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2020年9月10日 (木)

子供に大学に行かせる給与

こういうツイートが、ごまんと、いや5万人以上がリツイートしているんだから文字通りごまんと、賛同されているんですが、これ自体が雇用と教育の極めて日本独自な考え方に立脚しているんだということを、マジ、マジと言ってる人々はどこまで理解しているんだろうか、と。

https://twitter.com/iori_chandesu/status/1303462716359680001

『社員の子どもに大学に行かせる給与を出せない会社は、応募資格に大卒って書くな』ってなにかで見たのだけど、マジでそうだしマジでそう。

数少ないジョブ型職域である病院で、「医師の子供に医学部に行かせる給与を出せない病院は、応募資格に医学部卒って書くな」っていったら、何を馬鹿なことを言っているんだと笑われるでしょう。

なぜこれが「社員」「大学」になると、なんの疑いもなくなるのか。

そこんところをしっかり考えない人が、まあごまんといるわけです。

ジョブ型社会の病院では、医師の仕事をする上で必要なことを学ぶのが医学部で、それは(現実には親が開業医でないと難しい入学金といった裏の事情はありつつも)学力で入るということになっています。

そこでお金が足りないとなれば、そこを社会的に支えるのが本来の奨学金と言うことになるのでしょう。

ところが、メンバーシップ型の会社では、社員の仕事をする上で必要なことを学ぶのが大学、では全然なく、何学部であろうが大学と名がつきさえすればよく、かつまたFランまで含めれば学力とは全然関係なく入れるので、結局社員という社会的身分を付与するか否かの決定要因は親の給与だということになり、上記ツイートのような発想が自然に受け止められるんでしょうね。

スキルが必要なジョブに就くためにそのスキルを身につけるために大学に行くんだから、そのコストは親だけに負わすのではなく、社会的に負担すべきである、という発想が、そもそも希薄ないし欠落した社会であるからこそ、奨学金も単なる学生ローンとなるわけです。卒業したら全部忘れろと言われるようなことを学ぶための大学にいく連中に、なんで金を出す必要があるんだ、親が負担すりゃいいじゃないか、と。

そういうもろもろのことを全部すっ飛ばして、上記ツイートがごまんとリツイートされるのが、日本社会であるということだけは明らかなようです。

(参考)

http://hamachan.on.coocan.jp/posse32.html(日本型雇用と日本型大学の歪み(『POSSE』第32号(2016年9月)))

 本誌『POSSE』の今号の特集は奨学金問題です。また過去数号にわたって本誌はブラックバイト問題を特集してきました。この二つの問題は、今野晴貴さんや大内裕和さんの本によって近年大きく取り上げられてきたトピックですが、どちらも現代日本の大学や大学生の経済的社会的なありようと密接に関わっています。本稿では、さまざまな個別具体的な論点ではなく、そうした問題を引き起こしている社会システムとその変容に焦点を当てて、ややマクロ的な議論をしておきたいと思います。

1 日本型雇用システムと雇用政策の変転
2 日本型雇用適合的教育システムと教育政策の変転
3 日本型雇用の収縮に取り残される教育
4 職業訓練の視角からものごとを考え直す

・・・日本型雇用に基づく親負担主義に支えられていた幻想のアカデミズムは今やネオリベラリズムの冷たい風に晒されて、有利子奨学金とブラックバイトという形で学生たちを搾取することによってようやく生き延びようとしているようです。そのようなビジネスモデルがいつまで持続可能であるのか、そろそろ大学人たちも考え直した方がいい時期が来ているようです。 

 

 

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コメント

> 「医師の子供に医学部に行かせる給与を出せない病院は、応募資格に医学部卒って書くな」っていったら、何を馬鹿なことを言っているんだ
 
学歴要件が「大卒だけ」だから、ダメだ、と感じるんでしょうね
ツイ主も、
 
 学歴要件が「大卒機械工学系」とか「大卒情報工学、情報科学系」とか
 
だったら、特に文句は付けないんだろうな、と思います
 
しかし、「大卒を世襲できるようにしろ!」っていう話ですから、本当に
「身分制」を御望みなんでしょうね

しかし、これって、子供が大学に進学しなかったり企業に入らなかったら、そのぶんの給与を企業に返上するのですかね? その場合、不当利得的なものになるわけですが。まあ、そこまで考えてはないのでしょうけど。

警察学校、防衛大学校、自治医科大学など、「紐つき」で学費を出してくれる組織と学校は少数ながら存在していますね。

勤務医って子供を医学部にやれない程度の給与しかもらえない事あるんですか?
流石にその条件では雇えないと思うのですが・・・。

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