タイタンクエスト特集第3回:「Titan Quest II」に向けて振り返る現世代“Diablo-like”タイトルの進化とトレンド

2024年9月25日 11:55 by katakori
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「Titan Quest II」

先日ご紹介したタイタンクエスト特集の第2回は、「Titan Quest」シリーズが属する一大サブジャンル“Diablo-like”に焦点を当て、その基礎となる定義や特徴、コンセプトを歴史的な側面から掘り下げてみました。

第1回の冒頭でも言及しましたが、現在の“Diablo-like”ジャンルは、“ディアブロ IV”と“Path of Exile”、“Last Epoch”を筆頭に、新旧様々な選択肢が用意された新しい黄金期とも呼べるような充実した状況にあります。

来る続編「Titan Quest II」は、このジャンルに登場する久方ぶりの完全新作で、既に部分的なディテールが明らかになりつつありますが、そのほとんどは未だ謎に包まれたままです。

前回の特集は、「Titan Quest II」がどんな“Diablo-like”作品になるのか、その土台を担う要素をまとめてご紹介しましたが、今回は初代“ディアブロ”と“ディアブロ II”以降に登場した主要な作品に焦点を当て、近年の傾向やトレンドを振り返ることで、前述した土台の上に載る様々な要素を把握するための材料にしたいと思います。

「Titan Quest II」のゲームプレイトレーラー
こちらは先日公開された「Titan Quest II」の本格的な解説映像

なお、続編「Titan Quest II」の詳細については、次回の特集から具体的な内容をご紹介していきますが、参考までに現段階で判明している一部の要素を挙げておきましょう。

今のところ、初代をしっかり踏襲する基礎部分のメカニクスが印象的で、マスタリーシステムやマスタリー毎に用意されるスキルツリー、章立ての進行、ランダム生成のない固定マップといった要素の継承が明らかになっています。

一方、新要素としては、モディファイアによるスキルのカスタマイズシステムやアトリビュートの刷新などが挙げられますが、まだ全体的な進行やエンドゲームの有無、コンテンツの運用等に関するアプローチはほとんど分かっていません。

「Titan Quest」以降に登場した近年の代表的な“Diablo-like”について

前回の特集では、“ディアブロ”の出自に焦点を当てて、“Diablo-like”の基本的な定義と特徴を改めて整理してみたわけですが、“ディアブロ”と“ディアブロ II”が25年近く前にサブジャンルのコアとなるプリミティブな経験を完成させた後は、オリジナルの「Titan Quest」をはじめ、“Dungeon Siege”や“Torchlight”など、様々な作品が登場し、互いに試行錯誤と研鑽を重ねながら、サブジャンル全体を進化させてきました。

第1回の特集でご紹介した通り、初代「Titan Quest」は非常に息の長いタイトルですが、現行の新エディションはあくまでクラシックとしての復活と拡張であるため、近年のモダンな“Diablo-like”作品群の運用や方向性とは大きく趣きが異なります。

一方で、来る続編「Titan Quest II」は、(AA以上の開発規模を持つ完全新作としては、2019年11月に発表された“ディアブロ IV”以来、数年ぶりとなる)最新のモダンな“Diablo-like”として登場することになりますので、今回は初代「Titan Quest」以降に登場した、近年の代表的なタイトルを正式発表順に並べ、それぞれの変遷や特徴、アプローチから現行のトレンドや傾向に対する解像度を上げていきたいと思います。

なお、各タイトルのゲームプレイやメカニクスに関する詳細を紹介すると長くなるので、あくまで“Diablo-like”として見た場合の特徴に焦点を絞ってご紹介させて頂きます。

サブジャンルの新たな10年を築いた“ディアブロ III”

正式発表は当サイトのオープンよりも古い2008年6月。その後のお披露目や改訂、ベータテストを経て、2012年5月に製品版が発売され、12年が経った今もシーズン運用が続いている(現在はシーズン32“イシリアルの記憶”が開催中)非常に長命なタイトルです。

作品の方向性としては、David Brevik氏が確立したスロットマシン的コンセプトの楽しさをさらに先鋭化し、(てっとり早く遊べて、すぐに気持ちよくなれるよう)面倒な機能やメカニクスを徹底的に排除・簡素化、あるいは自動化することで、プレイしやすさを高めました。

