かねてより、"がんの根治" のためには「がん幹細胞」までを一掃することが必要であり、さもなければ "再発や転移の原因" を残すことになる、とされて来た。
◆ 参照 当誌過去の "" 関連記事
(1) <......がん細胞を生み出すもとになる「がん幹細胞」が、抗がん剤を加えても死滅せずに生き残る仕組みの一端を、大阪大の小関準特任助教(理論生物学)のチームが明らかにし、英科学誌電子版に11日発表......> ( 抗がん剤でも死滅せず生き残る"がん幹細胞"の仕組み解明!薬剤耐性治療に道!(阪大)/当誌 2016.02.13 )
(2) <......がんの再発や転移の原因とされ、「がんの親玉」とも呼ばれる「がん幹細胞」は、細胞の鉄分を取り除けば抑え込める可能性があるとの研究成果を、岡山大の大原利章助教(免疫病理学)らのチームがまとめた。 がんを根本的に治す治療法の開発につながるという。8日から名古屋市で開かれる日本癌(がん)学会で発表する......> ( 「がんの親玉」="がん幹細胞"、体内の鉄分除去で抑える!根本的治療法開発の可能性!/当誌 2015.10.10 )
今回注目する下記引用サイト記事 : 大腸がんの「幹細胞」殺す物質作製 国立がんセンターなど/日本経済新聞/2016.08.26 - 21:42 は、 <国立がん研究センターや理化学研究所などは26日、大腸がんのもとになる「幹細胞」だけを殺す新しい化学物質を作ったと発表した。がん幹細胞ができるのに必要な情報伝達を邪魔する働きがあり、マウスを使った実験で効果を確かめた。抗がん剤が効かなくなった大腸がんの新しい治療薬になる可能性がある> と報じている。
<......大腸がん幹細胞は従来の抗がん剤が効かず、再発や転移の原因となっている。研究グループは、がん幹細胞の情報伝達経路を遮断する「NCB―0846」と呼ぶ新しい化合物を作った。経路を遮断されると、がん幹細胞は死ぬ。 人間の大腸がんを移植したマウスに、この物質を注射したところ、がん幹細胞がほぼ消えた。動物実験をさらに進め、1~2年後の臨床試験実施を目指す。 国内で大腸がんで死ぬ人は年間約5万人。転移がなければ手術で治るが、転移して再発した場合、抗がん剤を併用して治療を続けるうちに抗がん剤が効かなくなる。このため、転移がある大腸がん患者の5年生存率は約15%にとどまっている> とある。
大腸がんの「幹細胞」殺す物質作製 国立がんセンターなど/日本経済新聞/2016.08.26 - 21:42
国立がん研究センターや理化学研究所などは26日、大腸がんのもとになる「幹細胞」だけを殺す新しい化学物質を作ったと発表した。がん幹細胞ができるのに必要な情報伝達を邪魔する働きがあり、マウスを使った実験で効果を確かめた。抗がん剤が効かなくなった大腸がんの新しい治療薬になる可能性がある。
大腸がん幹細胞は従来の抗がん剤が効かず、再発や転移の原因となっている。研究グループは、がん幹細胞の情報伝達経路を遮断する「NCB―0846」と呼ぶ新しい化合物を作った。経路を遮断されると、がん幹細胞は死ぬ。
人間の大腸がんを移植したマウスに、この物質を注射したところ、がん幹細胞がほぼ消えた。動物実験をさらに進め、1~2年後の臨床試験実施を目指す。
国内で大腸がんで死ぬ人は年間約5万人。転移がなければ手術で治るが、転移して再発した場合、抗がん剤を併用して治療を続けるうちに抗がん剤が効かなくなる。このため、転移がある大腸がん患者の5年生存率は約15%にとどまっている。
上記記事での<がん幹細胞の情報伝達経路を遮断する「NCB―0846」と呼ぶ新しい化合物を作った。経路を遮断されると、がん幹細胞は死ぬ> とある点に期待が向けられる。 ただ、"正常幹細胞" への波及はどう抑制されるのか? マウス実験では、<がん幹細胞がほぼ消えた> とあるわけだが、"ほぼ消えた" という結果で十分なのであろうか? がん幹細胞は、"抗がん剤耐性" を得るほどにしぶとい活性力を持つため、生き残ったわずかな "がん幹細胞" が再度立ち上がってくる可能性が懸念される...... (2016.08.29)
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