2017年9月19日、「iOS11」が正式公開されます。
ただ、先日の Apple 発表会で iOS11 についてのコメントがなかったため、どんな機能が導入されるのか、今ひとつ伝わっていません。

ここでは iOS11 の注目の新機能と、問題点などを掲載しておきたいと思います。

ios11

【 iPhone / iPad 共通の変更点 】

● コントロールセンターが一新

コントロールセンターの見た目が大幅に変わり、ボタンが独立したレイアウトになりました。
これはボタンの追加 / 削除に対応しているからで、設定アプリの「コントロールセンター」にある「コントロールをカスタマイズ」でボタンの編集を行えます。

ios11_コントロールセンター

一部のボタンは 3D touch(未対応機種の場合は長押し)に対応しています。
ナイトシフトのボタンがなくなっていますが、明るさ設定ボタンを強く押す(長押しする)と、ナイトシフトの設定が現れます。

新たに追加されている「運転中の通知を停止」は新機能で、これを ON にしていると画面が暗くなり、音も鳴らなくなります。
この機能は運転中であることを自動的に認識して ON になる、とのことです。

また「画面収録」のボタンも追加されており、これを使うとゲームのプレイ動画などを撮影・保存することができます。


● App Store がリニューアル

App Store が新しくなりました。
「今日のアプリ」「今日のゲーム」「親子で遊ぼう」などの特集記事が連日公開されます。
アプリを解説する文書も付いています。

ios11_App Store

下部のタブは Today(記事)の他、「ゲーム」「App」と、アップデート・検索の5項目に変わりました。
ランキングはゲームや App 内に含まれていますが、以前より目に付きにくくなっています。

1つのアプリの紹介スペースが大きくなり、スマホでも大きめのスクリーンショットを見ることができます。
その分、多くのアプリを見るには何度もスクロールさせなければなりません。


● 写真や動画が高圧縮のデータ形式に対応

iPhone 7 以降の機種なら、写真や動画のデータサイズが従来の約半分になる「HEIF」と「HEVC」(H.265)の形式を利用できます。
画質は以前とほとんど変わりません。

これは設定アプリの「カメラ」の中にある「フォーマット」で設定できますが、iOS11 なら最初から「高効率」が選ばれているはずです。

ios11_高効率フォーマット

HEIF / HEVC 未対応の機種に画像を送る時は、自動的に古い形式に変換して送ってくれるとのこと。
また、「写真」の設定には「MAC または PC に転送」という項目があり、送信するファイル形式を設定できます。


● カメラで QR コードを読める

普通のカメラアプリで QR コードを読めるようになりました。
カメラを起動して QR コードを映すと、自動で認識され、上部に移動先の通知が現れます。
この通知をタップすると、Safari が起動してページを開けます。

ios11_カメラでQRコード

QR コードは近年、世界的に使われ始めたため、今回の対応になったようです。


● メモの改良。表作成、書類スキャン機能

メニューに「書類をスキャン」が追加され、撮影した書類や名刺の傾きを自動修正、綺麗にメモに貼り付けられるようになりました。
表作成のボタンも追加されています。
iPad Pro の場合、Apple Pencil でロック画面を触るだけでメモが起動、そのまま手書きすることができます。

ios11_書類カメラ


● オンラインストレージと連携した「ファイル」

iCloud Drive のアプリが廃止され、代わりに「ファイル」が追加されました。
これ1つで iCloud Drive だけでなく、Dropbox や OneDrive などのファイルを確認できます。
また「Documents」などの既存のオンラインストレージ管理アプリとも連携できます。
ファイルの表示もアイコンだけでなく、PC ライクな一覧表示にできます。

ios11_ファイル


● データを残してアプリを消す「Appを取り除く」

通常、アプリを消すとセーブデータなども全部消えてしまいます。
しかし設定の「一般」で「iPhone ストレージ」を選び、そこに表示されるリストからアプリを選ぶと、データを残してアプリだけを iPhone から削除する「Appを取り除く」を選択できます。

これで消した場合、「書類とデータ」(ゲームのセーブデータ等)は残され、そのアプリを再インストールするとデータが復元されます。

ios11_Appを取り除く

ただしソーシャルゲームのような、「最初は小サイズだけど起動後にダウンロードするデータが多い」というアプリだと、最初の分しか削減されない(追加ダウンロードの分はデータとして保持される)ので、この機能を使ってもデータ量はほとんど減りません。


● スクリーンショットのサムネイルを表示

スクリーンショットを撮ると、左下にサムネイル(小画像)が表示されるようになりました。
撮影した画像を確認でき、タップすることで編集画面に直接移動することもできます。
サムネイルが邪魔な時は、スライドすることで消すことができます。

ios11_スクリーンショットサムネ


● 他にも以下のような変更点があります。

・iPhone 7 Plus と iPhone 8 で使えるポートレートモード(背景をぼかす機能)を改善。
・写真のフィルタ(色修正)を変更。色を鮮やかにするビビッド、明暗をハッキリさせるドラマチック、白黒のモノトーンの3系統9種類。
・Live Photos にループ(繰り返し)、バウンス(正再生→逆再生)、長時間露光(シャッター押しっぱなし風)を追加。
・写真の「メモリー」に赤ちゃん、ウェディング、スポーツなどの項目を追加。
・Apple Music にソーシャル機能追加。
・フリックキーボードの右寄せ、左寄せが可能に。


【 iPad 専用の変更点 】

○ iPad に Dock を追加

パソコンのタスクバーのような、アプリを入れておくスペースが下部に作られます。
元から画面下にはアプリの保管スペースがありましたが、iPad の「Dock」はもっと多くのアプリを入れることができ、入れた数に応じてアイコンのサイズが変わります。

