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“雨模様”は「雨が降っている? 降っていない?」

毎日新聞校閲グループ

 春雨、時雨、しのつく雨……日本は雨にも、雨の言葉にも、恵まれた国です。

 さて、「雨模様」と聞いたとき、どんな天気を思い浮かべますか。空は暗く曇り、小雨がぱらつく「あいにくの天気」を想像する方も多いのではないでしょうか。

「今にも雨が降り出しそうな曇り空」を指す言葉

 雨模様は「あめもよう」とも「あまもよう」とも読みますが、「雨催(もよ)い」が変化したものと言われており、今にも雨が降り出しそうな曇り空のことです。つまり、雨は降っていません。

 「模様」も「空模様」といえば、実際の天気、空の様子のことですから「催い」が「模様」に変わったことが「誤解」を生んだのかもしれません。

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毎日新聞は東京に40人余り、大阪に30人余りの校閲記者がいる。原則として広告などを除く全紙面について記事のチェックをしており、いわば新聞の「品質管理部門」。書籍などと比べてかなり短時間で仕事をこなさなければならないのがつらいところ。朝刊の校閲作業は深夜になるため生活は「夜型」である。