面倒な仕組みとして排除・簡素化された代表的な要素として、主要アトリビュート(Str/Dex/Int)の手動割り当てが完全に廃止されたほか、ポーションの個数管理も廃止、スキルツリー廃止、識別・鑑定の簡素化、タウンポータルの非アイテム化、レベル上限の低下などが挙げられ、機能的な手続きや面倒さを大幅に軽減することで、全体的なゲームプレイ経験をよりカジュアルな方向に進化させました。

一方で、タイルベースの移動システムを脱却したことによるアクション性の向上も実に印象的で、“ディアブロ II”以前にはなかった(ベリアルやウルザエルに顕著な)本格的な“避け”の要素に加え、ローンチ後のコンソール対応を機に実装された緊急回避、前述した細々とした手間のさらなる合理化などは、D3以降のタイトルに多大な影響を与えたと言えるでしょう。

また、ゲームプレイの全体的なペーシングも向上しており、パラゴンによる新たなプログレッションや前作のラダーを大きく強化したシーズン運用も相まって、スロットマシンとしてのスピードやサイクル感が増したことも大きな変化として挙げられます。

こういった面倒の少ない遊びやすさ、快楽のより直接的な強化、ハイペース化、アクション性の向上といった要素は、文字通り“Diablo-like”の新しい10年を切り開いたと言えます。(※ 蛇足ながら、アクション性の強化に伴い、従来のように敵と正面からどつき合う“Hack and Slash”というよりも、多くの敵をまとめて一掃する“Evade and Explosion”とでも呼ぶ方が近いような印象のど派手な戦闘が主流となっていくのも、D3以降の特徴と言えるでしょう)

一方で、“ディアブロ III”は新たなトレンドの模索や迷い、実験的な取り組みも多くあり、主なものとして、リアルマネーオークションハウスやPvPアリーナの存在が挙げられます。

本作のリアルマネーオークションハウスは元々ゴールドファーミングや非公式な現金取引を含むRMTの諸問題を公式で一元化するための措置だったわけですが、結果的に良質な装備の売買が公に行われることで、体験のコアであるスロットマシン的快楽の軸が、単純に金銭でやりとり可能なギャンブル方向へとずれ、ピュアな没頭よりも射幸心を誘発する端的に楽しくない経験が出来上がってしまいました。(後に、Blizzard Entertainmentもシンプルに経験として“面白くない”と明言し、これを撤廃。代わりに戦利品システムを刷新するLoot 2.0アップデートを実装し、見事な復活を果たしました)

また、“ディアブロ III”のPvPアリーナは、当初Call of Duty的なeスポーツを想定した新要素として鳴り物入りでお披露目されたものの、やはり今回の特集で振り返った“Diablo-like”の本質的な楽しさと(PKではないスポーツ的な)対人戦はどうにもかみ合わず、最終的に実装された“Brawling”を含め、定着することはありませんでした。

ハードコアの極北“Path of Exile”

「Path of Exile」は、ニュージーランドのデベロッパ“Grinding Gear Games”が開発を手がけたデビュー作。初心者の心を容易くへし折る超巨大なスキルツリーボードに象徴される奥深いキャラクターカスタマイズをはじめ、複雑かつ膨大な量のコンテンツ、F2Pモデルを採用する独自の運用で人気を博しています。

先ほどご紹介した“ディアブロ III”は、次の10年を担う遊びやすい“新しいDiablo”でしたが、本作は“ディアブロ II”の魅力とフォーミュラを徹底的に追求し掘り下げる、ハードコアな作品。全てにおいて“過剰”というのが最も適切な“Diablo-like”の極北と言えるタイトルです。

発表は“ディアブロ III”よりも遅い2010年9月ですが、開発がスタートしたのは2006年。大学時代に何千時間も費やし“ディアブロ II”に没頭したスタジオの創設者Chris Wilson氏が、後にスタジオの共同創設者となるJonathan Rogers氏と出会い、親友となった2人が“ディアブロ II”に代わる夢のアクションRPGを追求するなかで誕生した作品でした。