また、右端には3つの「最近使ったアプリ」のスペースがあり、頻繁に使うアプリをすぐに呼び出せます。

ios11_dock

この Dock は画面下部を上にスライドすることで、アプリ使用中でも呼び出せます。
そして以下の「Slide Over」や「Split View」の機能を利用できます。


○ Slide Over と Split View の強化

「Slide Over」は画面端に子画面でアプリを表示する機能
「Split View」は画面を分割して2つのアプリを同時に活用する機能です。
この2つは iOS9 で導入されたものですが、iOS11 で機能が強化され、利用法も変わりました。

アプリ使用中に画面下を上にスライドして Dock を出し、そこにあるアプリを長押しして、画面内にドラッグすると、子画面で表示される「Slide Over」になります。

ios11_slideover

この画像のように、ゲームをやりながら、子画面で攻略ページを表示する、みたいなことが可能です。
この子画面は右に寄せた状態で、さらに端を右にスライドすることで、簡単に引っ込ませることができます。
引っ込ませたアプリは右端を左にスライドすれば引っ張り出せます。

手前味噌ですが、iPhone AC のレビューページと、ドラクエ&ファイナルファンタジーシリーズの攻略ページはレスポンシブレイアウト(可変レイアウト)なので、子画面でも見やすく表示されます。
機会があれば活用して頂ければと思います。

また、Dock からドラッグしたアプリを右端か左端まで持っていくか、子画面の上部にある「-」の部分を掴んで上にスライドすると、画面が分割される「Split View」になります。

ios11_splitview

Split View のそれぞれのサイズは、中央の分割線を左右にスライドすることで変えられます。
2つのアプリを同時に使えるので、PDF ファイルを見ながらメモを取ったり、ウェブページでお店を探しながらマップアプリで所在を確認する、みたいなことも可能です。

また、ドラッグ&ドロップに対応し、写真アプリの写真をメールやメッセージアプリにドラッグで貼り付ける、といったことが可能です。

ただし Slide Over や Split View は対応しているアプリでしか使えません。
Safari やメモ、メールなどの標準アプリは対応していますが、標準以外のアプリで使えるものは限られます。

なお、以前からの機能ですが、ムービーや FaceTime 再生中にホーム画面に戻ると、映像が子画面で表示されます。(オーバーレイでのビデオ再生)
これも子画面機能(マルチタスク)の1つで、これらの機能は設定の「マルチタスクと Dock」で ON/OFF できます。


【 日本未対応 / 内部的な変更点 】

・Siri の AI と発音が改善され、翻訳などに対応。ただし翻訳は日本語未対応。Siri の発音も日本語はあまり変わった印象はありません・・・
・マップが一部の屋内地図に対応。日本の場合、成田空港などが対応しています。しかし他の建物は未対応。
・ホームキット改善。しかしホームキット自体が日本の製品に未対応。
・AR 機能の追加。しかし AR 機能はそれに対応したアプリを使わないと利用できない。
・英語キーボードにフリック入力追加。下にフリックすることで記号などを入力可能。


【 iOS11 の問題点 】

▲ 32bit アプリは動作しない

32bit 版(64bit 未対応)のアプリは iOS11 では起動しません。
新規公開アプリは 2015年2月1日 以降、アップデートは 2015年6月1日 以降、Apple は 64bit 対応を義務付けています。
よってそれ以降に公開 / アップデートされたアプリは 64 bit に対応していますが、それ以前が最終更新のアプリは未対応です。(数日の誤差がある場合あり)

未対応のアプリは、設定アプリの「一般」の「情報」にある「App」を選択すると確認できます。

ios11_32bit

有名どころでは、虫姫さまや怒首領蜂などのケイブのアプリや Dungeon Raid は 64bit に対応しておらず、iOS11 にすると動作しません。
(Final Fantasy Tactics、XCOM は先日対応しました)
iOS11 の App Store では、これら 32bit のアプリは検索しても表示されません。


▲ iTunes の対応が不安

先日、iOS11 に対応した PC 用 iTunes 12.7 が公開されましたが、アプリに関する機能が全て削除されてしまいました。
これによりアプリの確認、App Store の表示、インストール、並べ替え、アプリ内へのファイル追加等は行えなくなり、音楽やムービーを管理するだけのソフトになっています。
よってパソコンでアプリを確認していた人にとっては、非常に不便です。

現時点(2017/9/18)では iTunes 12.6 でも iOS11 のデバイスのバックアップは可能です。
しかし今後、iOS11 デバイスのバックアップやミュージック管理に 12.7 以上が必要になった場合、パソコンの iTunes でアプリに関することは何もできなくなってしまいます。

※先日、iTunes 12.6 の新バージョンが公開されました。(詳細は こちら を)
これを使うことで、iTunes を 12.7 にしなくても新 OS に対応していける模様です。



▲ 旧機種で動作が重くなる

iPhone 8 や iPhone 7 だとおそらく問題ありませんが、iPhone 6 だと明らかに重くなります。
iOS は最新性能に合わせて作られているので、仕方ないことではありますが、iOS9 や iOS10 の時より顕著に重くなる印象です。
負荷が高くなる影響か、バッテリーの消耗も(iPhone 6 だと)多くなります。


▲(充電できなくなる場合がある)

これはベータテスト中に度々問題になっていたので、正規版では大丈夫だと思いますが、念のため表記しておきます。
iOS11 は更新後、コードを挿しても充電できないか、短時間で切れてしまうことがあります。
これは多くの発生報告があり、コード等の問題ではありません。

しかしこの症状は、本体を再起動すれば治ります。
(少なくとも当方では、再起動で改善されなかった事はありません)
充電できなくなると焦りますが、あわてずに本体を再起動して様子をみましょう。