非常に細かいグラフィックの書き込みとリアルな挙動、手軽なゲーム性が受けてヒットした、真上から見た視点のレーシングゲームの名作「Reckless Racing」。
その続編が先日ついに登場しました。 「Reckless Racing 2」 です。

今回もグラフィックの細かさは相変わらずで、車もコースも大幅に増加、チューンナップパーツの購入により性能をアップさせることも可能になりました。
日本語にも完全対応しており、ゲームモードも増えて、それでなくても高かった完成度がますます高まっています。

しかし今作は、ゲーム性が以前とは大きく変化しました
前作は言わば「無謀な(Reckless な)ハチャメチャレーシング」という感じだったのですが、今作はより現実のレースに近いリアル志向になっています。
そのため前作にあった「おバカっぷり」がなくなっており、難易度もアップ。 お手軽感は薄れました。
iTunes のレビューを見ても、この点で賛否両論になっていますね。

Reckless Racing 2

左右に曲がるボタンとアクセル・ブレーキの4ボタンで操作し、ボタンの位置や反応範囲は細かく変更可能です。
操作性は良好で、疑似ハンドル操作やティルト(傾き)操作に変更する事も出来ます。

オンロードのレースとオフロードのレースがありますが、土煙を上げてドリフトしまくりながら曲がっていく派手な挙動は健在。
パイロンなどを跳ね飛ばしたときにリアルに飛んでいく様子もそのままです。
レースゲームとしてはスピード感は控えめですが、そのぶんコース取りはしやすくなっています。

崖の横や落石のある山岳地帯など、とんでもないところを走るコースもありますが、コース外に落下したり斜面に乗り上げて転倒しても、すぐにコースに復帰が可能です。
また、画面上部にある「復帰ボタン」(矢印ボタン)を押しても(強制的に)コースに戻ることが出来ます。

ただ、今回は車体のコントロールが難しくなっており、車体を安定させ辛く、ドリフト時の滑り具合も前より激しくなっていて、オフロードでアクセル全開でカーブに入ろうものならコースアウトは免れません。
何かにぶつかった時もバランスを崩しやすく、非常にリアルな挙動になっている反面、常に不安定な状態で走り続けることになります。

前作は高速でカーブに入っても割と簡単に華麗なドリフトを決めて抜ける事が出来たのですが、今回は慎重なコース取りとアクセルワーク、そしてブレーキによる減速が必要で、以前のような走りやすさはありません。
見た目は変わらないのに、急に挙動が遊びやすさ重視からリアルさ重視に変わった感じです。

加えて、前作のようなジャンプ台などはなくなり、ショートカットも禁止され(強制的に戻される)、ライバルカーが転落したりすることも滅多になく、全体的に「マジメなレース」になりました。
この点は評価する人としない人で分かれそうな部分で、私的には前作の「おバカっぷり」が好きだったので、マジメなレースになったのは残念に思えます。

Reckless Racing 2
※土煙を上げて爆走中! この派手な走りが Reckless Racing の面白さだが、今回のドリフト中は車体が非常にアンバランスで、コース取りやスピードを間違うとすぐにアウトに膨らみ、さらに他の車にぶつかると容易に向きが変わってしまう。
丁寧なスローインファストアウト+ドリフトが必要で、なんだか物理シミュレーター的な挙動になった。


今回はゲームモードに「キャリア」と「アーケード」の2つがあり、メインとなるのはレースに出場して賞金を稼ぎ、車を購入してパワーアップさせながら上のレースを目指す「キャリア」の方です。
前作は各コースで1位になったら次のコースが出る、と言うのを繰り返すのみで、車の購入やパワーアップの要素はなかったので、ここは大きな改善点ですね
キャリアの「カップ戦」は3~5つのレースで争われ、最終的にポイントで首位になると優勝となり、多くの賞金が貰えます。

ただし各マシンには「PI」と呼ばれるポイントがあり、これはパワーアップすることでも増加します。
そして各レースごとに参戦できる PI の範囲あり、それに合っているマシンでなければ出場はできません。
つまり速すぎるマシンで下位のレースに出場することは出来ない訳で、常に相応の実力が必要になります。

アーケード」は決められたマシンで上位を目指すステージクリア制のモードです。
上位入賞で次のレースに進むことができ、さらにここで貰えた賞金はキャリアモードで使用可能です。