スタジオ名の“Grinding Gear Games”は、気が遠くなるような時間を掛けて希少な装備を求めトレハンを繰り返す、“ディアブロ II”のコアループを象徴する名称であり、さらに“Path of Exile”の名称もまた、“Diablo II: Lord of Destruction”拡張の説明書に掲載された序文の引用だと言われており、この辺りからも“ディアブロ II”への只ならぬ傾倒ぶりが窺えます。

「Titan Quest」
参考:Path of Exileの超巨大なパッシブスキルツリー

Grinding Gear Gamesは、クラシックな“Diablo-like”を継承する5本のデザインピラー(直感的なアクションコンバット、レベル環境のランダム生成、ランダム生成アイテム、セキュアなオンライン経済、奥深いキャラクターカスタマイズ)を掲げ、発表当初から今もこれを堅持することで、良くも悪くも全くぶれないコンテンツ運用や拡張を特色としており、モダンな“Diablo-like”として見た際に最も大きな特徴は、前述したデザインピラーの1つに含まれる(D3がなし得なかった)アイテム交換に基づく“セキュアなオンライン経済”が挙げられるでしょう。

また、毎回体験やテーマが大きく様変わりするシーズン(チャレンジリーグ)運用も特徴的で、元々はプレイヤーベースの維持を目的とするコンテンツアップデートを発展させたものでしたが、Grinding Gear Gamesは10年に及ぶ定期的かつ継続的なチャレンジリーグ運用を通じてユーザーベースを着実に拡大させ、驚くべきことに先日始動した最新リーグ“Settlers of Kalguur”の導入時に過去最高の同接ピークを叩き出しています。(プレイヤーとしては、リーグの定期開催によって自身のプレイングとスケジュールを容易に管理できることが大きな魅力で、今ではすっかり定着していますが、当初の驚きは大きなものでした)

現在のシーズンシステムを生んだのは、“ディアブロ II”(のラダー)でしたが、これをモダンなコンテンツに進化させたのは、“ディアブロ III”ではなく“Path of Exile”の功績であり、このダイナミックなシーズン運用は、後の“ディアブロ IV”にも大きな影響を与えることになります。

“Path of Exile”の面白さは、前述した通り過剰なボリュームによる選択肢の多さと、習得が難しい複雑さによる知識ベースの創発的なゲームプレイにあり、初めて“Diablo-like”をプレイする方においそれと進められるようなものではありません。

遊びやすいゲームというのは、得てしてリニアなガイドやナビゲートに長けているものですが、“Path of Exile”にはとても案内しきれない程の途方もない選択肢が用意されています。これは、プレイヤーがやりたいことだけを追求し、やりたくないことは手を着けずに済むよう(例えば、雑魚戦だけ、ボス戦だけ楽しみたい、トレハンの効率を追求したい、或いはタワーディフェンスばかり遊ぶ、現在であれば、街作りに没頭して、貿易をメインに楽しむことさえ可能です)、拡張し続けられた結果として誕生したものですが、遊び場全体が余りに広大で自由すぎることから、プレイヤーが自ら能動的に楽しみ方を見つけることそのものが極めて難しいという点が本作の大きな特徴と障壁であり、同時に魅力でもあると言えるでしょう。

Titan Quest直系の精神的後継作品“Grim Dawn”

“Grim Dawn”は、オリジナルの「Titan Quest」と「Immortal Throne」拡張を開発した“Iron Lore Entertainment”の中心人物達が多く在籍するスタジオ“Crate Entertainment”が開発した作品です。

開発スタートは2009年7月。2010年1月の正式発表と2012年のKickstarterを経て、2013年5月にSteam Early Access版のローンチを果たしました。

発表や発売時期は“Path of Exile”とかなり近く、前述の通り“ディアブロ III”が新しい“Diablo-like”の地平を切り開き、“Path of Exile”がD2のレガシーをハードコアに掘り下げた一方で、この“Grim Dawn”は「Titan Quest」のコンセプトをさらに追求し拡張する、オリジナルクリエイターによる精神的後継作品となっています。

こういった背景や出自から、本作は「Titan Quest」と同じIron Loreエンジンを採用しており、馴染み深いマスタリーシステムやプレイフィールを継承し、多数の新要素を導入しています。

