29日、首相官邸において、国家安全保障会議(National Security Council、NSC)創設に向けた有識者会議の第3回会合が開かれた。その中で、出席したメンバーから軍事情報を含む秘密保全の徹底を求める意見が相次ぎ、礒崎陽輔首相補佐官が「法律を制定する方向で検討している」と説明したとのことである。
以前、本ブログにおいて、NSC有識者会議がスタートした際、情報集約だけでなく、秘密保全についても現行法制のままでよいのか、あらためて検討してほしいと書いたことがある。昨今、農水省や外務省での情報漏洩事件が立て続けに発生している状況を考えると、何らかの対策強化を図ることが必要であるし、重要な政策決定に関する情報を集約させることになるNSCという仕組みを安全に保つためにも望ましいと思われるからである。
今のところ、政府としては、今年夏に行なわれる参議院選挙の後、法案提出という運びにしたいようだ。秘密保全法については、日本弁護士会だけでなく、報道機関からも「国民の知る権利を侵害する」として批判されていて、論調としては保守的と言われる『産経新聞』ですら、少なからず反発しているくらいである。選挙後に法案提出とする方針は、政治的に見れば正しい判断と言えるだろう。
ただ少し引っ掛かるのは、法案提出となると、閣議決定が必要になってくる。閣議決定は、原則として全会一致であることが求められるのだが、1980年代、中曽根内閣で検討されていた「スパイ防止法案」について、現行法制においても「尻抜けの状態になっているのではない」として、同法案を批判する論文を書いたことがある谷垣禎一法相は、今回の秘密保全法案の動きについて、どういった態度で臨むのだろうか。あらためて見解を聞かせてほしいところである。
【関連資料】
国家安全保障会議の創設に関する有識者会議
首相官邸(2013年3月29日)
【関連記事】
「NSC創設で特定秘密保全法を検討」
『msn産経ニュース』(2013年3月29日)
「秘密保全法を検討=NSC創設で再浮上-政府」
『時事ドットコム』(2013年3月29日)
【関連論文】
谷垣禎一
「われら自民党議員 『スパイ防止法案』に反対する」
『中央公論』第102巻第5号(1987年4月)pp. 78-81.
Ys-K
以前、本ブログにおいて、NSC有識者会議がスタートした際、情報集約だけでなく、秘密保全についても現行法制のままでよいのか、あらためて検討してほしいと書いたことがある。昨今、農水省や外務省での情報漏洩事件が立て続けに発生している状況を考えると、何らかの対策強化を図ることが必要であるし、重要な政策決定に関する情報を集約させることになるNSCという仕組みを安全に保つためにも望ましいと思われるからである。
今のところ、政府としては、今年夏に行なわれる参議院選挙の後、法案提出という運びにしたいようだ。秘密保全法については、日本弁護士会だけでなく、報道機関からも「国民の知る権利を侵害する」として批判されていて、論調としては保守的と言われる『産経新聞』ですら、少なからず反発しているくらいである。選挙後に法案提出とする方針は、政治的に見れば正しい判断と言えるだろう。
ただ少し引っ掛かるのは、法案提出となると、閣議決定が必要になってくる。閣議決定は、原則として全会一致であることが求められるのだが、1980年代、中曽根内閣で検討されていた「スパイ防止法案」について、現行法制においても「尻抜けの状態になっているのではない」として、同法案を批判する論文を書いたことがある谷垣禎一法相は、今回の秘密保全法案の動きについて、どういった態度で臨むのだろうか。あらためて見解を聞かせてほしいところである。
【関連資料】
国家安全保障会議の創設に関する有識者会議
首相官邸(2013年3月29日)
【関連記事】
「NSC創設で特定秘密保全法を検討」
『msn産経ニュース』(2013年3月29日)
「秘密保全法を検討=NSC創設で再浮上-政府」
『時事ドットコム』(2013年3月29日)
【関連論文】
谷垣禎一
「われら自民党議員 『スパイ防止法案』に反対する」
『中央公論』第102巻第5号(1987年4月)pp. 78-81.
Ys-K