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2024-12

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≪ 記号の整理 ALL 「無限論の教室」 野矢茂樹 ≫

命題

集合(論)の勉強を始めるわけですが、どうも集合論というのはあらゆる数学の基礎となる学問であるようです。それゆえ、あらゆる数学を支える土台として、論理記号の使い方から始まり、自然数、整数、実数とあらゆる分野で使われる概念を集合論の中で構成してしまおうという相当に野心的な学問であるようです。私は数学について殆ど何も知らないので、必然的に「...あるようです。」的な頼りない文章になってしまいます。これは非常に疲れるので、以後ある程度独断と偏見の決めつけ型で文章を書こうと思います。今回は論理命題です。

集合論に関する本は論理(logic)の練習から始まるのが標準となっているようなので、ここでも基礎的な論理についてまとめておく。


命題


命題とは原理的に真(True)、偽(False) の判定がつく文章


つまり命題は間違っていてもよいが、あいまいさがなく真か偽の判定がつくような数学文章です。もちろん命題に使われる言葉は曖昧さがあってはいけません。あまりにも基本的な言葉は別として、殆どの数学用語には定義が存在します。

命題の例と真偽
① 「 2 > 1 」 真
② 「 -1 = 0 」 偽
③ 「私は嘘つきだ」 命題ではない
④ 「任意の整数に対してそれより小さい整数が存在する」 真 (補足)


数学で考える問題は全て命題であると思われる(本当だろうか?)。
よって考える問題は真か偽のどちらかであり、「真でもあり偽でもある」とか「どちらでもない」というようなものは考えないことにする。


論理演算


二つの命題P, Qを組み合わせて新たな命題を作る方法を論理演算と呼ぶ。基本的な論理演算は

(1)P∧Q = P且つQ (が成立するか?)
(2)P∨Q = P又はQ (が成立するか?)
(3)¬P  = Pではない 
(4)P⇒Q = PならばQ 




殆ど解説することはないが、(4)だけは注意が必要だ。命題「P⇒Q」の意味するところは「PならばQが成立する」であるが、「Pでない場合はQについては(真であるとも偽であるとも)何も言わない」ということである。

つまり「0 =-1 ⇒富士山は海だ」 は命題として真である。くどいくらいに説明を付け加えると

「0 =-1が成立するような事があれば富士山は海である、
とはいっても0 =-1は成立しないから富士山についての命題は無視してくれ」と言っているわけだ。慣れが必要かもしれないが特に難しいところはない。

次回は真理表を使った論理演算に成立する規則性のまとめ。のんびりと行きましょう。

(補足)④のタイプの文章は注意が必要である。「任意の整数に対してそれより小さい整数が存在する」 という文章は曖昧さが存在しているので本来ここで命題として扱うのはよろしくない。正しくは

「任意の整数のそれぞれに対して、それより小さい整数が存在する」

と書くべきだろう。つまり

「全ての整数に対して、それら全てより小さい一つの整数が存在する」

との違いを明確にしておくべきだった。論理的に正確な文章を書くということはなかなか難しいので常に気をつけなければならない。私もまだまだ正確な文章を書くということが身についていない。(犯しやすい間違いの例として、これは修正せずに残しておく。)


コメント

情報ありがとうございます

かがみさんのhpで空集合は公理になっているようなので、これは定義を受け入れて進めばいいのかな・・・という気がしていました。本では
φ={x|x≠x} でしたが∃X∀x(NOT (x∈X)) と同じことになると思うので、先に進むことにします。

