「さあ、出来たわよ」
テーブルの上には、出来立ての料理が並んでいる。
ナイフとフォークは三人分用意されていた。
「ギルバートを呼んできて頂戴、レイ」
タリアは笑顔で声を掛けた。
レイは幼子の様な笑顔でそれに答え、部屋を出た。
パタパタパタ、とリズム良く階段を上っていった。
「ギル、ご飯が出来ましたよ。下りて来て下さい」
ドアの前で扉を叩きながら、レイは言った。
ガサガサ、と音がしてからギルが答えた。
「すまない。ドアを開けてくれないか?」
レイがドアを開けると、大きな荷物を抱えたギルバートが出てきた。
「ありがとう、レイ」
二人はタリアが待つリビングへと向かった。
「「メリークリスマス!!」」
乾杯をして、三人は食事を始めた。
「レイ、宿題は済んだのかい?」
「年明けは何をしましょうかしら?」
三人はとても楽しそうに、話をしていた。
「……」
シンは目を覚ました。
傍らには、ルナマリアと、幼いわが子が眠っていた。
「そうか……。レイは幸せなんだな」
シンは呟いた。
あの忌まわしい戦争により、シンはレイを失った。
クローンとして産まれたレイ。彼の笑顔なんて、数える程しか見た事が無い。
ずっと「レイは幸せだったのだろうか?」とシンは考えていた。
生きている間はわからなかったが、空の上でレイは幸せに暮らしているのだろう。
シンの心は晴れた。
朝になったら、ルナマリアにも話してみよう。
シンはもう一度目を閉じた。
トラックバックURL:http://iihitosuteki.blog5.fc2.com/tb.php/1074-602613f0