
これからの制作効率化について是非皆さんと一緒に考えたいと思います。

2015年1月8日木曜日

page2015展示会に向けて

pageです。
印刷メディアビジネスの総合イベントです。
(開催概要はこちら

またそんな季節がやってきました。

出展情報を暫定版で更新しました。

この時期は、制作的には2〜3月下版、印刷、そして4月にはサイトリリースなんていう案件が目白押しなので、なんでこの時期なのかといつも思いつつも、他の時期も思いつかないのでよしとして。

来場する企業側的にも会場で決裁するわけでもないので、色々見て今後の参考にということであれば、出展社側としては、会期終了から半年ぐらいの長いフォローアップが必要となるのかなと。
ということは、展示会に至るまでの導線と当日のデモ、その後の営業活動やサイト告知なり戦略的にいかなければいけないのだろうと思います。

と、いつも思っていても、例年時間がない。
僕らはメーカーではないし、少人数なのでプロモーション専任もいない。
そして、そもそも営業がいない。
制作しつつ、開発しつつ、サービスのサポートをしつつ、
展示会の準備をするしかない。

しかし、良い事もある。
展示するものは、実戦で自分達が自ら使ってきたものだから、
ユーザーと同じ目線で話しができる。

原稿の催促や、バラバラな原稿を読み解いたり、繋げたり、確認したりする原稿整理の大変さや、
わざわざ面倒臭くなっている組版仕様との戦い、
どこにあるのか、もらったのかどうかも分からない画像の捜索、
いざ印刷入稿時に未知のエラー検証、
DTPデータをWEB用に取り出すときのあの何とも言えない非効率感、
丸投げ感満載の担当者との闘いは、
かなり多くの人と共感しながら話ができます。

なので、共感してくれた人を裏切らないように、
少しずつかもしれないけど、毎年進化していっているということを伝えたり、
これから先をイメージできるものを考えて、展示会に出すということを続けています。

今年は、例年以上に明確なメッセージを伝えられるのでは無いかと自分自身期待しています。

キーワードは、IDMLとAPIの活用です。
※IDMLのAPIという意味では無く別ものです。

眠たくなってきたので詳しくは次回に回しますが、InDesignデータとなるIDMLを現実的な線で、うまいこと制作の効率化に繋げられないか、
WPSのデータをAPIを使って取り出して別のサイト、アプリに持って行く仕組み(しずおかオンラインさんと共同開発)がメインとなりそうです。

ご期待ください。

そんなことより、お前、、、進行中の案件大丈夫だろうな。。。
と思われないように、勿論そちらも頑張ります。

2010年7月25日日曜日

InDesignを「連続で開く」「何かする」「上書き保存して閉じる」スクリプト覚え書き

連発で何かしたいことがよくあるので、メモ。

制作現場でさくりと使いたいので、下記の例では、例外処理とか何もしてません。

とりあえず開くファイル名は、CSVで与えるとする。
フォルダを選んでその中にあるファイルとかありますが、
ゆくゆくファイル名以外の情報も与えて与えてそこだけ何かするとかにも使いたいので、
こんなプランにしてます。
※例えば、ファイル名,50-53とかでページ数を与えて、そこだけプリントするとかね。

CSVの取り込みは、配列にさくっとしてくれる「CSVData.js」を使用。

下記サンプルは、
・CSVで与えたファイルを開いて、
・「す」という文字を探して、
・文字スタイルを変更して、
・上書き保存
するだけ。。。


#include 'CSVData.js';

var csvFile = new File('data.csv');

if(csvFile.open('r')){
var csv=csvFile.read();
}

var fileList = CSVData.parse(csv);

for (i=0;i<fileList.length;i++){
fileObj = new File(fileList[i]);
app.open(File(fileObj));
app.findTextPreferences = NothingEnum.nothing;
app.changeTextPreferences = NothingEnum.nothing;
app.findTextPreferences.findWhat = "す";
var myFoundItems = app.documents.item(0).findText();
myFoundItems[0].select();
myFoundItems[0].appliedCharacterStyle= "あか文字"

app.activeDocument.close(2036691744,fileObj,"",true);
}


上書きしますからね。テストとかするんだったら気をつけてくださいね。
怖かったら、

app.activeDocument.close();

