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Best Albums Of 2020

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年末恒例の年間ベストアルバム。”今年の10枚”は以下の通り。
※ABCに紹介しています。作品に順位はつけていません。


Adrianne Lenker 『Songs』

Adrianne Lenker "zombie girl"

昨年Big Thiefの『U.F.O.F.』と『Two Hands』という2枚の傑作が世界中から賛辞を浴びたのはまだ記憶に新しい。それからごく短い間隔でリリースされたフロントウーマンのエイドリアン・レンカーのソロ・アルバムがこれまた素晴らしい出来栄え。生ギターの弾き語りを基調としたシンプルながら奥行きのある作りで、まるで森林浴のように心が安らぐフォーキーで美しいうた。この深い慈しみにずっと身を委ねていたい。同時リリースのインスト作『Instrumentals』も併せて必聴。




Bartees Strange 『Live Forever』

Bartees Strange "Boomer"

ワシントンD.C.を拠点に活動するバーティーズ・レオン・コックスJr.のソロ・プロジェクト、Bartees Strangeのデビュー・アルバム。痛快なロックンロール・チューン"Boomer"が気に入ってアルバムをチェックしてみたら、R&Bからパンク、フォーク、アンビエントなど雑多な要素が混在。それでいて散漫になることなく、一枚のアルバムとしてコンパクトにまとめる手腕に脱帽。一見人のよさそうなオジサン(今年31歳だそう。意外に若いのか、そうでもないのか・・・)みたいな風体ながら実は相当な天才に違いない。




Declan McKenna 『Zeros』

Declan McKenna "Be an Astronaut"

「才能はあるけど、まだコドモ」な印象だった2017年のデビュー・アルバム『What Do You Think About The Car?』から長足の進歩を遂げた飛躍の2作目。力強いバンド・アンサンブルによるストレートかつソリッドなアレンジが奏功、全編に漂うグラムの香りは70sのデヴィッド・ボウイを彷彿とさせる。骨っぽくなったデクラン君の歌いっぷりには王道のブリティッシュ・ポップ/ロックの正統後継者としての風格さえ。実際、全英チャートで大先輩のストーンズと激しい首位争いを繰り広げた末に初登場2位にランクイン。まだ22歳だけど、本当に逞しくなったもんだ。




Fontaines D.C. 『A Hero's Death』

Fontaines D.C. "Televised Mind"

新たなヒーローの誕生を予感させたデビュー・アルバム『Dogrel』からわずか一年あまり、早くも届けられた2作目『A Hero's Death』。前作よりダークになったものの、基本路線はほとんど変わってない。ぶっきらぼうな歌や演奏から伝わる誰にも媚びない硬派なアティテュード。全英チャートではテイラー・スウィフトに首位をさらわれたものの堂々の初登場2位。さらに研ぎ澄まされたクールな個性、ラフな疾走感や中毒性の高い楽曲の魅力も相まって、新世代ロックンロールの第二波はまたもや想像を超える一撃となった。




Haim 『Women in Music Pt. III』

Haim "Don't Wanna"

前作『Something To Tell You』は決して悪い出来とは思わないけれど今振り返ると過渡期というか、やっぱりちょっと考えすぎてたんだろうなぁ。3年ぶりのニュー・アルバム 『Women in Music Pt. III』を聴いてそうひとりごちた次第。憑き物が落ちたように表情も明るくなり、自然体のスタイルに回帰して天真爛漫なキャラクターはより生き生きと。音楽的素養の高さを浮かび上がらせる楽曲のクオリティもお見事。3作目にしてキャリア最高傑作。




IDLES 『Ultra Mono』

IDLES "Mr. Motivator"

2018年の前作『Joy as an Act of Resistance』でイギリス中を震撼させたブリストルの怒れるパンクス、IDLESは満を持してリリースしたニュー・アルバム『Ultra Mono』で遂に全英チャートで初登場1位を獲得。ヒップホップのビートを取り入れたりSavagesのジェニー・ベスをゲストに迎え、より多様な個性を持つ楽曲が増えたのは3作目らしい変化。とはいえ持ち前の破壊的なパワーは健在。反逆のロックンロールで嘘つきどもの化けの皮を剥がしてやれ!ヽ(`Д´)ノ