“Grim Dawn”は、シーズンを採用していませんが、「Titan Quest」と同じく資産がものを言う非シーズンプレイの魅力とメカニクスがより深く掘り下げられていて、現行のモダンな“Diablo-like”に比べるとややクラシックな趣きが強いものの、ゲームプレイは滅法面白く、非常に高い評価を獲得しています。

なお、“Grim Dawn”の運用や改善は(発売から10年以上が経過した)現在も続いており、年内に新エリアや多数の新コンテンツを導入する、実に4年ぶりの大規模拡張パック“Fangs of Asterkarn”がリリースされる予定となっています。

野心的な取り組みを続ける新鋭“Last Epoch”

“Last Epoch”は、テキサス州プレイノに拠点を構えるインディースタジオEleventh Hour Gamesのデビュー作で、“Diablo-like”の熱心なファンたちが集まり、自分たちのプレイしたいゲームを追求し誕生した全く新しい“Diablo-like”です。

発表は2018年4月、その後Kickstarterキャンペーンを経て、2019年4月にSteam Early Access版が発売。2024年2月に待望の製品版1.0ローンチを果たし、7月には日本語ローカライズも実装されました。

主な特徴は、複雑かつ柔軟性の高い装備クラフトシステムやスキル強化を含むマイクロプログレッション、固定マップながらも複数の時代の行き来することで大きく変化する作品世界といった要素を特色としていますが、最大の特徴は多数の野心的な機能を備えたプレイアビリティの高さにあります。

“ディアブロ III”が誰でも簡単に手軽に遊べるスロットマシンで、“Path of Exile”が非常に複雑なルールと膨大な遊び方を用意したマニア向けのスロットマシンだとすれば、“Last Epoch”はスロットマシンの台そのものが高機能で、打ちやすくて凄い!というのが分かりやすいでしょうか。

非常に機能的で扱いやすいフィルタ機能や高品質なUXに基づく本格的な装備クラフトシステムは本作の白眉で、これを用いるビルド構築の楽しさはその他の“Diablo-like”には見られない独自の魅力を作り上げています。

遊びやすさとハードコアのさじ加減が、“ディアブロ”と“Path of Exile”のちょうど中間あたり、というのも実に丁度良い塩梅。

また、“Last Epoch”はサイクルと呼ばれるシーズン運用を採用していて、現在進行形で様々な改善と拡張が進められているため、今後の進化と成長が楽しみな最新の1本と言えるでしょう。

本家シリーズ最新作“ディアブロ IV”

Blizzard Entertainmentによるシリーズ最新作“ディアブロ IV”は、2019年11月にアナウンスされ、2023年6月に製品版ローンチを果たし、現在はシーズン5“獄炎軍団”の運用中。10月には第1弾拡張パックとシーズン6が導入される予定となっています。

“ディアブロ IV”もまた、“ディアブロ III”と同じく(前作の正統進化ではなく)次の10年と新しいサーガの始動を視野に入れ、全く新しい“ディアブロ”像を作り上げる作品ですが、前作“ディアブロ III”との大きな違いとして、“Path of Exile”を含む同ジャンルの野心的な取り組みや他ジャンルの要素を貪欲に取り込み、1つの作品にまとめあげた品質の高さが大きな特徴だと言えます。

ダイナミックなシーズン運用や巨大なボード方式のパラゴンシステムは、“Path of Exile”の影響が強く感じられ、地表の本格的なオープンワールド化やMO的なアクティビティなど、新しい取り組みは多岐にわたりますが、その全てが今回の特集でご紹介したスロットマシンとしての快楽やコアループを阻害しておらず、むしろその快楽に新しいレイヤーを追加しているような側面も見られます。

これは、“ディアブロ III”の経験や失敗、フィードバックをしっかりと活かしたもので、ディアブロ IIIやPath of Exile、Last Epochとはまた異なる、(もちろん善し悪しは別として)ゴージャスかつラグジュアリーな体験ができるハイエンドスロットマシンに仕上がっていると言えるでしょう。