としときましょう。確認ダイアログが出ます。

もうちょっとはしょってみると


#include 'CSVData.js';

var csvFile = new File('data.csv');

if(csvFile.open('r')){
var csv=csvFile.read();
}

var fileList = CSVData.parse(csv);

for (i=0;i<fileList.length;i++){
fileObj = new File(fileList[i]);
app.open(File(fileObj));

//やりたいことを書く

app.activeDocument.close(2036691744,fileObj,"",true);
// or app.activeDocument.close();
}


※ちなみにこれCS3でやったものです。

2010年2月12日金曜日

InDesignをiPhoneのStanzaで読める電子書籍にしてみる

ざっくりですが、、、、

InDesignCS4で、「Degital Editions用に書き出し」というメニューからePub形式に持って行けますが、iPhoneの電子ブックリーダーのStanzaにそのまま持ってこれるかなと思いきや、エラーで持って来れず。。。

なので、とりあえずうまくいった方法を。
1.InDesignCS4→「Degital Editions用に書き出し」でとりあえずePub保存する
2.ePub形式のデータを作ってくれる「Sigil」で、1のデータを開き、Save asで保存しなおし。
3.先に「Stanza Desktop版」をインストールしておいて、それで2のデータを開く。
4.iPhoneでStanzaを開き「ライブラリ」→「共有ブック」とタップすると、「Books on 某」と出てくるので、そうすると、3で開いているデータが出てくるので、それをダウンロードする。
※InDesignから書き出したデータだとここでエラー。
5.取り込み完了すれば自分のiPhoneで見れる。

ということで、なんとなくInDesignからiPhoneで読める電子書籍にできると。

今後例えばですが、AdobeからInDesignで書き出したデータを「うまいこと」持って来れるような繋ぎのツールが出てきたりすると、すごく加速しそうだなと。リーダーとかもですが。

それとInDesignで作ったデータを電子書籍にする場合、というかePubにする場合、作るときに想定した作り、例えば、タイトル、見出し、箇条書きなど、表現しやすい、持って行きやすい作り方にしておくのは重要と感じましたね。
※ちなみに、合成フォントはブブーとなったり現時点ではしています。

2009年9月3日木曜日

InDesignCS3か4で表をエクセルとリンクさせる

マニュアルとか読んでないので、間違ってたらごめんなさい。

「InDesign上の表と、エクセルで作った表をリンクさせる」という結構、夢広がる機能ですが、
ちょっと触ってみた感想です。

方法としては、「InDesignの勉強部屋」の「表スタイル・セルスタイル 」にあります。

データ更新は、エクセルの更新日とInDesignに配置したときの日付で差分をみてるようです。

これの使いどころは、以下
・表の形がだいたいパターン化できそう
  ※全部ばらばらなら、最初の取り込みの時だけ楽しいです。

・結構たくさんあるとき
  ※1、2個なら何も考えずに作った方がいいです。

・セル内の文字に対して、文字スタイルを付ける必要がない
  ※正規表現スタイルとかでいけてしまうならOKかと。
  ※リンク更新すると、単純につけた文字スタイルはとれてしまいます。

・結構データ更新が多い(多そう)

なので、
 表・セルスタイルでばっちり作れるなら、是非やるべき。
 これはお客さんにも校正や制作速度においてメリットがあるので、ちゃんと出来ること、出来ないこと、やっていいこと、やっちゃいけないことを説明してお客さんを巻き込んでやらなければいけないです。

しかし、以下とっても大事なこと
 アプリを信用しないこと。
 何かあってもアプリのせいにはできません。
 ちゃんと確認することは変わらず大事です。
 ただそれがちょっと楽になるというところです。

DTPって
 なかなか手順というのが揃えにくいものですが、こういう良い機能があるなら、
せめて表のところだけでも仕様を決めてやると、楽しくなりそうですね。
 

2009年7月18日土曜日

学参のDTP・組版をどうするか〜大改訂に備える

「学参の波」は、じわじわと忍び寄ってますが、実際どうなるんだろうということで、現時点でちょっとまとめてみます。

1.「学参」とは…


「学参」は、「学習参考書」の略。多分。
教科書を元にして作られる本です。本屋さんに並んでいたり、学校で配られたりする本です。
教科書の内容は、文部科学省による学習指導要領が何年かおきに改訂されます。
それに伴って、学参書籍も改訂したり、新しく作ったりします。

