あの「ダービースタリオン」や「ベストプレープロ野球」で知られるパリティビットが開発、特訓の成果が試合中の選手の動きにリアルに反映される、3DS で人気のサッカーチーム運営シミュレーションゲームがスマホに移植されました。
「カルチョビットA(アー) サッカークラブ育成シミュレーション」です。
やってみると本当に「ダビスタのサッカー版」と思える内容。
試合中の選手の見た目はドット絵ですが、その動きは個性があり、個々の役割を考えた練習をすることが勝利に繋がっていく、単なる数値上げではないシミュレーションゲームに仕上がっています。
アプリ本体は無料ですが、4つの「リーグ」があり、上位2つのリーグに挑戦するには 1200 円の課金が必要になります。
「途中までは無料、最後までやるには 1200 円が必要」というのは スーパーマリオラン と同じであり、そのため無料ゲーム世代から叩かれそうな気もしますが、このゲームは下位の2つのリーグだけでもかなり長時間遊べます。
よってマリオの時ほど非難はないようですね。
なお、スマホ版の販売元はゲームアディクトという新興メーカーですが、ダビスタの園部さんや元スタッフが役員になっている、パリティビットの関連会社のようです。
よってまずは試合を繰り返さなければなりません。
通常の練習は自動で行われています。
試合には参加リーグの「公式試合」と、公式試合がない週に行える「練習試合」があります。
試合の前にはフォーメーションやゾーン(守備範囲)、大まかな作戦(攻撃重視や守備重視)の設定を行えますが、これらを使うのはゲームが進み、チームに向いた戦法を判断できるようになってからですね。
試合は自動で進みます。 プレイヤーができるのは選手交代と作戦の変更だけ。
よってゲームは基本、見ているだけで進行します。
ただ、試合中の選手は状況に応じて、1人1人が個別の AI で動いています。
最初はボールに群がるだけのチームが、徐々にフォーメーションを理解してポジションを重視するようになり、さらに役割に沿った動きをするようになります。
スタミナが尽きれば動きが悪くなりますし、その辺の細かい表現はさすがダビスタの開発元。
それを理解して試合を見れるようになると、眺めているだけでも面白くなってきます。
ただ、その辺は最初は解り辛いので、初見で判断されがちなスマホの基本無料アプリとしてはマイナスかも・・・
まあ、そこでやめてしまう人は最初から相手にしていない気もしますが。
そして試合中、様々な「課題」が提示され、それをカードとして入手できます。
シュートをミスればシュートカード、ヘバっていればランニングカード、大敗すれば気晴らしのためのカラオケカードが手に入ることがあり、これを使って試合の合間に特訓ができます。
課題なので、楽勝だとあまり手に入りません。 大敗してもカードをたくさん貰えると嬉しいので、気分的にも負けたときの救いがあって良いですね。
※試合シーン。 選手のデータやスタミナを確認することができます。
練習試合はカードが手に入りやすく、疲労も溜まりにくいですが、公式戦の前は休んだ方が無難。
練習相手はできるだけ強いところを選択した方がカードが手に入りやすいです。
※試合終了後にはダイジェストムービーを見ることができます。
試合中にアプリを落としても内部では試合が進行していて、終了後に結果をこのムービーで確認できます。
カードがたまったらクラブハウスで「特訓」を実行できます。
指定した選手の能力を、使ったカードに応じてアップさせられます。
また、カードは同時に3枚まで使うことができ、2枚以上なら組合わせに応じて「スペシャルメニュー」が発生します。
例えば、シュート+ストレッチなら「ボレーシュート」、ドリブル+ダッシュなら「高速ドリブル」といった具合。
そしてこの特訓によって、選手の動きにも変化が生じます。
主にボールを持っていない時のポジショニングに影響し、プレスやマンツーマンの特訓をしているなら相手のマークを優先、カウンターやドリブルの特訓をしているなら攻撃に参加しようとします。
スペシャルメニューにはカウンター+ランニングの「オーバーラップ」や、アロマ+座禅+イメトレの「ゴールの嗅覚」といった、行動に大きく関わるものもあり、これらによってサイドから駆け上がったり、空いたスペースに移動するようになっていきます。
さらに新たな技を習得できるスペシャルメニューもあります。
プレースキック+シュートの「バナナシュート」、シュート+エアロビ+合気道の「バイシクル」(オーバーヘッド)は、その特訓を一度実行しておかないと発生しません。
特訓を何度も繰り返し、選手の行動に特徴が出てくると「タイプ」も変化。
最初はみんな「バランス」ですが、攻撃参加のアタッカー、防衛ラインで敵を止めるストッパー、走り回るダイナモ、ゴール前でチャンスをうかがうストライカーなどの呼び名が付きます。
実際の動きは内部数値で決められていると思われますが、選手の戦術理解や行動指針の目安になりますね。
特訓がステータス強化だけでなく、AI の調整も兼ねていて、それを試合で確認できるようになると俄然面白くなってきます。
もちろん基本ステータスを上げることも大事ですが。
※選手データ画面。 こんな風に女性選手もいます。
ステータスは左からキック、スピード、スタミナ、テクニック、フィジカル、ジャンプ、メンタル。
ただしテクニックは内部的にキープ力、トラップ力、タックルの3つに分かれています。
重要なのはポテンシャル。 これが高いほどステータスが伸びますが、最大になった後、徐々に下がっていきます。
ポテンシャルが 0 になるともうステータスは上がりません。 ただスマホ版は、ポテンシャルが尽きても能力減少は起こりません。