他に好きな条件でコースを走れる「シングル競技モード」、そしてオンライン対戦となる「マルチプレイ」も用意されています。

Reckless Racing 2
※コースの数はかなり豊富。 大きな6つの「トラック」があり、そのトラックの一部をコースとして使用する。
トラックごとに4つのコースが用意されているため、合計 24 のコースがある。
ただし中盤以降に出現する大きなコースは長い上に入り組んでいて、やたら難しい・・・


Reckless Racing 2
※出場するレースを選択後、マシンの設定画面に入ると右(画像の赤丸の部分)に出場できる PI の範囲が表示される。
それを参考にしてパーツの着脱を行い、PI を調整しよう。
なお、バギータイプのマシンはオフロード専用。 オフロードのみのレースではこちらの方が安定する・・・ 気がする。


キャリアモードがあるおかげで前作より長く楽しむ事が出来るのですが、ゲームの性質が変わった以外にも、私的に気になる部分がいくつかあります。

まず一番大きいのは、コースの全体図がなくなったこと。
周辺のコースを表示する「ミニマップ」が存在し、さらに走るべきコースのガイドが表示され、次のコーナーの方向を表示させることも出来るのですが、それでも全体図がないため走りにくさがあります。
序盤はまだコースが簡単で短いから良いのですが、中盤からは非常に長いうえに他のゲームでは見たことがないほど複雑なコースが出て来ます。

前述したように慎重なコース取りやアクセルワークが必要なゲームなので、それにコースの長さ&解りにくさ、ミニマップに表示される範囲の狭さが相まって、とにかくコースが解り辛いゲームになってしまっています
前作にはコース全体図が存在したのに、なぜミニマップだけになってしまったんでしょうかね・・・

また、今作は難易度がプレイ結果に応じて変化する「ダイナミックモード」というものが追加されたのですが、これによってプレイがうまいほどゲームが難しくなっていきます。
それはそれで接戦が楽しめるので良いかもしれませんが、このため連続で1位を取っているとどんどんライバルが速くなり、後々勝てなくなってしまいます
ダイナミックモードは OFF にすることが可能で、さらに難易度も自由に調整可能なので、難易度レベルを下げてしまえばラクに勝てるのですが、それではゲーム的に物足りないし・・・ でも自ら難しくするのもマゾいし、難しくしても実利的なメリットは何もないし・・・
この辺、あくまで気分的なものですが、ちょっと微妙です。
普通に前作のように EASY / MEDIUM / HARD に分かれていて、各難易度ごとにメダルが用意されていた方がすっきりしますね。

マルチプレイは、今回も手軽に対戦が楽しめるのは良いのですが、自分の車をパワーアップする要素が加わったために、弱い車で強い相手に当たってしまうとお話になりません。
前作はマシンの購入やパワーアップがなかった分、マルチプレイは常に互角に戦えました。
今作は強いマシンを事前に用意しておかないとダメな感じですね。

あと、前作はラップタイムが世界ランキングの何位にあたるかがリアルタイムに表示され、それがタイムを縮めるモチベーションに繋がっていましたが、今作はそれがなくなっています。
(リーダーボードのアカウント登録を行えば表示されるのかも知れませんが、何度やっても「登録失敗」にしかならないので、その点の詳細は不明です)

以下は海外のサイト GameTrail により Youtube で公開されているプレイ動画です。



価格は 170 円。 クオリティーとしては価格以上のものがあると思います。
見下ろし型レースゲームとしては一番完成度が高いでしょうね。

ただ、様々な部分がパワーアップし、さらに新しい要素が詰め込まれた一方で、前作の良かったところが色々と抜け落ちてしまった印象です。
Reckless Racing で Reckless(無謀)な走りが出来なくなった、という感じでしょうか・・・
とは言え、これはこれでリアル系のレースゲームとして楽しめるものになっています。
前作のような遊びやすさ重視のレースゲームがしたいなら、これではなく Mini Motor Racing をやった方が良いでしょうね。

とりあえず、オススメかそうでないかで言うと、オススメです。
おバカ方面は、もう Reckless Getaway の担当になったのかも・・・?

Reckless Racing 2 (iTunes が起動します)