2.「白表紙」について


教科書を巡る問題は度々報道されたりしていますが、その中でも白表紙問題というあります。「白表紙」とは、教科書検定に申請する申請本のことを意味しています。
参考書や問題集などは、教科書と一緒のタイミングで必要となります。
以前は、この白表紙をもとにして、学参書籍の本作りを進めて、その教科書が検定に通って、多分そこからちょこちょこと修正が入って完成するわけですが、それに合わせて、学参書籍も修正して発行すると、そういう流れだった(…らしい。出版社の人間ではないので詳細は分かりません。)のですが、この白表紙にあたる書籍の内容を検定前に公開する行為が、出版社による教科書の宣伝行為だと、いう話になってしまって、検定まで外部へ出してはダメということになりました。※その他利用もあると思います。
これによって、学参系出版社は、作りたくても、元の本が手に入らないために作ることができないという状況に陥っています。
「公開されてから作ればええやん」と思うかもしれませんが、なんせ時間がないのです。
まあしかし出てこないのは出てこないので、さてさてどうするか…

学参組版の課題・問題点(制作会社という立場から)


この辺から、制作の立場での意見になります。
最初に現在考えられる課題・問題点をまとめておくと…
1.制作期間が極端に短い
2.制作できるところ、人が減っている
多分現実ダブルパンチ(おお、懐かしい響き…)です。
学参組版にもいろんな種類があるけれども、一般書籍と違ってそれなりの技術と経験が必要とされます。なので作業は結構時間がかかります。
しかし、現実的、物理的な「時間」あるいは「コスト」という制約がある以上、次のことを考えなければいけません。

今、何をすべきか


「短い時間(短期間)で、効率よく(省力で)下版までもっていける制作フローの確立」
「省力って、手を抜くんかい」と思うかもしれませんが、そうではなく、原稿作りから、やりとりの手間、印刷工程までスムーズに流す、ということであって、決して適当にやるということではありません。
「少ない力で高い品質の組版を実現する」ということであり、今やらなければいけないことは、やるべきことは、この準備です。

「自動組版」、「XML」は解決策じゃない


「省力化」というと、ついついこういう発想にいきがちです。
「自動組版」は、頭からおしりまで、すっぽりと収まらないと意味がありません。
ちなみにWPS(情報誌の自動組版システム)は、すっぽり収まってますが、多種多様、組版の性質からして、これに当てはまるとは言えません。まして「XML」なんていうのは、何かに使うときに考えることであって、使える状態でデータが揃っていないという今、考えるべきことではありません。

まずは情報を整理してデータを集めましょう


改訂本にいたっては、製版以降で修正している可能性もあって、DTPデータと最終データがイコールであることも疑わしい状況です。ちゃんと管理しているようでも、実際のところできていないところが多いと思いますが、これには理由があります。
「環境が変わりすぎ」なのです。組版が専用機で行われていたときは、外部環境との関係が、悪く言うと「孤立型」「親和性がない」、よく言うと「依存しない関係」にありましたが、現在はどこでも買えるPC上で動くので、OS、ソフトウェアなどなど依存する部分が多い。
こういう環境下では、どう管理するかも変わってきてしまうので、だったら、とりあえずデータをここに置いておこう、という程度しかできないのです。
整理できていないという前提のもと、一度ちゃんと表に出してみて、整理し直すのが第一歩だと思います。

失敗や苦労を繰り返さないために〜コンテンツを無駄にしない


学参のコンテンツは、使い捨てのものではありません。編集者の方たちが一生懸命原稿として仕上げた知識のかたまりです。
しかし、そのコンテンツが収められている場所は、DTPデータの中です。
DTPデータは、その先の行き場を失ったデータ、言いたくないですが、「ゴミデータ」であることが大半です。DTP化によって「他アプリケーション(データ)との親和性の向上」「デジタル化による印刷コスト削減」というのがまるで恩恵のように謳われていましたが、なんのなんのそれによって引き起こされた問題は、この業界の将来性をも削っています。
一昔前のアナログ→DTP化では成し得なかった、このデータを生きたデータにして使えるようにするということも、今回は重要な課題です。

