Middle East

元モサド副長官、戦略情報省トップ就任へ

現在、イスラエルは、戦略問題省(Ministry of Strategic Affairs)と情報省(Ministry of Intelligence Affairs)を統合し、戦略情報省(Ministry of Strategic and Intelligence Affairs)を発足する計画となっている。1日付の『Haaretz』によると、この計画を進めるために、戦略情報省トップに元モサド(MOSSAD)副長官のラム・ベン・バラク(Ram Ben Barak)氏を任命することが明らかになった。

ベン・バラク氏は、もともと陸軍の兵士としてキャリアをスタートさせた人物で、モサドに移ってから工作部長、副長官を歴任した。その後、軍部の要請によって、モサドとの間で特殊工作に関する調整を行なうポストに就いていたのだが、モサドのタミル・パルド(Tamir Pardo)長官が来年、任期満了にともなって退任する予定であり、関係者の間では、その有力な後任候補の一人として見なされていた。

だが、ユバール・シュタイニッツ(Yuval Steinitz)情報相の推薦によって、モサド長官ではなく、戦略情報省トップを任されることになったようだ。それにともない、戦略問題省のヨッシ・クパルワセル(Yossi Kuperwasser)長官と情報省のユーバル・ウォールマン(Yuval Wollman)長官は退任することも決まった。

ベン・バラク氏の詳しい経歴については、今のところ、公的な情報に乏しく、よく分からない部分が多い。ただ、『Haaretz』が伝えたところによると、イスラエル国防大学を卒業した後、イスラエルのハイファ大学で政治学・安全保障問題の修士号を取得しているという。また、米シンクタンク、ブルッキングス研究所(Brookings Institute)で研究員を務めた経験があるとのことなので、アメリカとのコネクションも持っているようだ。

【関連記事】
"Mossad chief hopeful appointed to head new, unified intelligence ministry"
Haaretz, December 1, 2014.

"New Intelligence Ministry head could become next Mossad chief"
I24, December 1, 2014.


Ys-K

ハマスのテロ集団がトルコ国内に拠点―イスラエル発表

27日付の『The Times of Israel』は、イスラエルの防諜機関、シンベート(Shin Bet)の発表として、イスラエルへのテロ攻撃を計画しているイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)の集団が存在していることが分かったと報じた。

この集団は、トルコの都市イスタンブールに拠点を構え、ヨルダンからメンバーをリクルートしているという。また、ガザ地区をはじめとして、ハマスが支配している地域において、リクルートしたメンバーに軍事訓練を行なっている模様で、イスラエルの都市エルサレムにある鉄道やサッカー・スタジアムなどを標的としたテロ攻撃を仕掛ける計画であったとのことだ。

さらに、テロ攻撃以外にも、ヨルダン川西岸のユダヤ人コミュニティーへの浸透やイスラエル人の誘拐なども計画していたとしている。後者に関しては、すでに2014年6月、10代のイスラエル人3人がハマスのテロリストによって誘拐、殺害されるという事件が起きており、このニュースを聞いたハマス幹部の一人、サレー・アル=アルーリ(Saleh al-Arouri)氏は、「英雄的な行動」として称賛した。

なお、シンベートの発表について、トルコの外交当局は、「テログループの本部が置かれていることはない」として、否定するコメントを出している。また、ハマスやパレスチナ当局からは、今のところ、コメントは発表されていない。

【関連記事】
"Hamas gang plotted ‘major attack’ at Jerusalem soccer stadium"
The Times of Israel, November 27, 2014.

"Israel Says Hamas Ring Plotted West Bank Attacks"
New York Times, November 27, 2014.

"Turkey denies Hamas headquarters"
Ynetnews, November 28, 2014.