※スペシャル特訓「ノールックパス」発生。 習得技の1つで、試合中にバックパスするようになります。
特訓は行動に影響するので、それを考慮して行いましょう。
スペシャルだけでなく、通常の特訓も行動に関わります。
スペシャル特訓の中には行動の変化が解りにくいものもあるので、FW にはシュート、MF にはパスといったように、ノーマルな特訓もして基礎的な行動を身に付けさせた方が良いことも。
※フォーメーションは1マス単位で動かせます。 オリジナルなフォーメーションを考えてみるのも良いですが、フォーメーションにも理解度があるので、変えまくるのは良くありません。
選手のタイプは特訓によって変わりますが、タイプ名が変わるのは2年目辺りからですね。
セットプレーの設定も忘れずに。 フリーキック役を1人育てておきましょう。
ゲームは最初、一番下の「フレッシュリーグ」からスタートします。
ここで優勝できれば「ステップリーグ」に昇格でき、ステップリーグで優勝して入れ替え戦にも勝利できれば、J2 と言える「N2 リーグ」に上がります。
ただ、N2 に上がるのはそう簡単ではありません。 育成に加え、有力選手の獲得も必要でしょう。
このゲームに「資金」はなく、選手の獲得は参加リーグと監督支持率に応じて決まる「予算」の範囲で、年俸を支払える選手にオファーを出すことになります。
選手の年俸は活躍の度合いによって上がっていくため、予算いっぱい使うのは危険。
まあ、即戦力の選手は高いので、当面は将来性のありそうな選出を選ぶことになるでしょう。
なお、スマホ版の「カルチョビットA」は、3DS 版のカルチョビットより最初のリーグの難易度が下がっているようです。
初年度でも優勝可能で、この辺はスマホ向けに遊びやすくしているようですね。
しかし2つ目のリーグは甘くなく、いきなり苦戦し始め、場合によっては降格の危機、監督支持率も急低下。
2年目からの難易度はむしろ高くなっている模様・・・
1年目はチュートリアル、2年目から本番と思っておいた方が良さそうです。
やっていて難点に思えたのは・・・ 特訓のスペシャルメニューの組合わせを調べるのが面倒なこと。
本来は偶然見つけたスペシャルメニューを活用しながら、育成するのを想定していると思います。
しかし特訓にはカードが必要で、使うと消費され、しかも中には滅多に手に入らない貴重なものも存在します。
そんなカードをムダに使って組合わせを探すとか、スマホでググればすぐチェックできるこのご時世にはあり得ない。
奇想天外な組合わせもあり、特に3枚組のスペシャルメニューはノーヒントでは厳しい。
しかしこのゲームでスペシャルメニューの発見と活用は、育成においてほぼ必須です。
結果、一通りのスペシャルメニューを発見できるまで、Wiki とにらめっこしながら進めることになります。
カイロソフトのゲームも組合わせで特殊効果が発生するものが多いですが、最近は Wiki とにらめっこするゲームになるのを避けるためか、組合わせをゲームの中で確認できたり、条件が甘いものが増えています。
それと比べると、組合わせの量が多くてサイトで調べるのも大変なこのゲームは、どうにも面倒に思えてしまいますね。
発見済みのスペシャルメニューはリストから実行できるようになるので、相応に発見した後なら、その都度調べる必要はなくなるのですが・・・
※サッカー協会でチェックできるスケジュール。
1年目のフレッシュリーグは日程にかなり余裕があり、疲労が溜まらないので、練習試合をみっちり組んで、しっかり特訓できます。
が、ステップリーグに入ってからは過密日程になり、公式戦が繰り返されるため、ヘタに練習試合や特訓を入れると疲労が抜けなくなって故障に繋がります。
ステップ以降はシーズン中は試合に集中し、オフシーズンに特訓するのを基本としましょう。
主力を休ませるため、控え選手も用意しておきたいところです。
※スペシャルメニューリスト。 ここから特訓を選べるのは便利ですが、まずはリストを埋めていかなければなりません。 その作業が大変・・・
※アップデートにより、カードの残り枚数を確認できるようになりました。
※ステップリーグ優勝! いよいよ N2 リーグに挑戦・・・ でも無課金ではここまで!
これに対する無料勢の批判はやはり出てくるのか?
まあ、ここまで来るのは結構大変で、ゲーム中に「無課金だと N2 と N1 はないよ」と何度も説明されるし、配慮しているのは伺えます。
ちなみにこの時は入れ替え戦で負けました・・・ でも無理に昇格しても連敗しまくるのは目に見えてるので、下でじっくり鍛えながら上がるのが基本ですね。
意外にシンプルなゲームですが、細かいマスクデータを満載し、それが垣間見える表現で多様さと奥深さを与え、シビアなゲームバランスでやり応えを加える、この作り方は流石といったところです。
試合の倍速進行などがないので、時間のかかるゲームですが、没頭して遊び続けてしまう内容ですね。
あまり操作しないおかげで、外出時にもプレイしやすいゲームになっています。
私的に注目なのは スーパーマリオラン に続き、本体無料+完全版1200円 という価格で登場したこと。
この価格帯が定着すれば、今後も他の人気ゲームの移植を期待できるかもしれません。
無課金の状態でもボリュームは十分です。 一日二日では最初の2リーグの突破は困難。
十分に遊んでからでも課金するかどうかは判断できます。
評判の高さに納得の、運営シミュレーション好きに特にオススメしたいゲームです。
・カルチョビットA(アー) サッカークラブ育成シミュレーション(iPhone 版、iTunes 起動)
・カルチョビットA(アー) サッカークラブ育成シミュレーション(Android 版、Google Play へ移動)
これいる???