連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」〔全112回〕 (第68回・2022/2/7) 感想
NHK総合・連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
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第68回〔全112回〕/第15週『1976-1983』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
大月家に古びたラジオがやってきました。るい(深津絵里)は、英語がしゃべれるようになりたいというひなた(新津ちせ)に、毎朝ラジオ英語講座で勉強することを提案します。錠一郎(オダギリジョー)の協力もあって、テキストを手に勉強を始めたひなた。そんなある日、クラスメイトの小夜子が映画村で出会った外国人の男の子・ビリーを連れて店を訪れてきました。ひなたの様子を見たるいと錠一郎は事情を察して…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作・原案・脚本:藤本有紀(過去作/ちりとてちん)
演出:安達もじり(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく、おちょやん) 第1,2,4,7.8,9,13週
橋爪紳一朗(過去作/てっぱん、花子とアン、半分、青い。、エール) 第3,5,7,15週
泉並敬眞(過去作/まんぷく、スカーレット、六畳間のピアノマン) 第11週
深川貴志(過去作/花燃ゆ、とと姉ちゃん、半分、青い。、麒麟がくる)
松岡一史(過去作/まんぷく、心の傷を癒すということ) 第10,12週
二見大輔(過去作/半分、青い。、なつぞら、伝説のお母さん) 第6,14週
音楽:金子隆博(過去作/Q10、三毛猫ホームズの推理 、あいの結婚相談所)
演奏:BIG HORNS BEE(過去作/米米CLUBのホーンセッション)
主題歌:『アルデバラン』(作詞・作曲:森山直太朗、編曲:斎藤ネコ、歌:AI)
語り:城田優
制作統括:堀之内礼二郎(過去作/花燃ゆ、べっぴんさん、まんぷく)
櫻井賢(過去作/4号警備、透明なゆりかご)
※敬称略
ひなたが英語を勉強する"動機"を明確に描いたのは良いこと
今回の感想は、愚痴ばかり書くのをやめて、気づいて欲しい部分や、褒めておきたい部分から書こうと思う。
まず、アバンタイトル。これは、良し悪し、好き嫌いは別にして。今週は、ひなた(新津ちせ)が英語を勉強する理由が、映画村で出会った外国人の男の子・ビリー(幸本澄樹)への “一目惚れの恋心” であることを明確に提示したこと。事実、今回の15分は、ほぼ全編が「ひなたの恋心」が描かれていた。
まあ、「女性ヒロイン=恋心=恋バナ=結婚・出産・子育て」と言う短絡的な流れと思考には若干閉口するが、曖昧に進むよりは “マシ” だ。だって、今作、特に、「るい編」と「ひなた編」は “曖昧な表現” のオンパレードだから…
劇中に登場するラジオは、"聖飢魔II"へのオマージュか?
もう1つは、音楽、ラジオ、家電好きな読者さん向けの情報。今作では「ラジオ」がテーマの1つであるのは、ご存じの通りで、これまでも数台のラジオが登場した。
そこで注目したいのが、まず1月11日放送の第49回で、若い頃の “るい” がレコードプレーヤーを買いに行くが、高過ぎ買えなかったレコードプレーヤーの本体に「FIRE AFTER FI」と読める銘板が嵌め込まれていた。
ジャパメタ・ファンなら、ここでこの銘板がデーモン閣下率いる聖飢魔IIのヒット曲『FIRE AFTER FIRE』へのオマージュではないか? と思ったのでは?
そして、今度は、2月4日放送の第67話で、英語教室に行きたいと言う “ひなた” のために、父親の錠一郎(オダギリジョー)が商店街の福引に挑戦し、1等の熱海旅行をお金に換えようという作戦を決行するが、当たるのは「3等のラジオ」。それも、商店会長を務める荒物屋あかにしの倉庫に眠っていたであろう、古いラジオのように見えた。
そのラジオの左下に「FIRE AFTER」、そして右上には「FIRE」と言う銘板が付けられていた。これは、1月までの「るい編」で “るい” が勤めていた竹村クリーニング店に置かれたラジオにも嵌め込まれていた。
あの真空管ラジオは、現シャープ製のレトロ家電?
