翌日は、二人で遅い朝食を食べた後、さすがに基も部屋から出て来なかったし、葵もリビングで借りてきた映画のビデオを観てぐったりと一日を過ごした。昼食は飛ばして、少し早めの夕食を終えた後、母から電話がある。
「大丈夫? ちゃんと食べてる?」
「うん、適当に作って食べてるから大丈夫。おじいちゃん達は元気?」
「元気よ。でも、やっぱり葵に会えなくて寂しがってるよ。それに、基にも会うのを楽しみにしてたみたいだから」
「そ、そっか…」
「何か他に必要な物とかあったら―」
「ないない、何もないよ。だって、たった一週間のことだし」
たった一週間の、しかし、まだ二日目なのだ、ということに葵は話しながらずっしりとしてしまった。今日は平和に過ごせたけど、あと5日間も残っているのだ。
「そうね。じゃ、基と仲良くね」
「分かってるって」
内心、ぎくりとしながら、葵は笑ってみせた。
仲良く―。仲良くなんて出来るのか? あんな鬼畜の弟と。そもそも、似てる部分があるなんて思ったのは錯覚だったのではないかと葵は思い始めている。本当に血が繋がっているんだろうか? と。
しかし、同時に確かにあれは弟だと、葵の深い部分では分かっている。決して血を交えてはいけない相手だと。そして、食事のときに見せたような妙にちぐはぐな優しさ。葵が作った食事が、慣れない味付けに多少失敗しても、水加減を間違えて煮物が汁物に近くなったりしても、基は一切文句を言ったりしない。淡々と食事を進め、最後に「ありがとう」と微笑む。そういう部分に、葵は胸がきゅんとなるような感動をおぼえてしまうのも本当だった。
基は、日常の中では、ごく普通の男の子に見えなくもない。
だけど、葵だけが感じていた違和感。そして、その正体―。
「大丈夫? ちゃんと食べてる?」
「うん、適当に作って食べてるから大丈夫。おじいちゃん達は元気?」
「元気よ。でも、やっぱり葵に会えなくて寂しがってるよ。それに、基にも会うのを楽しみにしてたみたいだから」
「そ、そっか…」
「何か他に必要な物とかあったら―」
「ないない、何もないよ。だって、たった一週間のことだし」
たった一週間の、しかし、まだ二日目なのだ、ということに葵は話しながらずっしりとしてしまった。今日は平和に過ごせたけど、あと5日間も残っているのだ。
「そうね。じゃ、基と仲良くね」
「分かってるって」
内心、ぎくりとしながら、葵は笑ってみせた。
仲良く―。仲良くなんて出来るのか? あんな鬼畜の弟と。そもそも、似てる部分があるなんて思ったのは錯覚だったのではないかと葵は思い始めている。本当に血が繋がっているんだろうか? と。
しかし、同時に確かにあれは弟だと、葵の深い部分では分かっている。決して血を交えてはいけない相手だと。そして、食事のときに見せたような妙にちぐはぐな優しさ。葵が作った食事が、慣れない味付けに多少失敗しても、水加減を間違えて煮物が汁物に近くなったりしても、基は一切文句を言ったりしない。淡々と食事を進め、最後に「ありがとう」と微笑む。そういう部分に、葵は胸がきゅんとなるような感動をおぼえてしまうのも本当だった。
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