April 2014

英政府高官、スノーデン問題の影響について「非常に深刻」との見解示す

このほど、イギリス内務省安全保障・テロ対策局(Office of Security and Counter Terrorism、OSCT)のスティーブン・フィップソン(Stephen Phipson)局長は、ロンドンで開かれたセキュリティー問題をテーマにしたイベントに出席し、元アメリカ中央情報局(CIA)スタッフ、エドワード・スノーデン(Edward J. Snowden)氏のリークが与えた影響について、「非常に深刻なものだ」という見解をあらためて示した。

特に問題としているのは、一連の情報監視プログラムが暴露されたことによって、テロリストたちが普段、使っていた通信手段を変更するケースが目立っていることだ。実際、そうしたデータが上がってきているようで、フィップソン局長は、スノーデン氏がリークした機密情報が暴露された後、以前であれば、テロリストたちが使っていたと思われる通信手段からの情報が大幅に減少していることを明らかにした。

こうした状況について、フィップソン局長は、「我々の敵、すなわち、どこかにいるテロリストたちは、政府によって使われている様々な手段や技術の幅について、いまや完全に知るところとなった」と指摘している。その上で、「それによって、テロリストたちの活動を追跡することが非常に難しくなっている」とし、テロ対策を進める上での不安をのぞかせた。

なお、先日、オランダの情報当局が発表した年間報告書でも指摘されていたように、イギリスにおいても、中東や北アフリカに渡り、訓練を積んだ後、イギリスに戻ってきてテロ活動に関わるイギリス人テロリストの存在が大きな懸念として浮上している。フィップソン局長によると、その中でも、シリアは、「テロリストのフロントライン」として位置づけられているようで、今後、シリアでの紛争から戻ってくるイギリス人テロリストたちの脅威は、パキスタン・アフガニスタン国境付近で活動しているテロ組織、アル・カーイダ(Al-Qaeda)と同レベルにあると警告を発している。

【関連記事】
"Terrorists have changed methods since Snowden leaks: UK official"
Reuters, April 29, 2014.

"Snowden leaks mean terrorists are changing tactics to slip under the radar, say British secret services"
Daily Mail. April 29, 2014.


Ys-K

中国情報機関、豪議会ネットワークに侵入した疑惑が浮上

28日、オーストラリアの経済紙『Australian Financial Review』が伝えたところによると、中国の情報機関がオーストラリア連邦議会のコンピューター・ネットワークに侵入し、約1年間にわたって電子メールなどを盗み見していたことが明らかになったという。

侵入した時期は、2011年と見られている。治安・議会関係者の話では、遠隔操作によって、システム管理者(system administrator)になりすまし、ネットワークへの侵入が行なわれたとのことだ。

今のところ、具体的な被害状況については明らかにされていない。ただ、ネットワークそのものが機密指定されていないこともあって、深刻な機密漏洩には至っていないようである。実際、このネットワークを利用しているのは、連邦議会の議員やスタッフが中心で、盗み見られていた情報も、日常的な電子メールのやりとりや連絡先などに関するデータであったとされている。

もちろん、そうだからといって安心してよいわけではない。オーストラリア情報当局は、こうした情報を収集することによって、普段、誰と誰が連絡を取り合い、その頻度がどれくらいなのかといったことが詳細に分かるとしている。つまり、オーストラリア政界の人間関係がつぶさに把握できるようになるわけで、政界工作を仕掛ける上で、それは非常に有用な情報になるのである。

実を言うと、今回、発覚したネットワークへの侵入が試みられる以前、連邦議会のコンピューター・ネットワークは、オーストラリア通信情報部(ASD)によるセキュリティー・チェックを受けていて、低いレベルのハッカーでさえ侵入できるほど脆弱であると診断されていたという。しかし、残念ながら、こうした診断は、セキュリティー対策で積極的に生かされることはなかったようだ。

なお、連邦議会のコンピューター・ネットワークについて、管理上の責任を負うブロンウィン・ビショップ(Bronwyn Bishop)下院議長とジョン・ホッグ(John Hogg)上院議長は、いずれもコメントを拒否している。また、ロバート・マクレラン(Robert McClelland)司法相やジュリー・ビショップ(Julie Bishop)外相も、現時点においてコメントを出すことは控えている状況である。

【関連記事】
"Chinese spies may have read all MPs’ emails for a year"
Australian Financial Review, April 28, 2014.

"Xenophon calls for parliamentary inquiry into Chinese hacking 'scandal'"
Australian Financial Review, April 28, 2014.

"Chinese spies read Australian MPs' emails for a year: report"
Reuters, April 28, 2014.

オーストラリア議員のメールを盗み見=中国情報機関関与か
『時事ドットコム』(2014年4月28日)

中国情報機関、豪議会ネットワークに侵入 豪紙『最長1年盗み見た疑い』
『msn産経ニュース』(2014年4月28日)


Ys-K

アルバニア情報当局、軍部の麻薬取引への関与を否定

主にヨーロッパ南東部のニュースを配信している通信メディア、『Balkan Insight』によると、26日、アルバニアの情報機関、国家情報庁(SHISH)は、軍部が麻薬取引に絡んでいるのではないかという疑惑について否定する声明を発表した。

疑惑の発端は、先週、アルバニアのテレビ局「News 24」が、今年3月半ば、同国北部のジャデル空軍基地(Gjadër Air Base)において、麻薬を運んでいると見られるトラックが飛行機に近づき、その後、離陸していったという事実を明らかにしたことである。これは、SHISHから秘かに入手した機密文書を根拠としたものであり、文書には、「我々(SHISH)が把握したところでは、この飛行機は、麻薬取引に使われているようだ」との見解が示されていたという。

報道後、アルバニアのエディ・ラマ(Edi Rama)首相は、アルバニアの領空はNATOによって監視されているとし、そうした事実を否定した。

今回、SHISHが出した声明においても、問題となった機密文書について、「軍事施設での麻薬取引に関して、我々が確認した事実は一切、含まれていない」と語った上で、「メディアを通じて、そうしたことが流布されるのは、SHISHのイメージを直接、損なわせるものだ」とし、不快感をあらわにした。

なお、野党側は、麻薬取引に関与していたとして、政府や軍部を非難するとともに、真相解明に向けた調査を行なうように要求している。

【関連記事】
"Albania Spy Agency Denies Army Drug Trafficking"
Balkan Insight, April 28, 2014.


