バンドメンバーというより職人、バンドリーダーというより親方(オヤジさん)
今日も1日中、雨だった。
今日はプレゼントしていただいたDVDを観た。
Jazz、フュージョンのフェスティバルの映像である。
年代は80年代である。グループが凄いミュージシャン達が集まったグループばかりだった。
故人になってしまった人も多い。先日亡くなった、コーネル デュプリー、トニー ウィリアムス、ハイラム ブロック達である。
そして、今日の御題の主である巨星、マイルス デイヴィスも出演していた。
ブロックは楽しそうにステップを踏みながらステージ上を動きまわりながら演奏していた。彼が亡くなる前に東京JAZZに出演していたが、その時の体系は太ってしまっていたが、若い頃はガリガリというより筋肉質なやせた体系だった。いつも本当に楽しそうに演奏している姿が印象的だったがこの当時は若さあふれる楽しそうな弾けかただった。
マーカス ミラーは当時から相変わらずの音を出していた。いつもと変わらない演奏をしていた。それぞれのパートに長い時間をかけて見せ場を作ってあげている点は今と変わらない。
スティーヴ ガッドの演奏を聴いているとやっぱり、ポンタさんとの共通点があった。自爆自伝でポンタさんがガッドと仲良しだったこと、スティーヴの代わりにスティーヴのフリをして彼の仕事をこなして収録した演奏があることなどが書かれている。
演奏は当たり前だが違うのだが、言葉では表現し難いがもって行き方が同じで、極めなければいけないところで、彼らは共通の極め方をしている。聴いていて気持ちのいいドラミングである。
ハービー ハンコック、ウェイン ショーター、スタンリー クラーク、オマ ハキムのグループはハンコックの名曲 クァンタロープ アイランド をアレンジを変えて演奏していた。本来はゆったりした曲だが、速いテンポで演奏していた。ハンコックはアコースティックピアノを弾いていた。
お互いが楽しそうに相手の出かたをうかがいながら笑いながら演奏しているのが印象的だった。初めて聴くアレンジだったので驚いたと同時に、かっこいい、と思った。
ハンコックだけが鍵盤を叩いて演奏し、お決まりのフレーズを弾いたところで、メンバーが続く、といった演奏だった。クラークとハキムが弾きボトムラインを作ると、ショーターがブローし始めた。この雰囲気が"Cool"である。このグループもハンコックがそれぞれのミュージシャンに見せ場を長い時間を作ってあげる、といういつものやり方なので、この面子で悪いわけがない。
ショーターがブローを終えるとハンコックも演奏をやめて、クラークのソロになるのだが、彼のいつものスラップを使ったリックなのだが、だんだん盛り上がってくる。彼も演奏していて盛り上がってきて右足をドラムを置いているステップに載せてリズムを取りながら右指を高速でスラップしながら、左手は4弦すべて押さえて、ギターのカッティングのように演奏する。とても、かっこいい。オーディエンスも盛り上がっているが、演奏しているクラークとハキムの2人は一番盛り上がっている。
クラークが演奏を終えるとショーターが笑いながら、クラークを迎え入れる。ハンコックは、笑顔で握手を求めているが、その横ではハキムがドラムを叩きまくっている。
この映像を編集した当時はライヴ映像で過剰な演出編集されているライヴVTRが多いが、この映像もそのようなシーンもあるが、ハンコックが握手を求めるシーンは今のライヴVTRで編集するときにはカットされているだろう。映画監督がライヴ映像を撮ったものは過去に多くある。代表的なのがウッドストックだと思う。
ふいに1人のオーディエンスに注目して、表情が変わっていくさまを撮っているが、ああいう映像を見ると見る側からしても当時の雰囲気がわかってうれしく感じる。今のライヴVTRは平面でとらえられているものが多いので臨場感が伝わらないし、当時の雰囲気や匂いがしない。お金の問題でカメラの台数が制限されているので仕方がないのかもしれないが。ZEPの2枚組のライヴDVDを見ていても当時の映像の編集の仕方がかっこいいので実際にステージを観に行っている雰囲気になる。
ハンコックが握手をクラークに求める姿は一瞬の時間の出来事だが、かっこいいシーンである。あのシーンは入れてあるのとないのとではまったく違ったものになる。
メンバーの中で一番若手だと思うハキムが叩きまくっているが、オーディエンスと一体になって盛り上がっている。楽しそうな雰囲気である。
アル ディ メオラ&ラリー カールトンは スペイン を演奏していたが白熱のバトルではあるが、お互いに間合いを取っているので、喧嘩バトルではない。お互いに尊重し合っている。
