[読書] 死体鑑定医の告白 (上野 正彦/著・東京書籍) 感想
88歳の死体監察医の執念のような情熱がビシビシと…
『死者は語る』以来、著者の本は何冊か読んでいるが、本作はタイトルに『告白』とあるように、第9章(最終章)『涙の遺骨鑑定』に記されている、著者の初めて請け負った「遺骨鑑定」を通して、自身の亡くなられた奥様やお嬢様、愛犬への思いや…
やがてその遺骨のある墓に自分も入るだろうが、それまでは “死者の声を聞く” 仕事を続けようと言う御歳88歳の死体監察医の執念のような情熱がビシビシと伝わってきた。
人は死んでも、心の中で心の中で生きている…
これを知ってから改めて読み直してみると、本書にあるように法医学者によって、全く異なるのも分かる。理由は経験や立場の差はもちろんあろうが、やはりすべての仕事に共通するだろう “背骨” を何にしているか? に違いない。
因みに著者は “背骨” は、死者の声を聴き、死者の名誉を守るために鑑定をすることだと思う。更に、「死体は決して嘘をつかない」をモットーに多くの “死” を見てきたから、我が身はどう生きるべきかを知ることができると言う。
そう、人は心の中で心の中で生きているのだ。そう考える著者に救われた遺族が沢山いるのだろう。生きている人を救う医学はもちろん重要だか、亡くなった人や遺された人を救う医学にもっと日が当たる世の中になって欲しい。そして、著者の “志し” を継ぐ法医学者が増えて欲しい。そうと感じた一冊だ。
あとがき
テレビにも出演されている有名な監察医の事例集です。多くの「死」を見て来たからこそ「如何に生きるべきか」を知ることが出来ると言う。そして「人は心の中で生きている」と言う言葉の重さは、上野氏こそ。生きている人間を救う医師も必要だが、覚悟もなくこの世を去った人の声を聞く医師も必要だと感じました。
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死体は語る (文春文庫)
監察医が泣いた死体の再鑑定:2度は殺させない
([う]4-2)監察医の祈り (ポプラ文庫)
自殺の9割は他殺である 2万体の死体を検死した監察医の最後の提言
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