Ys-K

モサド、公式ウェブサイトを刷新―紹介ビデオも動画サイトに投稿


[動画]המוסד

情報機関にとって、人材はもっとも大切なリソースである。そのため、少しでも優秀な人材を集めるべく、世界各国の情報機関はリクルート活動に力を入れているわけだが、このほど、イスラエルの情報機関、モサド(MOSSAD)は、公式ウェブサイトを刷新し、新しい職員の採用に向けて、オンラインで申請することができるページを開設するとともに、モサドを紹介するイメージビデオも動画サイトに投稿した。

モサドは、10年ほど前からウェブサイト上で、工作員や分析官の募集を行なってきた。今回、刷新されたウェブサイトでは、モサド職員やシモン・ペレス(Shimon Peres)元首相などが残した言葉などを紹介しつつ、見た目にも随分、洗練されたものになっていて、以前に比べてずっとクールな感じに仕上がっている。

ただし、当然のことながら、具体的にモサドがどういった活動を行なっているのかについて、はっきりと紹介しているわけではない。タミル・パルド(Tamir Pardo)長官が述べているように、「モサドの作戦や活動は秘密」であり、ウェブサイトの役割に関しても、モサドの歴史やその活動を断片的に紹介するものと位置づけられているからだ。

選考プロセスもまた、明らかにされていない。ウェブサイトを見ても、「採用試験は複雑で、それなりに時間がかかる」とした上で、「大半の時間は、申請者個人の適性や持っている技術の評価に費やされる」と書かれているのみである。

もちろん、そうだからといって、形だけの職員募集が行なわれているわけではない。世界最強とも称されるモサドにおいても、人材はもっとも大切なリソースである。いかにコンピューターが進化しようと、偵察衛星による画像の解像度が上がろうとも、その根幹部分は変わらない。また、イスラエルは、中東諸国に在外公館を置いていないことが多いため、そうした国々での人的な情報収集は、まさしく情報機関が担当しなければならない。その意味でも、人材の確保は、モサドにとって重要な問題だ。

パルド長官は、「イスラエルという国は・・・はっきりとした脅威に常時、晒されている。モサドは、もっとも優れた人たちが組織に入るようにリクルートしつづけなければならない」とし、今後も優秀な人材の確保に力を注ぐことを表明している。その点で、今回のウェブサイト刷新と紹介ビデオの投稿は、モサドのイメージを改善するとともに、インテリジェンスの分野に関心を持っている人たちを引きつけるための努力にほかならないのである。

【関連ウェブサイト】
MOSSAD

【関連記事】
"The Mossad wants you!"
The Times of Israel, September 22, 2014.

"Israel's Mossad takes hunt for foreign spies and informants online"
Reuters, September 22, 2014.

"Israel’s Mossad Recruits New Spy Generation With Website, Video"
Bloomberg, September 22, 2014.


Ys-K

イスラエル情報当局、米国務長官の通話を盗聴?

3日、ドイツ誌『Der Spiegel』(オンライン版)が、信頼できる情報筋から得た証言として伝えたところによると、イスラエル情報当局は、アメリカのジョン・ケリー(John Kerry)国務長官を標的として、その通話をひそかに傍受し、入手した情報をパレスチナ自治政府との和平交渉において役立てていたことが分かった。

イスラエルとパレスチナ自治政府との和平交渉は、2013年7月からケリー国務長官の仲介によって再開されていた。交渉再開後、9ヶ月間にわたって合意締結に向けた協議が行なわれてきたが、結局、具体的な合意を得ることがないまま、2014年4月に期限切れを迎えた。その後、パレスチナ自治政府におけるハマス(Hamas)の政権参加やイスラエル人入植者の殺害などが原因となって、イスラエルがガザ地区を侵攻し、再びパレスチナが紛争状態に陥ってしまったことは、すでに多くのメディアで報じられている通りである。

『Der Spiegel』によると、和平交渉が進められている間、イスラエル情報当局は、ケリー国務長官が使用していた衛星電話を傍受し、その通話内容を把握していた。通常、こうした電話でのやりとりは、通信傍受を警戒して、何らかの暗号化の措置が講じられているものである。しかし、アメリカは、一部の電話でのやりとりについて、暗号化の措置が講じられていない電話を使用していた模様だ。

思わず脇が甘いと言いたくなるところだが、あまりにも無防備すぎるのは、逆に意図があることを勘繰らずにはいられない。実際、コロンビア大学のスティーブン・ベロヴィン(Steven Bellovin)教授は、イスラエルに情報をリークさせるために、わざと暗号化の措置が講じられていない電話を使ったのではないかという見方を示している。また、そうした電話を使った通話である以上、そもそも重要な情報を含んだものではなかったという可能性も指摘されている。

