選択肢があってこそ、サービスの競争が始まる
── 速度といえば、以前、週刊アスキーの記事のために、ソフトバンクのiPhone 4と、U300を差したSIMロックフリーのiPhone 4の通信速度を何度か比較したことがあります。ソフトバンクのほうは通信速度がばらけていましたが、U300のほうが安定して300kbpsの速度が出ていた。ソフトバンク(のSIMが挿入されたiPhone)ではウェブを読み込まないことがあります。これはなぜですか?
福田 データ通信において、誰かの端末で速度が出ているときは、別の人のパケットが詰まっている状態なんです。それは「QoS」(Quality of Service、通信における帯域や遅延の管理)がきちんとしていないから。
現状、光ファイバーでも遅いときは遅いんです。だからQoSがしっかりしているNGNに移行しようと話しているわけです。たとえば動画であればこれぐらいの速度にして、それ以上のものは流さないといったような、徹底したQoSをかけていかないと、安心して快適に使えない。アプリケーションごとにパフォーマンスが出るように調整していくのが大切なんです。
── そうですよね。最高速度は速いけどたまにつながらなくなるソフトバンク回線と、ベンチマークでは遅いけどきちんとつながるドコモ回線のどちらがいいかと言われたら、後者のほうが快適だという。
三田 QoSという概念をみんな意識してないことは、僕らも不思議に感じています。たとえば毎朝、自宅まで迎えにきてくれるタクシーのサービスに申し込んだとして、たまに迎えに来なくなるというのはあってはいけないですよね。それが通信ではどうして許されるのか? それで満足できるのかといわれれば絶対にダメですよ。
今は消費者がそれしか選択肢がないから、許している状況なんです。(僕らがSIMカードという)オプションを与えて、やっと満足できないことがわかると、そこからやっとサービスの競争が始まるわけじゃないですか。
── iPhone 4以外で使えて、U300よりも通信速度が速い「U1000」のような製品を出す予定はないんですか?
福田 それは他社さんが7.2Mbpsとして出しているデータ通信サービスと一緒になりますよね。(データ端末であれば)現実問題として、1000kbpsを超えることはありますが、平均では1000kbpsに達していない。それでは遅く見せるだけで、他社さんの7.2Mbpsのサービスと一緒になってしまう。
── 今回、ナンバーポータビリティーは用意されていますか?
福田 対応しています。7月30日にU300に音声通話を足した「talkingSIM」を出しましたが、そこからナンバーポータビリティーに対応していて、結構、移動してくれてくれてきている人が結構多いです。
当社のSIMカードは契約の2年縛りなどがないのもメリットです。「talking b-microSIM プラチナサービス」も、使い始めてからいつでも辞められます