組版側として考えなければいけないこと


印刷は機械の性能の向上によって、時間短縮、ミスの軽減など図れると思いますが、制作作業は、機械やソフトウェアがやってくれるわけではなく、「人」がするものです。これは昔から変わりません。しかし、その重要性が、印刷の付加価値、効率化などなど、そのようなうわものの方へ考えがいってしまって、忘れられたのは、我々にも責任があると思います。もともと立場の弱く、表舞台にたてない、スポットライトのあたらない場所であるという諦めから、悪い流れに対して、堰き止めることができなかった。
組版側=作り手側として、そういう反省をしたうえで、まず以下のような後々問題を引き起こす可能性があるものへの考え方を改めなければいけません。
・ソフトウェアやそのバージョンへの依存
・フォントへの依存
・作った人(作り方)への依存
・印刷工程への依存
これらを解決していかなければ、またまた「ただ作るだけ」に陥ります。

「作り方(制作手法)」の重要性


品質を高めることに対して、無限の力(時間)が使えるなら別ですが、往々にしてそうではないのが現実です。であれば、品質とコストのバランスを考えた作り方をしていかなければいけません。基本的に「人が手を加えるべきところを極力減らす」ことができればよく、元来組版は、すべてオペレーションによって完成まで持ち込むものではありません。そんな非効率な手法はありません。組版のルール、本作りのルールの上に成り立つものです。人が手を加えればいいものができるかというのも、現状のレベルを考えると、今ではもうなく、「手を加えれば加えるほどおかしくなる」というのが現実でしょう。作り手が考えることは、いかに手をいれずに作るか、いかに手を入れやすい作り方をするか、これがポイントです。

「乗り換えありき」で考える


さあ、学参組版にはどんなソフトが一番いいんでしょうか。InDesign?MC-B2?EdianWing?Quark?写研?その他いろいろあって、それぞれにメリットデメリットがありますね。
・InDesign
メリット>安い(CS買うとついてくるおまけ)、QXからの乗り換えとかもあって普及している。スクリプトを使いこなせれば強力なツールになる。データの出し入れはそれによって吉。
デメリット>学参でも細かいものになると手数(人もそうだけど、操作ステップ)が必要。ちょっと不安定っぽい。やっていて「うっそ〜ん。。。」とかよくある。
・MC-B2
メリット>「組版」には向いている(「DTP」には向いていない)。数年前と比べて格段に良くなっている。タグやマクロを使いこなせばかなりよい。
デメリット>ちょと高い(セットで150万円ぐらい?)。ちょと不安定。
・EdianWing
メリット>DTP的、組版的両方に使える機能がモリモリ。オールラウンドで使えて安定もしている。
デメリット>かなり高い(ハード込みで350万円)。対応とかこれからが微妙。
・Quark
メリット>往年のQX使いは多い。なんだかんだでQX3.3ユーザはまだまだ多い。いろんなツールが出ている。
デメリット>ちょっとInDesignに押されすぎで影が薄くなった。最新の情報(メーカーではなくユーザの)が少ない。
・写研(最近使ってないので、聞いた話と見た話で)
メリット>専用機なだけあって、組版を考えつくされている。書体(あえてフォントではなく)の良さは、なんともいいようがない。
デメリット>いろんな意味で減っている。
と、まあ総合すると、InDesignを頑張って使いこなすか、B2やEdianのようなものの機能を使いきって人手を減らすかというような感じです。多分トータルコストは同じなはずです。違うところといえば、日本語組版というちょっとやっぱり海外の組版とは違う要素を、米国産(だっけ?)のInDesignがどこまで吸収してくれるか、じゃないかと。

どんなソフトウェアでも、寿命があります。今までの経験、これからを考えたら、「乗り換え」を視野にいれなければいけません。乗り換えとは、DTP・組版ソフトでもあるし、そのコンテンツが使われる場所もそうです。汎用的でなければいけないということです。もう誌面に掲載されて終わり、という時代はとっくに通り過ぎていて、そこにあるデータをどう使うか、どう作るか、ということの方がはるかに重要なのです。

