代筆相手としての「お人形」――「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」10話感想

2018/ 03/ 15 (Thu)

代筆相手としての「お人形」――「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」10話感想

CATEGORY: Wisp-Blog
TAG: アニメ_2018年冬アニメ

　「この時ヴァイオレットはどんな気持ちだったか」と複数回の視聴甲斐のある回だったなと……

ヴァイオレット・エヴァーガーデン第10話「愛する人は　ずっと見守っている」
©暁佳奈・京都アニメーション／ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

1週感想をお休みした「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」10話を視聴。「お人形遊び」が育む心のお話であったように思う。#VioletEvergarden
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2018年3月15日

今回のお話は、依頼人の娘であるアンがお人形遊びをするところから始まる。お人形遊びとは子が親に教わった事を人形相手に反復し、他者を認識する始まりとなってゆく行為。人形を相手にする事で人は成長する。#VioletEvergarden
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2018年3月15日

アンの認識において、ヴァイオレットは人形である。人形遊びを知らないという点で確かにヴァイオレットはアンより幼く、アンが人形相手のように「お世話をする」相手にも、母の代わりに遊んでもらう相手ともなる。#VioletEvergarden
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2018年3月15日

一方のヴァイオレットにとっても、アンは人形遊びの相手に近い。早く寝るように「お世話をし」、前回教わった「届かなくてもいい手紙なんてない」という言葉を反復し（つまり子供が人形に母の言葉を繰り返すようにし）、噛みしめる。#VioletEvergarden
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2018年3月15日

アンとヴァイオレットにとって互いは互いに人形であり、人形である自分を使って遊び学ぶ人間だ。アンは様々に慰められ諭され、ヴァイオレットはおそらく母を失うアンをギルベルトを失った自分に重ねているからこそ、立派だと称える。#VioletEvergarden
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2018年3月15日

そして、アンはお人形とする遊びを本当は母としたい。ヴァイオレットはドール（人形）としてアンの母に接する。つまりアンの母にとって、2人は共にお人形だ。お人形は遊んでもらわなければ甲斐が無い。だからアンはお人形としての自分を埋没させる来客を嫌ったのだと思う。#VioletEvergarden
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2018年3月15日

アンの母はヴァイオレットという人形を使った遊び（手紙書き）の中で、アンの成長に思いを馳せる。それはたぶん、アンの成長物語を題材にしたおままごとだ。人形を人間と想像して話しかけるようにヴァイオレットに話しかける（相談する）事で、母の想像力は成長したアンに届く。#VioletEvergarden
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2018年3月15日

この手紙は、本当に難しいものだと思う。アンの成長は「一般的な」幸せをなぞるように描かれていたが、今後も含めそうした道を辿るとは限らない。例えば夫に戦死されたら？例えば子供が早死にしたら？　そんな時にその相手との幸せを願う手紙が来れば、それは呪いに変わってしまう。#VioletEvergarden
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2018年3月15日

親の考える幸せを押し付けるのではなく、50年に渡って娘を励ます手紙。そんな手紙が書けるのか、正直分からない。ただアンの母はヴァイオレットとの人形遊びを通して娘の今後を「想像」し、本来できない、それを見守る情操を自らの中に育んだのではないかと思う。#VioletEvergarden
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2018年3月15日

かくてお人形遊びを通して、アン、アンの母、ヴァイオレットは成長する。人形遊びが少女も人形も育てる、不思議な味わいのお話であったように感じました。#VioletEvergarden
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2018年3月15日

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2 Comments

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俺は…大変なことに気付いてしまった…。
BSより地上波の方が放送1日早いじゃん。(今頃気付く！？)

たまにはOPのことも思い出してあげてください。(3回くらいしか使ってないよね？)

先の展開は容易に読めたけど、それでも泣くしかない第10話。
後半の台詞一つ一つがとても重く、切なく、そして尊い。
死期を悟り、たった一人残される愛娘にせめて「道しるべ」を残してやりたい母。
同じく母がもうあまり長くないことを悟り、覚悟を決め、せめて残されたわずかな母との時間を一緒に過ごしたい娘。
そんなとき何だかよく分からない「人形」がやってきて、自分以外の自分の知らない誰かに出すための手紙を書くという、何だかよく分からない「仕事」でその貴重な時間を奪っていると思うのはあの年齢では致し方ないだろう。
最後に頬にキスしたときにその暖かさ、柔らかさに「人形」ではないと知り、「そんなに良くないものじゃなかった」と述懐する。
これはアンの成長物語でもある。

「パンはパンでもすごく固くて食べられないパンってなぁんだ？」
「スープに入れれば柔らかくなります。」
これは素で言ってるのか、感情を抑えるためにやってたのか、どっちなんだ。
事務的に突き放すような物言いは今まで通りのように見えるけど、内心は「そういう事」なんだろうなぁ。
アンが家を飛び出して不満をぶつけるのを受け止め、優しく諭すときの表情など見返してみると凄まじく刺さってくる。
ラストで涙を流して心情を吐露するヴァイオレット、この物語の始まった時点ではおそらくこんな姿は見られなかっただろう。
着実に人間らしくなっていく。
仕事を終え帰るときの微笑みが実にいいが、あれも涙を堪えるためなんだろうなぁ。

お母さんの手紙が終わったタイミングで「ひとりじゃない」と入るのはすごいとしか。
~~これも計算のうちか、ジョジョォー！~~

とにかく完成度が高い今回。
今期はPPTPとゆるキャンが強すぎてあまり話題になってないような印象受けるけど、埋もれさすにはもったいないなぁ。

2018/03/16 (Fri) 02:03 | EDIT | REPLY |

闇鍋はにわ

＞ロゴさん

＞BSより地上波の方が放送1日早いじゃん。(今頃気付く！？)
　慣れって怖いですね(；´∀｀)

＞たまにはOPのことも思い出してあげてください。(3回くらいしか使ってないよね？)
　EDが折々印象的に使われていることもあって、OPはどうも影が薄いですね。ちともったいない。

＞先の展開は容易に読めたけど、それでも泣くしかない第10話。
　どんでん返しはどちらかと言うとヴァイオレットの反応の方でしょうかね。彼女がいつもの無表情の下に今までと違うものをこらえていたのは吐胸を突かれたようなショックがありました。
　アンの切実さが、彼女が母の死を予期しているからこそだというのが何とも苦しいです。

＞これは素で言ってるのか、感情を抑えるためにやってたのか、どっちなんだ。
　言い返しそのものは素だと思いますが、それをいつも通りと錯覚すればするほど後に来るなと……子供相手の優しい笑顔、というのも成長を感じさせるに良かったのではないかと思います。

＞今期はPPTPとゆるキャンが強すぎてあまり話題になってないような印象受けるけど、埋もれさすにはもったいないなぁ。
　味わうための作品、という印象はありますかね。噛みしめるファンが多く残るのではないかと思います。

2018/03/16 (Fri) 19:21 | EDIT | REPLY |

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