デイヴィッド サンボーングループ、チック コリア、マイケル ブレッカー、コーネル デュプリーが参加しているスティーヴ ガッドのグループ、スタンリー クラーク&ラリー グラハム等のすべてを見ても楽しそうに演奏している。お互いに緊張感を持っているはずだが、緊張感を感じない。楽しそうに演奏している。オーディエンスも楽しそうである。
しかし、マイルスのグループは違う。オーディエンスは大喜びで盛り上がっているが。ステージ上のミュージシャンは緊張感を感じる。ヘマをするとマイルスから罵倒されるからなのかもしれないが、ところどころで、マイルスが指で指示をしたり、メンバーに話しかけている。笑顔は一切ない。職人の世界である。
親方と弟子の関係である。マイルスは大きいフレームのサングラスをしていて、腰を曲げて、トランペットを股に挟むように演奏するので時折ずれ、サングラスが落ちそうになるので指で何度も直す。その姿、時間も緊張感が漂っている。
サングラスをはずして、握りながらブローする時があったが眼は眼光鋭い。
サックス奏者に言葉で指示を出してソロを演奏させる。マイルスはキーボードに向かい時折、鍵盤を叩く。ソロにまったく無関心のように振り向かない。キーボードの鍵盤だけしか見ていない。口はガムをかんでいるのか動かしているが。まったく興味がないようなそぶりだが、音に集中しているので、下手な音を出したら、いつでも怒鳴るような表情に見える。
まったくバンドメンバーはうれしそうではない。自分の仕事に集中している職人のようである。サックス奏者がだんだん盛り上がってブローするとオーディエンスが盛り上がる。オーディエンスは皆、笑顔である。ステージ上と比べると異常な感じがする。温度が違う。とても温度差を感じる。
真夏に行われているステージだが、ステージ上はエアコン、というより冷凍庫の中にいるように気温が低いように感じるようでもあるし、冷や汗が流れているようにも感じる。
マイルスは興味がないように時折鍵盤を叩く。
ドラムスに演奏を終了するにようにもって行くよう指示を出す。そして、トランペットを一吹きして演奏を終了した。
オーディエンスは笑顔で拍手しているが、ステージ上は相変わらず緊張感が漂っている。マイルスはにこりともしない。
いつの時代もそうだがマイルスはいつも他のメンバーのソロに興味がないような態度に見える。自分の仕事を黙ってこなしてくれればいいだけだ、と思っているのかもしれない。自分の演奏にも自分の仕事をこなしたまでだ、と思っているのかもしれない。
教えてもらうのではなく、見て盗め、というような職人の世界のようである。最近はそれでは職人が育たないから、という理由で教えるケースがどの分野でも増えているが、今でも、何も教えない、という考え方の親方はどの世界でもいらっしゃる。
マイルスも、俺が言ったとおりにただこなすのではなく、もっと上の演奏をしろ、と求めていたのだと思う。ミュージシャンは皆そのことをわかっているから、緊張感が漂っているのだと思う。
他のグループとの違いがあらためて浮き彫りになった。マイルス門下生は皆いろいろなステージで大活躍しているが、マイルスのバンドにいたときのような緊張感が続く演奏をステージ上でしていない。
マイルスのバンドに参加できたことは名誉なことでそれぞれのミュージシャンはプライドを持ってステージの上に立つ。
だが、認められたことをいつまでも喜んではいられない。ステージでヘマができないからである。どのバンドでもヘマは当たり前だができないが、マイルスのバンドでヘマをすると、ステージ上で罵倒される。オーディエンスの前で罵倒されるのだから、公開処刑である。たとえ今までの人生の中で自分の演奏に自信満々の人間だったとしても、マイルスに罵倒されれば1発でそのような自信も吹っ飛んでしまう。
職人の世界の話である。あの国宝級の建物を修復したいと思い、門をくぐったとしても、親方は経験豊富で、修羅場を潜り抜けて、今の地位がある方である。夢や希望だけで仕事はできない。少しでも手を抜いたり、親方が求める基準に達していなかったら大きい雷が落ちる。怒鳴られる。手だけではなく、足も飛んでくるかもしれない。
職人の世界を知っている方だったら私が言っている意味がわかると思う。ぼろ糞にけなされ、人格否定されるぐらいに怒鳴られる。職人の世界は厳しい。
ディスクワークの方でもヘマをすれば怒鳴られる。でも、工具や手が飛んでくることはない。
マイルスの晩年の映像だが相変わらず厳しい眼でメンバーを見ているように感じることができる。こちらまで緊張してくる。
マイルスに認められてメンバーに参加するように要請されても腕のよい職人になる努力がみられなかったすぐにクビになる。マイルスはメンバーをよく代えたが、そのミュージシャンの腕が悪いからではなく、彼が求める音楽に合うミュージシャンを探すために代えるだけだった。
マイルスのバンドに参加する前はほとんどのミュージシャンが世間では無名だった。しかし、のちに皆、大活躍したのは腕のよい職人になったからだと思う。