という感じでどこかで頼まれたときのための原稿の元にしときます。

2009年7月14日火曜日

デジパブに行ってきた

いかんいかん、つい他ごとに頭がいっちゃって。。。

7月9〜12日に東京国際展示場(ビッグサイト)で開催されていた「国際ブックフェア+デジタルパブリッシングフェア(略してデジパブ)」に行って参りました。


2回ほど?出展社として出したこともある展示会です。
なかなか展示会費用もかかるので、PAGEは外せないので、デジパブは今回は見送り。

学参系の動向調査がメインです。

金曜の夜に出発し、東名で4時間ぐらい?。横浜志賀家にお世話になり、朝食までいただいて会場へ。
(出発した当日は、私、お腹か胃の調子を崩して、朝からずっとくたばってました。正直終わったかと思いました・・・が翌日はなんとか。皆さん拾い食いは止めましょう)

どれか一つにマルを付けてくれと言われたのです。




写植屋という業種カテゴリは昔あったんだろうか・・・ま、いいや。

朝イチは、さすがにまだ空いてましたが、時間がたつにつれ、図書部門は、
歩くのもちょっと大変なぐらいでした。
<before>


<after>


全部紹介できないですが、あまり基準もなくピックアップします。

PDFを活用した「パラパラめくりではない」デジタルカタログ





一見、よくあるPDFをJPEG化してFLASHでパラパラ見せるやつかなと。
説明を聞いてみると、情報を吸い上げて検索キーワードみたいなのを抜いて、
その誌面上のインデックスを作って、さらにそこにいろんな付加機能が付いている。
うーん、なるほど。山本さんが言ってたな、できるって。またやられちゃったねえ。
あんまりデータベースとか考えずにやるこういう発想、個人的には好きですね。

裏の組版エンジンはInDesignだそうです


凸版さんのブースで、辞書作りのための入稿用インターフェースを紹介してました。
実際本が出来てました。でもやっぱり製品というよりは事例であって、このためにスクラッチで作り込んでるそうです。お客さんの要望にマッチしてるんだろうなと、まとまった画面でした。ルビとかはタグを埋めてもらう了承を得ているらしく、テキストエリアの隣にHTMLのビューが付いてました。現実的でよかったです。



文書を構造化する難問にチャレンジしている企業があった!!



「いやー、これ大変っすよね」、やりたかったんだよなーと見てました。こうすればできるっていう理論はあっても、ここまでよくやったなと言う感じの出来具合。構造化するって、こういうことなんですよね。今はもっとユーザーフレンドリーなインターフェースも沢山あるから、技術的にはかなり現実的。あとは、あんまり複雑怪奇になって、結局誰も分からなくならないようにしないと、本末転倒になってしまいますよね。しかし、構造化できる文書であれば、マッチしますね。組版エンジンはFormatterっていってたかな。確かに向いてます。

InDesignで数式を組む


竹田印刷さんの出展製品です。
ワードで作った数式入り文書をTeX経由で、InDesignに、編集可能な状態で持って行くものでした。InDesignには数式機能が当然のようにデフォルトではないので、InDesignで数式入りの組版をする場合、こういう選択肢もある、ということでした。
InDesignが判断組っぽく、カタカタと組版するところも見ていると、シンプルさんのWAVEを彷彿させる感じです。これもよくやったよなあと感心しました。
課題は、InDesignで編集できるにせよ、Wordからの完全原稿入稿でないと力を発揮しにくいところです。完全自動組なら可能性として有りです。
写真OKだということでぱちり。


AdobeScene7


えーと、、、うーんと、、、Adobeさんのサービス?で、印刷で使った高解像度の画像をWEBその他に適したデータで返してくれるらしいです。
見せてもらったのは、例えば商品カタログであるメーカーの靴があったとして、それの色をブラウザ経由というかFlash経由で変更できるとか、下の写真のように、パーツを組み合わせて、色柄とかコーディネイトできるとか、、、このサービスを使うと、そういうインターフェースを使うことができるらしいです。海外の事例が中心でした。面白そうなんだけど、こういうのをスイスイ作れて、スイスイ使える方法が出てくるまで待ちだなと。でも、印刷物で使った高解像度の写真をうまく使おうよ、というコンセプトならそれはそれで良い発想だなと思いました。


ノリが良い神戸の粋な会社(と見た)


