ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

新しいお金 電子マネー・ポイント・仮想通貨の大混戦が始まる / 高野 雅晴

2007å¹´06月15æ—¥ | èª­æ›¸
電子マネーなどの現状について、俯瞰的にまとめられた一冊。しかし、この楽観主義さはどうなんだろ
うか。


新しいお金 電子マネー・ポイント・仮想通貨の大混戦が始まる


以前、ANAとEDYの交換が始まった際に、貨幣制度の崩壊が始まったと書いた。これは、ポイントという企業通貨が独自の経済圏とてして、国家が保証した通貨である「円」とは別の経済圏を産み出しかねないという直感から。

仮にEDYだけであれば100円をチャージすれば100円分のEDYが手に入れられる(基本的に120円分のEDYを提供されることはない)。しかしこれがANAなどの企業ポイントと交換出来るとすると、果たしてそれぞれのポイントのもつ価値はどう担保されるのか。ANAポイントが自社内だけで閉じていれば、発行量にしろ1ポイント辺りの価値にしろ自由に決めても問題はない。しかし実際の貨幣に近いEDYと交換可能となると、結果、徒に発行されたANAポイントが実質的な貨幣として流通してしまうことになる。片方で1円と等価として発行されているものがあり、それと同等に1企業がその裁量において発行したものと同等となる。そうなると円の信頼性さえ問われかねない。

そうした企業通貨の暴走をかろうじて防いでいるのは会計制度による制約が働いているからだろう。その辺りの仕組みや問題に言及されていないのは残念なところ。

またエコマネーを例にして、ポイントや電子マネーが「労働」の対価としての貨幣としてしまうのは、問題を正確に捉えていないといえる。

ポイントにしろ、電子マネーにしろ現状、「企業通貨」が「投資」ではなく「消費」のために利用されているとはいえ、発行側の企業にとっては、事前にリアルなお金を集めつつ、利用された店舗への支払いまでに時間差を生じさせることが可能になる。これは何を意味するのか。

当然、企業としては支払い前に集めたこの資金を運用に回すだろう。つまり企業通貨の利用者たちは「労働の対価」としての貨幣として利用するかもしれないが、発行側の企業にとってはより大きな「資本の論理」を追求するためのきっかけとなるのだ。

このことについての記述がないというのは、あまりに現状認識が甘すぎる。少なくともポイントを発行している側なら誰でも気付いていることであり、あるいはあえて触れていないか、だろう。

今、ポイントが氾濫しているのは何故か、流通系が独自の電子マネーを発行するのは何故か、そう考えると僕は安易に楽観主義にはなれない。


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