運命に逆らい、妹を探して少年は LIMBO の世界に足を踏み入れる。
2010 年7月に XBOX 360 のダウンロード用ソフトとして公開され、その後 PC や PS3 版も登場、累計 300 万ダウンロードを越えたという、モノトーンで退廃的な世界が印象的なアクションパズルゲームが iOS にも移植されました。
LIMBO Game」です。

このゲームを簡単に表現すると「死にゲー+雰囲気ゲー+謎解きパズル」です。
登場するトラップやしかけは一度死なないと対処法が解らず、そのためプレイヤーはひたすら死にまくります。
そして死にながらトラップの存在としくみを学び、回避する方法を考える訳です。
その展開は既存のゲームで言うと Another World によく似ていますね。

また、水墨画のような淡いモノトーンの世界が非常に印象的で、深いストーリーがあるのかないのかよく解らない抽象的な表現も各所に散りばめられています。
死んだ時の表現も頭や手足がちぎれたりする残酷なものが多く、それがさらに退廃的で憂鬱な雰囲気を醸し出しています。
ただ、キャラが黒一色で描かれているため、グロいという程ではありません。

「憂鬱な世界+アクションパズル」というゲーム性は Nihilumbra に似ています。
しかし色の鮮やかさも表現されていた Nihilumbra と違い、こちらは徹底的に暗いですね。

LIMBO Game

スティックやボタンはなく、横にスライドで左右移動、ナナメにスライドでジャンプ。
上下スライドでハシゴを昇降したり、崖をよじ登ったりします。
操作に違和感はなく、キャラの動きは非常に滑らかです。

基本的には「謎解きゲーム」ですから、何をどうするかは自分で考えなければなりません。
登れない段差があるなら、箱を押してきたり、土台になるものを引っ張ってきて足場にします。
そうしたものがないなら他にしかけがないか探します。
罠があるなら、どう回避するか、もしくはどう利用するかを考えます。

箱は押す以外に、画面を押しっぱなしにして掴んでから後ろに引くことで、引っ張ることも可能です
箱以外の引っ張れるものには取っ手が付いているので、これが解法の目安になります。
ロープにつかまっている時は、左右に動くことでロープを揺らすことができます。

謎解きはゲーム中盤までは、そんなに難しくはありません
「死にゲー」ですから簡単とは言えませんが、少し考えれば解るぐらいのものになっています。
また、死んでも直前からスタート出来るので、何度でもリトライできます。

LIMBO Game
※「取っ手がある=それを動かす」ということ。
また「ロープやハシゴに届かない=何かを持ってくる」ということなので、使えるものを押してきましょう。
もしそうしたものがない場合は、少し戻ってみるのも手。


LIMBO Game
※スピード勝負に見えるしかけも、解法さえ解れば余裕を持って抜けられたりします。
物理や慣性がシミュレートされているので、場面によってはそれをうまく使うことも必要です。


LIMBO Game
※明るいシーンは一切なく、最初から最後まで薄暗くて憂鬱な景色が続きます。
こういうゲームって、割とコアな人気を得るんですよね・・・


(少なくとも中盤までは)シビアなタイミングを要求されるシーンは少ないので、マゾゲーという訳ではありません。
アクションよりもパズル性が強いゲームです

しかしゲーム後半になると、謎解きがかなり難しくなり、シビアなタイミングを要求されるトラップも増えてきます。
何度も死にまくりながら、最適なタイミングを模索しなければならない罠もあり、イライラしてくるシーンもありますね。

また、そういうシビアなタイミングが必要な場面になると、タッチパネルであることが難点になってきます。
物理コントローラーに比べると、どうしても反応が鈍くなり、焦っている時の誤操作も増えるので、「あぁ、ここってコントローラーなら楽勝なんだろうなぁ」と思うような場面も結構でてきます

ゲームはエンディングまで、スムーズに行けば1時間~1時間半くらいです。
しかし何度も死にながら状況を把握し、謎で悩みながら進行することになるので、実際には数倍の時間がかかるでしょう。

3年前に公開されたゲームですから、ネット上の各所に攻略記事や動画が散らばっているので、どうしても行き詰まった時は正解を調べることも出来ますが、自分で謎を解いていくのが楽しいゲームなので、出来るだけ自力で頑張るのをお勧めします。

以下は Youtube で公開されている公式のプレイ動画です。



価格は 450 円。先月公開されたばかりの PS Vita 版は 1200 円なので、それを考えるとかなりお得です。

私はセンスの押しつけのような雰囲気ゲーは好きではないのですが、このゲームは雰囲気だけでなく、アクションパズルとしてもしっかり作られていていて、「さすがヒット作だけあるな」と感じます。

この手の雰囲気のゲームは Nihilumbra や NightSky、ちょっと違うけど スキタイのムスメ など、iPhone / iPad には結構多いので、それほど目新しい訳ではありません。
300 万ダウンロードというのは、こういう「鬱ゲー」というのは話題になりやすく、好む人が妙に高評価する傾向があるので、その影響も強いんじゃないかな、という気もします。

しかし鬱ゲーの中では間違いなく最高峰の1つ。
静かな夜に、メランコリックな気分で楽しめるゲームを探している方も多いはず・・・
こういう暗い雰囲気が嫌いでない方にはお勧めです。

LIMBO Game (iTunes が起動します)