■「母は、私の人生にずっと“終わり”という言葉をかけてくる」
私は結婚したとき、実母にこう言われた。
「浮気したいなら男紹介したるで」
冗談のつもりだったのかもしれない。
でも、頭が真っ白になった。
その後、子どもを妊娠したときにも言われた。
「子ども産んだら人生終わりやで」
私はその時、笑って流した。
というか、流すしかなかった。
真正面から受け止めたら、たぶん立っていられなかったと思う。
でも今になって思う。
あれは全部、母の“感想”だったんだと。
母は、自分の人生を「終わったもの」と感じている人なんだと思う。
結婚して、子どもを産んで、自由がなくなって、
女として扱われなくなって、我慢ばかりして、
「ここから先は消化試合」だと感じながら生きてきた人なんだと思う。
だから、私が結婚したときも、
私が母になったときも、
母は「どうせ不幸になる」という前提の言葉しか渡せなかった。
「浮気してもいい」
「人生は終わる」
それは忠告でも助言でもなく、
ただの“自分の人生への絶望”の押しつけだったんだと思う。
正直、ずっと気持ち悪かった。
娘の結婚に対して、浮気の話をする感覚も、
出産・育児に対して「終わり」と言い切る感覚も。
でも最近やっと、少し距離を取って考えられるようになった。
あの言葉は、私に向けた言葉じゃなかった。
母が、自分自身に言い続けてきた言葉だったんだ。
私は、母とは違う人生を生きている。
結婚しても終わらなかった。
子どもを産んでも、人生は続いている。
大変だけど、確かにしんどいけど、
それでも「終わり」なんかじゃない。
母の呪いみたいな言葉を、
これ以上、自分の中に住まわせないようにしたい。
あれは母の人生の感想文であって、
私の未来の予言じゃないのだから。
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