「iPhone 4を思い切り快適に使いたい」
── SIMカードのみを出すという売り方は、SIMロックされた端末が大多数の日本では珍しいです。iPhone 4向けのSIMカードを出すに至った経緯を教えて下さい。
三田 僕たちは(総務省の「モバイルビジネス研究会」で話し合いが始まった)2007年に、いずれSIMロックが解除されると思っていたし、日本の移動体通信にとってSIMロックの解除というのは、オープンな環境を構築するための最後のステップだと考えている。
この4月にドコモ向けのSIMカード「b-mobileSIM U300」を出したんだけど、今でも何千台という数の注文が毎月入ってきているので驚いている。そして「これはお客様が期待していることだ」と。今回、iPhone 4向けのSIMを出したのも、SIMロック解除の流れを強化するためのひとつです。
── iPhone 4向けのSIMを実現するのに、一番困難だったことは何ですか?
三田 福田が「月額3785円」って先に値段を出しちゃったことだよね(笑)。
── 8月6日に先行での予約受付を発表したときですよね? iPhone 4用のSIMはU300とは異なり通信速度の制限がありません。福田さんが最初に価格を発表されたときは、速度制限は念頭にあったんですか?
福田 U300の通信速度では、iPhoneを使うには力不足だなと感じていました。僕も使っていて、特に動画系ではちょっと速度が足りない。ひととおりの機能を使うためには、U300+αくらいの速度を実現したい。でも価格はある程度抑えたい。
僕の素直な気持ちを言わせていただければ、「iPhone 4を思い切り快適に使いたい」ということです。だからそれをコンセプトに据えています。
速度に加えて、とにかくいろいろな人からの要望で一番多かったのは、「iPhone1台で済ませたい」ということでした。iPhoneは「2台目需要」という風にいわれることがあります。僕も家でiPhoneがつながらないので、iPhone以外に音声通話用にドコモを持っています。でもやっぱり1台で済ませたいですよね。
テザリングも重要です。カバンにケータイを入れたまま、MacBook Airを取り出してBluetoothでそのケータイにアクセスしてネットにつなげる。もともとそんなテザリングの理想像を持っていて、それを実現したかった。
今回の「talking b-microSIM プラチナサービス」を導入すると、通話用のケータイも、パソコン用の通信端末も持っている必要がなくなる。僕でいうとiPhone 4とMacBook Airを持っていけば、仕事に必要な環境がすべて揃ってしまうんです。しかも契約は1つだけ。そもそも論として、iPhone/通話用ケータイ/データ通信端末と3台を別々に持つより、1台のほうがいいよねと考え直したわけです。
でも、最後の最後まで3785円と発表したことも悩んでました。だから23日の製品発表会のときには、お詫びから始めたわけです。僕もいろいろ製品発表会をやってきましたが、お詫びから始めたのは初めてでした(笑)。