今日はプレゼントしていただいたDVDを観た。
Jazz、フュージョンのフェスティバルの映像である。
年代は80年代である。グループが凄いミュージシャン達が集まったグループばかりだった。
故人になってしまった人も多い。先日亡くなった、コーネル デュプリー、トニー ウィリアムス、ハイラム ブロック達である。
そして、今日の御題の主である巨星、マイルス デイヴィスも出演していた。
ブロックは楽しそうにステップを踏みながらステージ上を動きまわりながら演奏していた。彼が亡くなる前に東京JAZZに出演していたが、その時の体系は太ってしまっていたが、若い頃はガリガリというより筋肉質なやせた体系だった。いつも本当に楽しそうに演奏している姿が印象的だったがこの当時は若さあふれる楽しそうな弾けかただった。
マーカス ミラーは当時から相変わらずの音を出していた。いつもと変わらない演奏をしていた。それぞれのパートに長い時間をかけて見せ場を作ってあげている点は今と変わらない。
スティーヴ ガッドの演奏を聴いているとやっぱり、ポンタさんとの共通点があった。自爆自伝でポンタさんがガッドと仲良しだったこと、スティーヴの代わりにスティーヴのフリをして彼の仕事をこなして収録した演奏があることなどが書かれている。
演奏は当たり前だが違うのだが、言葉では表現し難いがもって行き方が同じで、極めなければいけないところで、彼らは共通の極め方をしている。聴いていて気持ちのいいドラミングである。
ハービー ハンコック、ウェイン ショーター、スタンリー クラーク、オマ ハキムのグループはハンコックの名曲 クァンタロープ アイランド をアレンジを変えて演奏していた。本来はゆったりした曲だが、速いテンポで演奏していた。ハンコックはアコースティックピアノを弾いていた。
お互いが楽しそうに相手の出かたをうかがいながら笑いながら演奏しているのが印象的だった。初めて聴くアレンジだったので驚いたと同時に、かっこいい、と思った。
ハンコックだけが鍵盤を叩いて演奏し、お決まりのフレーズを弾いたところで、メンバーが続く、といった演奏だった。クラークとハキムが弾きボトムラインを作ると、ショーターがブローし始めた。この雰囲気が"Cool"である。このグループもハンコックがそれぞれのミュージシャンに見せ場を長い時間を作ってあげる、といういつものやり方なので、この面子で悪いわけがない。
ショーターがブローを終えるとハンコックも演奏をやめて、クラークのソロになるのだが、彼のいつものスラップを使ったリックなのだが、だんだん盛り上がってくる。彼も演奏していて盛り上がってきて右足をドラムを置いているステップに載せてリズムを取りながら右指を高速でスラップしながら、左手は4弦すべて押さえて、ギターのカッティングのように演奏する。とても、かっこいい。オーディエンスも盛り上がっているが、演奏しているクラークとハキムの2人は一番盛り上がっている。
クラークが演奏を終えるとショーターが笑いながら、クラークを迎え入れる。ハンコックは、笑顔で握手を求めているが、その横ではハキムがドラムを叩きまくっている。
この映像を編集した当時はライヴ映像で過剰な演出編集されているライヴVTRが多いが、この映像もそのようなシーンもあるが、ハンコックが握手を求めるシーンは今のライヴVTRで編集するときにはカットされているだろう。映画監督がライヴ映像を撮ったものは過去に多くある。代表的なのがウッドストックだと思う。
ふいに1人のオーディエンスに注目して、表情が変わっていくさまを撮っているが、ああいう映像を見ると見る側からしても当時の雰囲気がわかってうれしく感じる。今のライヴVTRは平面でとらえられているものが多いので臨場感が伝わらないし、当時の雰囲気や匂いがしない。お金の問題でカメラの台数が制限されているので仕方がないのかもしれないが。ZEPの2枚組のライヴDVDを見ていても当時の映像の編集の仕方がかっこいいので実際にステージを観に行っている雰囲気になる。
ハンコックが握手をクラークに求める姿は一瞬の時間の出来事だが、かっこいいシーンである。あのシーンは入れてあるのとないのとではまったく違ったものになる。
メンバーの中で一番若手だと思うハキムが叩きまくっているが、オーディエンスと一体になって盛り上がっている。楽しそうな雰囲気である。
アル ディ メオラ&ラリー カールトンは スペイン を演奏していたが白熱のバトルではあるが、お互いに間合いを取っているので、喧嘩バトルではない。お互いに尊重し合っている。
デイヴィッド サンボーングループ、チック コリア、マイケル ブレッカー、コーネル デュプリーが参加しているスティーヴ ガッドのグループ、スタンリー クラーク&ラリー グラハム等のすべてを見ても楽しそうに演奏している。お互いに緊張感を持っているはずだが、緊張感を感じない。楽しそうに演奏している。オーディエンスも楽しそうである。