更に、そのラジオのチューニング用ダイアルの下に嵌め込まれていたのが「AYAKAWA ELECTRIC CO., LTD.」と言うメーカー名の銘板。こちらは、聖飢魔IIとは関係なく(私の勝手な推測)、レトロ家電が好きなら昭和の時代に『早川』(HAYAKAWA)と言う家電メーカーがあり、それをもじったものだと分かるはず。
©NHK
因みに「早川電機」は今の「シャープ」で、昭和45年に社名を変更した。また、早川電機は、昭和32年からトランジスターラジオを発売していたから、劇中の「昭和51年」では “早川電機製” の真空管ラジオは、かなりの骨董品ってこと。
脚本が殆ど"ラジオ"を注目アイテムとして取り上げないから
また、今回も登場した大月家のラジオを良く見ると、「AYAKAWA ELECTRIC CO., LTD.」と言うメーカー名の銘板の最初の “A” の前に、赤に白い文字で “G” と印刷されたシールが貼られていた。
それが、何を意味するのか分からないが、一定の視聴者が、このレトロな真空管ラジオに注目していることを、美術スタッフが “遊び心” で、いじっているのではないかと思う。だって、脚本が殆ど “ラジオ” を注目アイテムとして取り上げないから、それへの反骨精神かメッセージではないだろうか。
橋爪紳一朗氏の映像には、"忙しなさ"を感じないのが良い
ラジオの話はこれくらいにして。今週の演出担当は、橋爪紳一朗氏だ。「安子編」で、岡山での雉真家での安子(上白石萌音)と幼き “るい” との生活や、ロバート(村雨辰剛)の関係を描いた第7週ぶりの担当だ。
彼の演出の良いところは、短いカットを積み重ねた “忙しなさ” を感じないところで、ワンカットが長めで、カメラを移動させながら被写体を捉えるカメラワークと、それに見合った編集だ。
今作ではあまり見かけない、抒情的な印象を与えるカットやシーンがある
例えば、5分頃の朝のシーンで画面手前にラジオを入れ込んで、家族が居間に集まって来るカットが、長めのワンカットでカメラを移動させて、家の広さを見せつつ、一般的には “忙しない朝” を排除して、フィクションの世界の “のんびりした朝の家族” を表現していた。
他には、12分頃の大月家の夕方、勉強机に向かってはいるものの、るいがやっているのは “ビリーとの妄想デート” のくだり。ここは、長めのカットと、コミカルな演出がテンポよく切り替わって、少女の恋心を “ほんわか” と描くことに成功していた。
他にも、数か所、今作ではあまり見かけない、抒情的な印象を与えるカットやシーンがあるので、見つけて欲しい。
なぜ、るいは「お母ちゃんも、聞いてた」とか「お母ちゃんは、英語を少しだけど喋れる」と言わないのか?
さて、褒めるのは、ここまで。次からは、率直に気になったことを綴っていく。
2分頃、るいが新聞のラテ欄を見て「まだやってたんや…」と、ラジオ英語講座を懐かしそうにするシーンがあった。と言うことは、るいには、少女期の母・安子との英語学習の記憶があると言うことで、それだから、ほぼ同時期に覚えたはずの “あんこ作り” のおかげで「回転焼き屋」を開業したのも筋は通る。
だったら、なぜ、ストレートに、「お母ちゃんも、聞いてた」とか「お母ちゃんは、英語を少しだけど喋れる」と言わないのかってこと。まだ、母親への「I hate you !」の恨みがあるから? 幼い頃のことだから自信が無い? それとも、昔のことで忘れちゃった?
