『情識』(じょうしき)は「情報化に関する常識」という意味の造語である。ソフトウエアという「見えないものに挑む」ために経営の立場から何をしたらよいか考えていく。経営者向けの本欄に加え、ITのプロ向けに『谷島の情識』を連載中。なお、情識は実在する言葉で本来の意味は「強情、頑固」である。
シリーズ
経営の情識

完結
全118回 完結

勉強不足の経営者、プロジェクトの失敗を防げず
「全世界のプロジェクトにおける損失額の合計は年間2兆ドルに達する。失敗は戦略に拠るところが大きいにも関わらず、トップエグゼクティブの多くは現場の問題だとみている」。PMI(プロジェクトマネジメントインスティチュート)のマーク・A・ラングレー プレジデント兼CEOはこう指摘する。

「IT企業、買います」「はい、売ります」
M&A(企業の合併・買収)の有力分野がIT(情報技術)だ。IT以外の企業がIT企業を買う異業種連携の可能性がある一方、M&AやITに日本企業が強いとは言い難く、課題もある。

「営業は売る人、技術者はつくる人」は時代遅れ
客先に行きたがらない技術者がいる。だが、「営業は売る人、技術者はつくる人」という役割分担ではうまくいかない。

経産省の中野剛志課長へ、良い知恵があります
6月6日から受付が始まった「コネクテッド・インダストリーズ税制」は異例の大盤振る舞いであり、利用しない手はない。ただし、従来のやり方を変えずに情報システムを導入しても失敗する。

再び実感「日本の中高生はやはり凄い」
「10年後の日本のため、LNG(液化天然ガス)を最も安く調達せよ」。この任務を課せられた中高生43人が調達計画づくりに取り組んだ。エネルギービジネスのプロフェッショナルが助言役になったが、中高生はプロをたじろがせる質問を繰り出しつつ、調達計画を仕上げていった。

“シンギュラリティ信奉者”の翻意が難しい訳
AI(人工知能)が人間を超え、世界が一変するという「シンギュラリティ(特異点)」は錬金術や永久機関の類である。だが、真顔でその到来を語る人がいる。彼らをどうすれば翻意できるだろうか。

最も使われているパスワードはいまだに123456
情報システムへ入るカギに当たるパスワードが日本の企業や政府機関から大量に流出している。こう指摘した調査報告がある。しかも「123456」といった危険なパスワードを使っていた人が多かった。

プロジェクト失敗の理由、15年前から変わらず
情報システムを開発し、導入するプロジェクトの成功率はどのくらいか。この疑問に答えるため、専門誌日経コンピュータは2003年から調査を始め、2008年と2018年にも実施した。3回の調査によって成功率がどう推移したか、失敗の理由は何か、といったことが明らかになった。

ITの新語と略語を見たら眉に唾を付けよう
欧米で生まれた技術を日本に持ち込む際、厄介なのは言葉である。片仮名の新語や略語の乱用が酷いのはIT(情報技術)関連だろう。ITの新語と略語を見たら「本当に新しい話なのか」と眉に唾を付けて読む必要がある。

日本の難題、「見えないものに挑む」
ソフトウエア、アーキテクチャ、コンセプト、ブランド。いずれも眼に見えない。あるいは見えにくい。だが、これらの「見えないものに挑む」ことこそ、日本にとって喫緊の課題である。

奇跡が起きるか、電力自由化のシステム準備
奇跡を目撃できるかもしれない。それは電力小売りの全面自由化に不可欠な情報システムの準備が間に合うことだ。東京電力から中核システムを請け負った三菱電機は4月の自由化へ向け開発に全力を挙げる。奇跡が起きる条件は何か。

2016年4月の電力小売り自由化はできない
2016年4月に予定されている電力小売りの全面自由化はできない。自由化に伴う業務を処理する情報システムの開発が間に合わないからだ。自由化の制度設計と情報システムの開発を2年足らずで済ませようとする日程に無理があった。

あなたが知らずに負担している音楽著作権使用料の行方
コンサートに行った。喫茶店、飲み屋、理髪店、ホテルに入った。チケット代、飲食代、散髪代、宿泊代の中から、その場で流れた音楽の著作権使用料が払われている。あなたが知らずに負担している使用料はどこへ行くのだろうか。

最も曖昧な言葉、それは「ソフトウエア」
抽象度が高い外来語は様々な定義が可能であり、その定義は人によって色々である。同じ言葉を使っていても定義が異なるならば当然、議論は噛み合わない。私見では最も曖昧な言葉は「ソフトウエア」である。

「日本のソフトウエアは米国をしのぐ」から45年、一体どこまで来たのか
「応用ソフトウエアで米国をしのぐものができても不思議ではない。輸出のチャンスもある」。1969年の日経ビジネス創刊号の「日本のソフトウエアはここまで来た」という記事の一節だ。45年後、日本のソフトウエアはどこまで来たのか。

1つの仕事で3日間に100本のメールを書きながら心の平衡を保つ方法
1月末の3日間、ある仕事のために朝から晩まで相当数のメールを読み、返事を書いていた。パソコンの前に座り続けていると首や肩、腰が痛んでくる。唸りながら送受信していたが、3日目に入ると場違いな冗談をどうしても送りたくなってきた。

ソフトウエア、それが問題だ ~ Software matters
勝手ながら2015年、「記者30周年記念活動」に取り組むことにした。活動のお題を「ソフトウエア、それが問題だ」とし、何らかの文章を書く際には必ずソフトウエアに関する内容にする。少しも新しくないソフトウエアをなぜ選んだのか。

今年こそ、社長が喜ぶシステム開発を
「なぜこれほど時間と金がかかり、しかも望んだシステムが出来上がらないのか」。情報システムの開発に対して不満を持つ社長は多い。社長が抱く典型的な疑問と、開発を成功させる勘所をそれぞれ5点ずつ取り上げ、改めて考えてみた。

「2015年の設計図」、ソフトウエアをお忘れなく
2015年以降、何かに取り組む場合、その何かが何であれ、コンピューターソフトウエアについて配慮する必要がある。ところが複数のソフトを連携させる全体像を描き、各ソフトを無駄なく開発し、維持することを日本企業は苦手としている。

台風が来ると社員が出社しない強い組織
「台風が上陸した場合、出社するかしないか自分で判断せよ」。ある外資系企業はこう通達し、社員の多くは社外勤務に切り替えた。社外で仕事ができる体制が整っているからだ。別の日本企業は「安全に十分注意して出社するように」と連絡した。