Mystery Jets 『A Billion Heartbeats』

Mystery Jets "Screwdriver"

昨年の時点で完成していたもののフロントマンのブレイン・ハリソンの病気療養によりリリースが延期されていたMystery Jetsの最新作『A Billion Heartbeats』。過去最高にヘヴィなリード・トラック"Screwdriver"で煽られた期待をさらに上回るほどの壮大で深みのあるサウンドスケープに唸らされた。G/Voのウィリアム・リースが2月にバンドを脱退してしまったのは残念だけど、6作目にしてこれほどの傑作を作れるのだから彼らの未来にはまだまだ可能性があるはず。




Phoebe Bridgers 『Punisher』

Phoebe Bridgers "I Know The End"

聴いた回数という点では今年最も多いアルバムかもしれない。フィービー・ブリジャーズの2作目『Punisher』。この人肌の温もりと優しさ、その奥に垣間見える一本芯の通った強さが(どちらかというと辛いことの方が多い)日常にそっと寄り添ってくれて、本当に救われた。繊細な歌声やリリカルなメロディ、磨きをかけた楽曲が結実した傑作。女性ソロ・アーティスト百花繚乱の時代だけど、個人的には彼女の存在は頭一つ抜けてます。




The Strokes 『The New Abnormal』

The Strokes "Bad Decisions"

The Strokes is back!!!(`・∀・´)ノ ここ10年ほど低迷していたのが嘘みたいに最高なニュー・アルバム『The New Abnormal』を届けてくれました。振り返れば2001年に当時行き詰っていたロックンロールを更新して新時代の扉を開いた彼らが、苦心の末にThe Strokesそのものの更新にようやく成功。なにしろ20年選手とは思えない、このフレッシュネスたるや。やっぱりスペシャルなバンドだなぁと改めて見直した次第。




Yves Tumor 『Heaven To A Tortured Mind』

Yves Tumor "Kerosene!"

ダークサイドに堕ちたプリンス?カテゴライズ不能の鬼才イヴ・トゥモアはニュー・アルバム 『Heaven To A Tortured Mind』で今度はロックに急接近。それも70sの妖艶でグリッターなムードに自身の特異なキャラクターを投影することで匂い立つようなセクシャルで生々しい世界を構築。前述のプリンス、あるいはデヴィッド・ボウイの最もエッジィな部分を受け継いだ異形の表現者の面目躍如たる、聴くほどにクセになる怪作。




世の中的にも個人的にも本当にいろいろあった混沌の2020年。僕をずっと支えてくれたのが上に挙げた10枚です。今回はあんまり迷わず、すんなり決まったかな。

1月にここで「今年からブログは定期更新をやめて気が向いたら書く」と表明したけど、結局年末までまったく更新できなかったというね(苦笑)。ブログを書くという行為が日々の習慣からすっかり抜け落ちてしまって。たぶん今後も毎年この時期の年間ベストくらいしか更新しないんじゃないかという予感(まぁそれでもいいような気もしたりしなかったり)。

あと今年は精神的にもきつくてブログを書く余裕がなかったというのもあります。というのも仕事関係でちょっといろいろありまして。一時は会社を辞めようと決意したほどで、いまだに転職は心の片隅にあります。いつまでこの会社でメンタルが耐えられるのか、本当に目指している場所に辿り着けるのか、視界はぼんやりとしたまま。

そんなこんなで大変だった2020年も間もなく終わりを迎える。コロナがニュースに取り上げられ始めた当時、まさかここまで世界を脅かすほどの事態になろうとは思わなかった。僕らの日常にフェスやライヴが戻ってくるのはいつになるのだろうか。著名人の訃報も多くて何かと気の滅入る一年だったけど、12月も終わりに差し掛かった今日も僕らはまだ生きている。Pearl Jamの名曲"Alive"(今年初CD化された1992年の『MTV Unplugged』より)の歌詞を噛み締めながら想う。

Oh, I, oh I’m still alive   あぁ、でも俺は、俺はまだ生きている
Hey, I, oh I’m still alive  そう、俺は、俺はまだ生きている
Hey, I, oh I’m still alive  そう、俺は、俺はまだ生きている
Hey, oh          そうさ


Pearl Jam "Alive"






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