神戸の印刷会社さんで、Metaworksを使ってるそうなので、
ユーザの視点から見た感想を聞いてみたりしました。
やっぱりアプリの善し悪しは別として、実際案件で使おうと思うと、
どう使うかねえ、もしくはどう使えるかねえ、ということを考えないといけない。
当然のことを当然のようにやっている企業さんですが、
アプリを買えばなんとかなると思っている企業も沢山あって、
使わずにほかってあるのもよく聞きます。
そういう「どう使うか」という部分まで、しっかりコーディネイトできるような
企業になりたいなと、ことある度に思うのです。
世の中には良い製品、良いアイディアが沢山あるのに、
うまーく使えていない。そう思うのは僕だけなのかしら。

ちなみにこの腰巻きは、全社員に以前配られたもので、ここぞとばかり持ってきたそうです。
なんか、「っらっしゃいっ!!」って感じで、元気が伝わってきていいですよね。

InDesignでラウンド罫囲みプラグイン


京都の会社さんでした。InDesignで結構ネックになるのがラウンド罫囲み。
スクリプトを使えばなんとかなりそうですが、それをプラグインにして提供しています。

説明される方の話口調が、「ああ、この人はずっとこの世界でやってきたんだろうな、いろんな事にチャレンジして形にしてきたんだろうな」と感じさせ、敬意を持って拝聴しました。
「できるだろう」から「やってみよう」、そして「やり遂げる」。周りからは分からないと思いますが、雲を掴むような意外と大変な作業なんですよ。

モリサワさんを覗く


山本さんの各ブース立ち寄り時間は非常に長いので、ふらっとひとり旅に。
お、学参って書いてある、ああ、モリサワさんだ。。。
MC-B2の導入結構多いでしょ、と質問すると「かなり」と。
学参ももうほんとうに大改訂が近づいていて、準備しておかないとやれるところがなくなるんですよね。我々もまだ見ぬ世界ですが、大変なことになるんだろうなと不安と期待で過ごしてます。それまではなんとか頑張ろうと。今のうちに仕込めるものは仕込んどけと。
とと、あ、やっぱりNasse置いてるんですね。。。


塾などの教室でプロジェクタと合わせて使うデジタルな黒板


「天気予報」なんかで使われているアレとよく似てます。
しかし、先生方コレを使い切るのか?という素朴な疑問。
使えてる姿はカッコイイんだけど、なんか勉強を教える前に、
また覚える事増えちゃってみたいな意見が出てきそうな。
しかし、コンテンツのデジタル化が図れればこういうところでも使えるんだよなと。
コンテンツとしては供給もしやすくなるし、受けもしやすいのは確か。


下は日本地図をネタからひっぱてきてその上に何か書いているところ。

今回何が一番印象に残ったか3人でアンケート調査したところ、↑が一番でした。
なんか夢がある。多分そこです。

おまけ:ガンダム見てきました!


だって、会場からすぐなんだもの。。。
歩いて会場に入っていくと、期待をじらすかのようにまずは後ろ姿がちらり。

そこで、おーっとなるわけです。
横向きから見て、前面を見る。あーっ、でけー、、、ぽかーんですわ。



しかーし、限定本とか限定プラモとか、2時間待ちの長蛇ですよ。さすがに帰りました。
帰り際、BGMが消えたと思ったら、プシューっと蒸気がガンダムから。
クビを左右にゆっくりと振り、そして最後には上向きですよ、
さすがに観客から「おーっ」と歓声があがったのでした。
クビまで動くから、全体的に動き出すのもそう遠くないですね。きっと。

最後に・・・
息子に小学館の図鑑NEOシリーズ「宇宙」と「昆虫」を買って帰りました。
なんと20%引きなのです!!

個人的には「宇宙」の方が好きなんですが、6歳坊主には「昆虫」がかなり興味があるらしく、
重たい本を寝床に持って行って、一生懸命見てるんです。


「本作り」に携わる企業として、こういう光景をいつも思い出してやっていかないといけないなと、もう寝るよ、と言いながら思ったのでした。

2009年7月6日月曜日

写研をDTPにコンバート

うーん、GoogleSites、クロールしないのかな。
地道に上げるしかないのかしら。

仕方ないので、ここでも紹介。
写研データをDTPデータにする

SlideShareにもあげてます。(が、フォントがない、、、)
ここです。
※SlideShareを試したかっただけです。

そのうちPDFにしておいておこう。

2008年7月12日土曜日

InDesignにXMLをとりこんでみる

できるって分かってて実験したかどうかも忘れてしまったので、次こそ忘れないぞ、ということで書いておこうと思います。

とりあえず、単純なXMLを読み込んで、確認です。
参考URLはここです。
目標:
1.XMLのタグ内の文字列が、指定したテキストフレームに取り込まれること。
2.指定した段落スタイルが適用されること。
3.画像が取り込まれること。(上記参考URLを参考にしてくだし。file://で指定するだけです。)
4.複数の要素を1つの枠に入れられること。