しかし、マイルスのグループは違う。オーディエンスは大喜びで盛り上がっているが。ステージ上のミュージシャンは緊張感を感じる。ヘマをするとマイルスから罵倒されるからなのかもしれないが、ところどころで、マイルスが指で指示をしたり、メンバーに話しかけている。笑顔は一切ない。職人の世界である。
親方と弟子の関係である。マイルスは大きいフレームのサングラスをしていて、腰を曲げて、トランペットを股に挟むように演奏するので時折ずれ、サングラスが落ちそうになるので指で何度も直す。その姿、時間も緊張感が漂っている。
サングラスをはずして、握りながらブローする時があったが眼は眼光鋭い。
サックス奏者に言葉で指示を出してソロを演奏させる。マイルスはキーボードに向かい時折、鍵盤を叩く。ソロにまったく無関心のように振り向かない。キーボードの鍵盤だけしか見ていない。口はガムをかんでいるのか動かしているが。まったく興味がないようなそぶりだが、音に集中しているので、下手な音を出したら、いつでも怒鳴るような表情に見える。
まったくバンドメンバーはうれしそうではない。自分の仕事に集中している職人のようである。サックス奏者がだんだん盛り上がってブローするとオーディエンスが盛り上がる。オーディエンスは皆、笑顔である。ステージ上と比べると異常な感じがする。温度が違う。とても温度差を感じる。
真夏に行われているステージだが、ステージ上はエアコン、というより冷凍庫の中にいるように気温が低いように感じるようでもあるし、冷や汗が流れているようにも感じる。
マイルスは興味がないように時折鍵盤を叩く。
ドラムスに演奏を終了するにようにもって行くよう指示を出す。そして、トランペットを一吹きして演奏を終了した。
オーディエンスは笑顔で拍手しているが、ステージ上は相変わらず緊張感が漂っている。マイルスはにこりともしない。
いつの時代もそうだがマイルスはいつも他のメンバーのソロに興味がないような態度に見える。自分の仕事を黙ってこなしてくれればいいだけだ、と思っているのかもしれない。自分の演奏にも自分の仕事をこなしたまでだ、と思っているのかもしれない。
教えてもらうのではなく、見て盗め、というような職人の世界のようである。最近はそれでは職人が育たないから、という理由で教えるケースがどの分野でも増えているが、今でも、何も教えない、という考え方の親方はどの世界でもいらっしゃる。
マイルスも、俺が言ったとおりにただこなすのではなく、もっと上の演奏をしろ、と求めていたのだと思う。ミュージシャンは皆そのことをわかっているから、緊張感が漂っているのだと思う。
他のグループとの違いがあらためて浮き彫りになった。マイルス門下生は皆いろいろなステージで大活躍しているが、マイルスのバンドにいたときのような緊張感が続く演奏をステージ上でしていない。
マイルスのバンドに参加できたことは名誉なことでそれぞれのミュージシャンはプライドを持ってステージの上に立つ。
だが、認められたことをいつまでも喜んではいられない。ステージでヘマができないからである。どのバンドでもヘマは当たり前だができないが、マイルスのバンドでヘマをすると、ステージ上で罵倒される。オーディエンスの前で罵倒されるのだから、公開処刑である。たとえ今までの人生の中で自分の演奏に自信満々の人間だったとしても、マイルスに罵倒されれば1発でそのような自信も吹っ飛んでしまう。
職人の世界の話である。あの国宝級の建物を修復したいと思い、門をくぐったとしても、親方は経験豊富で、修羅場を潜り抜けて、今の地位がある方である。夢や希望だけで仕事はできない。少しでも手を抜いたり、親方が求める基準に達していなかったら大きい雷が落ちる。怒鳴られる。手だけではなく、足も飛んでくるかもしれない。
職人の世界を知っている方だったら私が言っている意味がわかると思う。ぼろ糞にけなされ、人格否定されるぐらいに怒鳴られる。職人の世界は厳しい。
ディスクワークの方でもヘマをすれば怒鳴られる。でも、工具や手が飛んでくることはない。
マイルスの晩年の映像だが相変わらず厳しい眼でメンバーを見ているように感じることができる。こちらまで緊張してくる。
マイルスに認められてメンバーに参加するように要請されても腕のよい職人になる努力がみられなかったすぐにクビになる。マイルスはメンバーをよく代えたが、そのミュージシャンの腕が悪いからではなく、彼が求める音楽に合うミュージシャンを探すために代えるだけだった。
マイルスのバンドに参加する前はほとんどのミュージシャンが世間では無名だった。しかし、のちに皆、大活躍したのは腕のよい職人になったからだと思う。