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「うまか棒」と「うまい棒」を見分けるのが校閲の極意

毎日新聞校閲グループ
コンビニでも売られている「うまい棒」(右)と「うまか棒」(左)
コンビニでも売られている「うまい棒」(右)と「うまか棒」(左)

「うまか棒」はリュックに入れてはいけない

 毎日新聞に毎週登場していた西原理恵子さんの人気漫画「毎日かあさん」で2009年5月、小学生の男子が「うまか棒」をリュックに詰め込む場面がありました。

 校閲記者は新聞の文字だけ見ているわけではなく、図表や漫画も見ます。

 「うまか棒」は明治のアイスキャンディーです。そのままリュックに入れたらとけてしまいます。これはスナック菓子の「うまい棒」(やおきん)の間違いではないかと、一人の校閲記者が声を上げました。

 「うまか棒もうまい棒も愛食していた」同記者はすぐ気づいたといいます。しかし、掲載当日のことで、社外の筆者に確認をして絵を直すだけの時間的な余裕はなく、直すことができませんでした。

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毎日新聞は東京に40人余り、大阪に30人余りの校閲記者がいる。原則として広告などを除く全紙面について記事のチェックをしており、いわば新聞の「品質管理部門」。書籍などと比べてかなり短時間で仕事をこなさなければならないのがつらいところ。朝刊の校閲作業は深夜になるため生活は「夜型」である。