助かりました。それでは時間が空いたら論理演算の記事をまとめて、集合へすすむように頑張ります。^^

空集合について

こんにちは、かがみです。
空集合の存在は「公理」ですからなんの仮定もありません。
一般に ∃xP(x) が成立していて、さらにそのような x がただ一つ定まるとき P(x) を満たす対象に(便宜上の)名前をつけることが可能です。といいますか、名前が大切なのではなく、それが満たす関係(この場合 P(x))が重要なのです。「関係が対象を規定する」という大切な考え方です。
空集合は ∃X∀x(NOT (x∈X)) という性質により規定される対象です。このような X は外延性の公理によりただ一つ定まります。その対象を 通常 φ と名付けるのです。φ が満たすべき関係は ∀x(NOT (x∈φ)) です。
この辺りは余り悩まれず、「空集合というものがある」と割り切られた方が良いかも知れません。
本の方はまだ読んでいません。こんど機会がありましたらぜひ一度読んでみたいと考えております。有用な情報をありがとうございます。

Re: コメント: 任意、存在 

かがみさんが書き込み有難うございます。
私の集合論の勉強はなかなか進まずに、ノロノロと牛歩戦術のようです。任意と存在の使い方はまた後で少し説明を加えるつもりです。

かがみさんに勧めてもらった竹内外史もZFの前まで、つまりカントールの素朴な集合論とラッセルのパラドックスまでは読んでそれなりに理解したんですが、自分でまだまだ納得がいかずに止まっています。例えば、なんの仮定もなく空集合は存在します、というような箇所がありますが、なんとなくしっくりきていません。たとえば、空集合はφ={}と書けばそれで存在してるでしょ?というくらいの理解ならかまわないんでうすが、そんなもんでもないんでしょうから・・・・となにか掴めないものがあるんです。

かがみさんのhpを参考にさせてもらってますが、まだまだ私にはハードルが高いので、ボチボチとやっていきます。 ところで矢野茂樹の「無限論の教室」は読まれましたか? 私から見ると面白いんですが、どうなんでしょうか^^;
 詳しい人の意見を聞きたかったもので、記事にしました。

「任意」と「存在」の順序

こんにちは、かがみです。
ご存知と思いますが P -> Q は [(not P) or Q] そのものです。
それからお気づきのように「任意の」と『存在する」の順序は大切です。
「任意の自然数 m に対し、ある自然数 n が存在し m < n 」は正しい命題です。
一方「ある自然数 n が存在し、任意の自然数 m に対し m < n」は誤った命題です。
記号的にはそれぞれ ∀m∃n(...), ∃n∀m(...) と書くことができ、一般に
∃n∀m(...) -> ∀m∃n(...)
が成立します。∀m∃n(...) は m に依存した n の存在を主張しているので弱い(成立しやすい)命題なのです。逆に∃n∀m(...) は最初に固定した n の存在を主張しているので強い(成立しにくい)命題です。上の例を無理矢理解釈すると n は無限大という感じになってしまいます。
一見分かりにくい∀∃等の論理記号を使用するのは、上記の例程度ですとさほど問題ないのですが、複雑な例の場合言葉で記述するとどうしても「あいまい」な点が発生しやすいからです。
最初この違いを明確に意識するのは、解析学で「各点での連続」と「一様連続」の違いを学ぶときかも知れません。

コメント有難うございます

そうなんですよ・・・・言葉でいうのは簡単ですが、それを自分勝手に解釈して、曖昧さがないと思いこんでいました。論理的というのも難しいですが、それ以前に言葉は難しいです。

ま、取り合えず、素人が勉強してそれを記事にしているだけなので、間違いが見つかったらなおすという事で許されるのではないかと期待しています。不正確な表現や理解など教えてください。

論理嗜好

「任意の整数のそれぞれに対して、それより小さい整数が存在する」
「全ての整数に対して、それら全てより小さい一つの整数が存在する」

上記2つの命題の差…こんなことを、高校の時やってたような気がしましたが、今改めて見ると、その難しさに驚きます。
後者では、”全て”が曖昧ってことですね。
確かに、”全ての整数”よりも小さい”整数”があるってことは、”全ての整数”以外の”整数”を探し、さらにそれから”全ての整数”よりも小さな”整数”を探さないといけない…

矛盾がすごく素朴なお伽話に聞こえます。。。

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