ちみをぶろぐ

宇宙一旨そうに飯を食って酒を呑み、アーだコーだする飯グダブログ。
尋常じゃなく写真がデカイのでPCで見るべき。※執筆依頼は https://twitter.com/chimiwo まで

IKEAに行きたかったけど、我慢して家で鯖カレー作ったら旨かったっつー話し

その日、俺は、IKEAに行きたかった。

健全にショッピングを楽しむ家族連れを尻目にフードコートで酔っぱらい、特に必要も無い保存容器やらヌイグルミやらを小脇に山と抱えホクホクと帰路に着く、そんなパーフェクトな一日を過ごしたい衝動に駆られていた。
しかし今日は平日。職も無く自由しか持ち合わせていない自分に付き合ってくれる暇人など皆無、大体いい歳の男が一人でIKEAに行くほど凄惨で酷たらしいことも無い、フードコートなど、もはや処刑場と等しい。

IKEAの素晴らしさは低価格高品質なのは当然として、ヤバイのは商品と店舗体験を合わせた時に現前するお求めやすい楽園であり、儚く輝く「マッチの火に映る七面鳥」の提案力にある。広々とした店内で次々と現れる目も眩むよなライフスタイル提案の数々と値札に目線を飛ばしたときの驚き、そして遥か北欧の幻に輪郭を与えるフードコートのミートボールとマーケットの食材達に、庶民は浮足立つのだ。自分も例外無くそんなひとときの夢を浸かりたくてIKEAへと駆り立てられる、IKEAは俺にとってのディズニーランドであり歌舞伎町なのだ。

「ミートボールとスモークサーモンで一杯やりてえなぁ…」

そんな鬱積を醸成しつつ台所に突っ立って俺は棚に余していた手元の鯖缶を訝しく睨みつけていたのだが、
「諦めよう、一人でIKEAは自殺と同義、よってこの鯖缶を食べるよりほか無いのだ」と自分の置かれた現実をあっさりと受け入れると、緩慢な体捌きで吊り棚から香辛料を引き降ろし気怠く調合を開始した。


■クミン、コリアンダー、クローブ、カルダモン、ブラックペッパー、マスタード辺りを適当に
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鯖缶を手に何故カレーにしようと思ったのかは解らないがともあれ調理を開始する、
基本としてクミンが多め、次にコリアンダーがその半量程度、後は少量づつ適当に。

1種類ではできることも限られる香辛料も2種3種と重ねていく事で鮮やかな香りが渦を巻くように舞い上がるのだがそれは当然タダ混ぜれば良いと言う訳では無く調合という作業はセンスや体幹を求められる事であって我々はもちろんインド人ではないので何度も何度も失敗を重ねながら最適な選択と分量また投下タイミング等を体得する必要がある。

よく考えると、これは自室に適したアイテムをシビアに選択しなければならないIKEAにおけるそれと同様であり我々はスウェーデン人では無いので失敗の積み重ねを必要とする点においても相違無い事に気がつく。

本日はVS青魚なので炒め時に臭み消しにタイムを合えるなどの施策を試みているが、これもIKEAで謎の瓶詰めニシンにチャレンジする時に湧き起こるあの、どことなく灰色の気持ちで挑んでゆく。


■新玉、トマト、ニンニク
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■まずは新玉と香辛料から炒めていく。
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調理時間30分くらいで仕上がるので、香辛料の香りをしっかり出し切るため逆算して早めに炒めておく。煮込みの段階で香辛料を入れては香りが出きらない、香辛料との距離を図り最適な間合いを見極めるのだ。これも日本の住宅事情と北欧アイテムとの距離感に考慮が必要なIKEAにおけるショッピングと同様だ。なんだか少しずつIKEAに来たような気分になりながら調理を続ける。

■鯖など投入
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まず鯖の身だけを入れ炒める、チューブの生姜も投入、香辛料と馴染ませ臭みを緩和させる。そしてトマトを軽く炒めてから鯖缶の汁と水も少し足し、コンソメを入れて20分ほど煮込む。色味が寂しいので冷凍のブロッコリーを入れてみる。

■このくらい煮詰まれば仕上げにレモンをふって完成
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■ターメリックライスと盛りつけ、クミンをふりかけてテーブルへ
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鯖は程よく煮崩れてIKEAの瓶詰めニシンより柔らかくなっている、トマトは生よりも缶詰のほうが一体感が増したかもしれないが代わりに鯖からのコクがグッと重心を下げるように強い足腰を勃々と育んでいる、クミンはやはり多めが正解で心配していた臭みは沢山の香辛料と融和して全て飛んでおり、ホールで放り込んだカルダモンの突進力のある清涼の効果を確認できた時には自分の香辛料スキルも随分上がったなあと感じた、あんなに訝しく調理が面倒に思っていた鯖が輝いて見える。

やはりIKEAも鯖もリーズナブルさに気を取られずそのクセをどう克服するかが肝要、料理やインテリアに限らずファッションや楽器演奏などある程度の慣れを克服した先に楽しさや価値が見えてくる。その最たるものがIKEAと鯖であり、一見間口が広いようでクセが強くて実は扱いにくいため克服した時に見える地平線はまさに曙の一線ようなスケールであり折り紙の端と端のような時空の歪みにより二点間距離が0なのだ。


そう、IKEAとは鯖であり、鯖とはIKEAだったのだ。まさに真理にたどり着いたのだ。


そんな事をボヤッと考えながらカレー食べ終えたとき、
俺はおもむろにため息混じりで「やっぱ、IKEA行きてえな・・」と一言、
やっぱり消えない未練の思念を遥か港北に飛ばすのでありました。


※このカレーに適した鯖缶

・レモン風味が爽やかでカレーにした時の仕上がりが良い


・値段の割に高品質、クセがない

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