だとすると、前述の「まだやってたんや…」と、整合性が取れない。その上、ほぼ同じ頃に英語に触れていた錠一郎は「お父ちゃんは ギブ ミー チョコレート 言うてた世代やからね」と、ハッキリと “自分の世代” は英語を学んだ…と言っていて、喋っているのに?
るいが"英語を喋れる"と肯定しないと、あちこち不自然に…
その上、ここで、るいが “英語を喋れる” と言うのを肯定しないと、そもそも、英語から、父が名付けた名前「るい」に繋がって、更にトランペット、「On the Sunny Side of the Street(邦題:ひなたの道を)」と繋がり、遂には “ひなた” へ繋がって来ているわけで。
そうなると、るいは、錠一郎に「英語を学んでいた過去」を封印しながら、「On the Sunny Side of the Street」の話をしていたってことになる。
だって、劇中でも、8分頃の家族3人でのやり取りの中で、るいに錠一郎が「すごいな」と言ったし、12分過ぎの夫婦の会話の中で、錠一郎にとって “初耳” だったと分かるのだから、それまで錠一郎に話していなかったのは、ほぼ間違いない。いくら、「I hate you !」の恨みがあるから思い出したくないとしても、相当に強引な展開だと言わざるを得ないのだが…
このままでは「安子編」に割いた"約2か月"が無駄になる
やはり、先日の感想にも書いた通り、素材が無いのだ。本来なら、「安子編」で “安子とるい” の関係性を、英語や和菓子を絡ませて描いていれば、今回の英語、ラジオ英語講座のエピソードも楽しめたはず。
しかし、諄いようだが、「I hate you !」が強烈過ぎて、見ている視聴者にとっても、るい本人にとっても、他のことが眼中に入って来ないのだ。だから、今回のように、強引に「安子編」の回想シーンを編集でインサート(挿入)しても、取って付けたようにしかならないし、見えないし、感じられないのだ。
今回の放送直前でも「終盤戦に突入」とアナウンサーが言っていたが、このままでは「安子編」に割いた “約2か月” が無駄になる。映像が無いなら無いなりに、ナレーションで補足するとかするべきだと思う。
あとがき
ひなたと同世代の私ですが、るいが「英語講座の教本」を買いに入った書店は、明らかに東京の神田にある古本屋のイメージですよ。親書を扱う本屋さんは、もう少し違うイメージなんですけど。
それと、ひなたの小学校の教室。東京の区立小学校の殆どが、当時は廊下側は壁で、天井近くに空気入れ替え用の窓があっただけでした。本屋も小学校も、当時は東京と京都では違うんですかね。
確かに、ひなたの子ども部屋に掛けてあるのは、ランドセルでなくて黄色いリュック。あれ、当時の京都発祥で「小学生向けの通学鞄ランリック」と呼ぶそう。ご当地あるあるなのでしょうか?
とにかく、ここまで強引に、ラジオ英語講座に話の進路を向けたのなら、もう少し、面白楽しく描いて欲しいです。ただ、闇雲に「時代劇」と「ラジオ英語講座」を物語に組み込めば良いと言う訳ではないと思うので…
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16533/
【これまでの感想】
第1週『1925-1939』
1 2 3 4 5 土
第2週『1939~1941』
6 7 8 9 10 土
第3週『1942-1943』
11 12 13 14 15 土
第4週『1943~1945』
16 17 18 19 20 土
第5週『1946~1948』
21 22 23 24 25 土
第6週『1948』
26 27 28 29 30 土
第7週『1948-1651』
31 32 33 34 35 土
第8週『1951-1962』
36 37 38 39 40 土
第9週『1962』
41 42
妄想第1回『るいのための貯金』
妄想第2回『算太が町にやって来た』
第10週『1962』
43 44 45 46 47 土
第11週『1962-1963』
48 49 50 51 52 土
第12週『1963-1964』
53 54 55 56 57 土
第13週『1964-1965』
58 59 60 61 62 土
第14週『1965-1976』
63 64 65 66 67 土
第15週『1976-1983』
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