とはいえ、イスラエルがアメリカを標的としたスパイ活動を行なっているという問題は、以前からアメリカでは、頻繁に槍玉に上がってきた。最近でも、『Newsweek』において、アメリカの先端技術を狙ったイスラエルの産業スパイについて取り上げた記事が掲載されたところであり、事態を重く見たアメリカ議会は、イスラエルへのビザ免除の指定に関して慎重な立場を崩していない。

現時点において、イスラエル情報当局がどの程度のレベルの情報を収集していたのか、また、入手した情報をどういった形で和平交渉に利用したのかなど、詳しいことは明らかにされていない。ただ、ガザ地区への侵攻をめぐって、イスラエルとアメリカの立場が対立しつつある中で、今回の報道は、それを一層、助長させる要因になりかねない。そのため、イスラエル側からの説明が求められるところが、今のところ、特にコメントは発表されていない。

【関連記事】
"Wiretapped: Israel Eavesdropped on John Kerry in Mideast Talks"
Der Spiegel, August 3, 2014.

"Report: Israel Spied on John Kerry's Phone During Middle East Peace Talks"
Mashable, August 3, 2014.

"Israeli spy agency Mossad 'Wiretapped John Kerry's Phone During Peace Talks'"
IBTimes, August 3, 2014.


Ys-K

サウジ情報機関、新長官にハリド王子が任命される

1日、サウジアラビアの国営サウジ通信(Saudi Press Agency)は、同国の情報機関、総合情報庁(GIP)長官として、ハリド・ビン・バンダル(Khalid bin Bandar)王子が新しく任命されたと報じた。

以前、GIP長官のポストには、バンダル・ビン・スルタン(Bandar bin Sultan)王子が就任していた。しかし、シリアのバシャール・アル=アサド(Bashar al-Assad)政権を打倒するため、バンダル王子が中心となって、同国の反政府勢力に武器支援や資金援助を行なっているという事実が表面化したことで、それを嫌がるアメリカの関係に齟齬が生じてしまった。

もともとバンダル王子は、シリアへの介入に消極的な姿勢を見せるアメリカに対して、強い不満を抱いていたようで、アメリカ政府もまた、国務省を通じて、バンダル王子の更迭をサウジ側に要求していたと伝えられている。その申し入れが多少なりとも影響したのかもしれないが、バンダル王子は、2014年4月、表向きには肩の手術を理由にして、GIP長官のポストを辞任することになったのである。

その後、同ポストは、モハメド・ビン・ナヤフ(Mohammed bin Nayef)内相によって兼任される形が採られてきたが、このほど、アブドラ・ビン・アブドルアジズ(Abdullah bin Abdulaziz)国王は、ハリド王子をGIP長官として新しく任命するとともに、バンダル王子を国王の直轄下に置かれている国家安全保障会議(National Security Council)の事務局長として起用することを決定した。

ハリド王子は、軍でキャリアを積んできた人物で、今年5月から国防副大臣として職務にあたってきた。だが、それからわずか2ヶ月も経たないうちに、GIP長官へと転任することになった。注目されるのは、内戦が続くシリアの反政府勢力に対して、今後も支援を継続するかどうかという点だが、ハリド王子がどういった見解を持っているのか不明であるため、現時点において、その方向性を見定めることは難しい状況だ。

一方、バンダル王子に関しても、今回の人事によって、GIP長官の時代に行なっていた工作活動に関与することになるのかどうかははっきりとしていない。ただ、シリアの反政府勢力への支援は、もともとアブドラ国王の指示に基づいて進められているという見方もあるので、もしそれが正しいとすれば、これから先も水面下での支援は続けられるのではないかと推測される。

【関連記事】
"Saudi king appoints new spy chief as regional crisis spreads"
Reuters, July 1, 2014.

"Saudi king names new spy chief"
Middle East Online, July 1, 2014.

"Saudi king appoints new spy chief as regional crisis spreads"
Gulf News, July 1, 2014.


Ys-K
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