また、“ディアブロ IV”における興味深いアプローチとして、メインストーリー/キャンペーンの扱いが挙げられます。第2回特集の最後に、“Diablo-like”にストーリーは必要か?という項目で言及しましたが、“Diablo-like”のスロットマシン的なコアループ経験と壮大なストーリー体験の関係は、多くのシチュエーションで二律背反の状態にあり、これを両立することは(マストではないものの)サブジャンルに残された課題の一つだったと言えます。

“ディアブロ IV”は、濃厚なキャンペーンを一度だけプレイさせ、その後はノンリニアなアクティビティのみに集中できる仕組みを用意することで、壮大なストーリー体験とスロットマシン的コアループを完全に分離し、その後のシーズン運用や拡張を自然に導入するナラティブのベースとして構築する、離れ業のようなフォーミュラを確立しました。

Rod Fergusson氏率いる新体制の下で誕生した“ディアブロ IV”は、無限に遊べる“Diablo-like”のコンセプトと哲学を一段階進化させ、ビデオゲームのみならず、世界中のあらゆるコンテンツがユーザーの可処分時間を奪い合う状況下で、キャンペーンなどは1度クリアすれば十分、シーズンは報酬を取り終えれば別のゲームを楽しんだほうがいいと自ら放言し、好きな時だけプレイすれば十分と考えるコンテンツの構築を進めています。(※ これは戦利品に顕著で、シーズンパスの報酬を取り終えるまで、シーズンジャーニーの完了、その後も継続可能なビルド強化と装備品の追求など、戦利品ベースの分かりやすい“やめられる”区切りが存在することが、本作の態度を明示していると言えます)

一方で、戦闘を中心とするゲームプレイは、よりど派手なインフレ傾向にあり、(スロットマシンのコアループとは別に)回避して、まとめて、一掃する、ドーパミンを大量に分泌させるような快楽で没頭と中毒性をより高めているのも印象深く、これもまたD3以降に進化が続いている大きなトレンドの1つだと言えるのではないでしょうか。

現代的“Diablo-like”に見られる傾向とトレンド

ここまで、現在の主要なタイトルの特色やアプローチについて、簡単な概要をまとめましたが、全体的に共通して言えることとして、ユーザーベースの維持にシーズンサイクルを用いていること、年々その内容がリッチになっていることが挙げられます。

このほか、マップのプロシージャル生成に対して様々なアプローチを試みている様子も印象的で、リプレイ性の高さとリッチな体験の配分にはまだ確かなレシピが見つかっていないようです。

また、全体的なペーシングとプログレッションに関する変化も大きく、かつて初代「Titan Quest」や“ディアブロ II”時代は文字通りリニアで線形だったレベル進行は、様々な要素に細かく分割され(キャラクターレベル、パラゴンレベル、スキルレベル、装備レベル、バトルパスの報酬進行、勢力の名声、装備クラフトなどなど)、大小様々なプログレッションを複合的・並行的に組み合わせることで、(例えプログレッションの総量が一緒だとしても)行動と報酬のサイクルに変化を付け、プレイに飽きがこないような設計が各所で成されていることも大きな特徴だと言えるでしょう。

「Titan Quest」

加えて、戦闘と報酬のサイクルとその快楽を阻害しない形で、新しい要素やアクティビティの導入を図る試みも顕著です。最も分かりやすいのは、装備品の本格的なクラフトシステムだと感じていますが(“ディアブロ IV”の焼戻もこのマイルドな亜種の一つでしょう)、この他にもしっかりコアループと一体化するようなゲーム内ゲームやMO/MMO要素の台頭も印象的です。

冒頭でもご紹介した通り、現時点で「Titan Quest II」がどういった作品になるのか、その運用を含む詳細は不明ですが、今回ご紹介したようなトレンドをどう取り入れるか、或いは取り入れないか、最近の“Diablo-like”は新コンテンツのライブ感や戦利品・報酬のもったいない感からシーズン主体のプレイがどうしても多くなりがちなため、逆にシーズンを採用しない、資産構築・活用ベースのアプローチを追求するような作品があっても面白いかもしれません。

ということで、タイタンクエスト特集の第3回はここまで。次回は、いよいよ最新作「Titan Quest II」の具体的なディテールに焦点を当て、現段階で判明している新情報を徹底的にまとめてご紹介しますのでお楽しみに!

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