InDesignのXML取り込みの概要は、以下の通り。
・InDesign上に、テキストフレームや画像フレームを置いて、InDesignドキュメントを準備する。
・XMLを準備する。
・「構造」を表示させて、XMLを取り込む。
・取り込んだXMLの要素を、InDesignのフレームにドラッグ&ドロップする。
以上

1回このマッピング(XML要素←→InDフレーム)ができてしまえば、別のXMLを取り込むと内容が入れ替わる。まぁべんり!
あとは、JSなどで、一気にXMLを回して取り込んじゃえばなおかっこよい。
下準備がめんどくさいって、言ったらだめですよ。この機能を使う意味ないですからね。
コンピュータは、人の頭の中を読んではくれないです。指示を与えないと動きません、です。

DTPって、やればできてしまうので、ゴリゴリやっちゃうんですが、
こういう下準備、段取り上手が仕事を速くするとホントに思う今日この頃。
いつまでもうだうだやってんじゃねえよ、と自分に喝を入れて取り組みましょう。

それでは開始…
1.InDesignドキュメントを準備します。
InDを立ち上げて、「ファイル」→「新規」→「ドキュメント」を選択して、
何も考えずに、Enterを2回押すと、まっしろいドキュメントできました!

2.ツールバーの「T(文字)」ツールをクリックして、適当に、テキストフレームを作成。
サンプルなので、これを仮に枠Aと枠Bとして、2つ作ってください。
↓こんな感じです。(適当です)


3.XMLを準備します。(適当です)
import.xmlとして保存しておきましょう。
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<import>
<a>Aタグ</a>
<b>
<c>Cタグ</c>
<d>Dタグ</d>
</b>
</import>

4.InDesignの「表示」メニュー→「構造」→「構造を表示」を選択します。
↓こんな感じです。


5.XML読み込みメニューを選択します。
↓メニューはちょっとわかりにくいところにあります。こんな感じです。(構造ビューの右↑です)


6.XMLを選択します。さっきのimport.xmlです。
設定とか、いろいろありますが、とりあえず無視して、デフォルトのままいきましょう。
あとでいろいろ触ってみてください。


7.またなんか設定ダイアログが表示されました。
とりあえず無視して、そのままEnterしましょう。


8.はい、そうすると、出ましたか?XMLのツリー構造が構造ビューに表示されます。


9.面白くなってきましたねえ。。。では、左の構造ビューの「a」のところから、ドキュメントの枠A(上の方です)に、ドラッグ&ドロップしてやってください。
これがマッピング操作です。
↓イメージわかりにくいです。(Macのプレビューでタイマーで撮ったんだけどなあ。。。)


10.今度は、2つの要素を1つの枠にぶっこみます。
この場合は、CとDの親要素であるBをドラッグ&ドロップで下の方の枠に入れます。


11.要素にそれぞれ段落スタイルが適用されるようにしてみましょう。
段落スタイル1,2,3を、基本をコピーして作成し、適当にフォント、フォントサイズを変更してください。
そのスタイルを、aとcとdにマッピングします。


すみません、時間がなくなってきたので、はしょりに入ります。

12.適用されるとこんな感じ。
要素ごとにスタイルが適用されました。


13.さぁ、XMLを使う醍醐味です。
XMLを入れ替えて内容を入れ替えましょう。
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<import>
<a>Aタグ入れ替え</a>
<b>
<c>Cタグ入れ替え</c>
<d>Dタグ入れ替え</d>
</b>
</import>

14.ほら、変わった!(一部溢れてますね。こういうのもInD側の設定次第で調整できるんじゃないかな)


以上です。
結構簡単にできますね。
どのレベルまで実現したいかを、じっくり機能を試しながらやってみて決めていくのがいいと思います。