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大そうじへの備え
novel-kimiame.pokemon.co.jp
一 門を出た途端、吹き抜ける風が柔らかに色鮮やかな草花を揺らした。頬へぶつかる風に混じる、乾いた土と草木のみずみずしい香り。 膝丈ほどの高さに伸びた草の隙間からは、丸みを帯びた形をしたピンク色の生き物が動き回っているのが見える。〈わたくさポケモン〉のハネッコだ。その近くには〈わたげポケモン〉のメリープの姿もあった。ふかふかの体毛に草のかけらが絡まっている。 ポケットモンスター、縮めてポケモン。この不思議な生き物は、人間と同じように昔からこの地に棲すみ、生きている。 伸び伸びと過ごす野生のポケモンを見ていると、ネモは自身の心臓が強く高鳴るのを感じた。冒険の予感に胸が躍る。モンスターボールのなかではきっと、仲間のポケモンたちもその目を輝かせていることだろう。 ポニーテールにした黒髪を結び直し、ネモは記念すべき一歩を踏み出す。 天気は快晴。旅立ちにふさわしい青空が、その頭上に広がっていた。 ネモ
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