Ys-K

英MI5、ロシア問題の情報分析官を募集中

MI5_Current job vacancies RIA











現在、イギリス保安局(MI5)は、ロシア問題の情報分析を担当することができる人材を募集しているところである。同局の公式ウェブサイトに掲載された募集要項によると、年俸は3万ポンド(約520万円)で、きわめて高いロシア語の能力が要求されている。

仕事の内容としては、ロシア語の文章や音声を英語に翻訳し、他の分析官に提供することだと書かれている。しかし、募集要項をもう少し読み進めると、ロシア語による電話での会話や電子メールの文章を翻訳することが仕事に含まれていることが分かる。要するに、これは昨今、世界的なスキャンダルとして騒がれている情報監視プログラムのサポートスタッフを募集しているのである。

もちろん、その目的は、テロ計画やスパイ活動など、イギリスにとって安全保障上の脅威となり得るものを見出し、そうした活動を未然に阻止することである。実際、募集要項においても、「一つの言語を突き詰めていけば、より多くのことを明らかにすることができるだろう」と書かれており、卓越した語学力があれば、イギリスの安全を守る上で、正しい判断が下せるようになるとしている。

ただし、要求されている語学力のレベルは相当な高さである。読み書きや会話は出来て当たり前だが、募集要項によると、政治・経済だけでなく、文化的・社会的な話題についても十分、対応できるだけの知識の幅が求められている。また、現代的なロシア語の言い回しや言葉のニュアンスなども読み取れるくらい、高度なロシア語への理解力が必要になってくるようだ。

ちなみに、採用にあたっては、語学力をチェックするためのテストを受けた後、面接が課される。採用後、基本的には、MI5に勤務することになるが、秘密情報部(MI6)や政府通信本部(GCHQ)での勤務も可能性としてあり得ることが示唆されている。

【関連ウェブサイト】
Russian Intelligence Analysts
MI5

【関連記事】
"MI5’s hiring: British Secret Service is looking for intel experts on Russia"
Russia Today, April 27, 2014.


Ys-K

英情報機関、ネット企業のデータ提供拒否に懸念示す

27日付の『Daily Mail』によると、このほど、イギリスのデービッド・キャメロン(David Cameron)首相に対して、保安局(MI5)と政府通信本部(GCHQ)の両トップが安全保障上の問題について警告を発した模様である。

警告の内容は、昨年からフェイスブック(Facebook)やグーグル(Google)、ヤフー(Yahoo)といったインターネット企業が、イギリス政府から要請が出されているにもかかわらず、利用者の個人情報に関するデータ提供に応じないケースが目立つようになってきたことだ。

データ提供に応じなくなった原因は、元アメリカ中央情報局(CIA)スタッフのエドワード・スノーデン(Edward J. Snowden)氏がリークし、米英の情報機関によって行なわれていた情報監視プログラムが暴露されたことにある。それまでイギリス政府からの要請に対して、比較的素直に応じてきたネット企業であったが、暴露をきっかけとして、正式な手続きを踏まえて出された要請であっても、データ提供を拒否することが増えてきたという。

実際、『Daily Mail』の記事によると、フェイスブックは、2013年、イギリス政府から出された要請のうち、約30%について、データ提供を拒否したと伝えられている。また、グーグルやヤフーにおいても、同じような傾向が現れており、MI5やGCHQとしては、この状況が今後も続くとなると、テロ活動や組織犯罪を防止・摘発する上で、有用な情報ソースが失われてしまう。今回の警告は、そうした懸念を反映して出されたものだと考えられる。

もちろん、フェイスブック側は、犯罪への関与が分かる具体的な根拠を示してくれれば、法的な要件を十分に満たしているのかチェックした上で、データ提供に応じることはやぶさかではないという姿勢だ。その点では、真っ向から政府に反発しているわけではない。ただ、明らかに広範であいまいな根拠に基づくデータ提供の要請については、より明確な根拠の提示を求めたり、要請そのものを拒否したりすることがあると回答しており、他のネット企業も、おおむね同じ方針を採用している。

こうしたネット企業の消極的な姿勢について、保守党のロバート・ウィルソン(Robert Wilson)議員は、「利用者の個人情報をどのように扱うのか、誰がそれにアクセスするのかといった点について、ネット企業が大きな注意を払うのは当然のことだ」としながらも、テロ活動や組織犯罪を取り締まる上で、「警察などに協力することも期待されている」とし、今後、その姿勢が多少なりとも改善されることを要望している。

だが、フェイスブック、グーグル、ヤフーは、昨年12月、他のネット企業4社とともに、世界各国の政府に対して、情報監視活動に関する改革を行なうように働きかけていくキャンペーンを立ち上げたところである。したがって、そうした要望が受け入れられる余地は、今のところ、あまりないように思われる。

【関連記事】
"Spy chiefs warn PM: Internet giants including Google and Facebook are shielding terrorists and paedophiles"
Daily Mail, April 27, 2014.

"GCHQ 'warns' David Cameron that Facebook and Google are 'undermining' national security"
Gloucestershire Echo, April 27, 2014.


Ys-K
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