第2期トランプ政権の発足以来、イーロン・マスクらによるアメリカ連邦政府の破壊ぶりを戦慄しながら見ています。海洋大気局(NOAA)や航空宇宙局(NASA)の業務が縮小されたら日本に住んでいる人間にも直接影響が及ぶと思うので、まったく他人事ではなくなっています。政府機関だけじゃなくて、公共放送のNPRなども標的にされており、迷惑な話です。
心配なのがWikipediaです。民間の非営利団体が運営しているのだから、政府が口を出す筋合いはまったくないと思うのですが、彼らは薄弱な根拠でもあれば十分で、自分たちに都合の悪いことに関しては歴史を改竄することもいとわないでしょう。
Wikipediaは仕事でも調べ物の入口として使っていて、英語版の充実ぶりは話者が多いので当然ですが、日本語版もかなりよくなっています。出典を明記するなどガイドラインに沿って記述すれば、そうそう変な内容にはならないはずですから。問題があれば多くの場合、ボランティアによる指摘が入り、善意の人が修正することになります。もちろん、人の目が足りない分野で未修正のまま放置されている項目も多いとは思いますが。半可通が「ウィキは信用ならない」とよく言いますが、そんな単純な話ではない(そもそもWikipediaを「ウィキ」と呼ぶのがよくわかってないしるし)。派生プロジェクトのWiktionaryも同様に充実してきています。
もともと閲覧者が簡単に書き換えることができるwikiという仕組みに基づいたサイトで、初期インターネット特有の楽観性というか人間の善意への信頼があって成立しているものです。その脆弱さは誰の目にも明らかですが、逆に言えば、ネオナチ野郎どもが世界の大部分を支配する世界になってもWikipediaには(ある程度の)信頼性が保たれているということになれば、まだ希望は持てると思うのです。
巨大な商業サイトがことごとく闇堕ちして例外を挙げるのが難しくなっている今、パンドラが開けた箱に最後に残っているまっとうな大規模サイトとして、Wikipediaはこれまで以上に大事にしていかなければなりません。
というわけで、寄付もしていくつもりですが、記事の充実にも貢献したいと思い、英語版に記事を作成してみました。スペイン語版からの翻訳です。
ニック・デカロはこれまで日本語版とスペイン語版だけがあって、なぜか英語版がなかったので。スペイン語版では日本語版になかった山下達郎との関係についても触れられています。
英語版から日本語版への翻訳による記事の新規作成は以前にやったことがあり*1*2、先日また英語版から翻訳しようとしたら「まだ貢献が足りないので草稿しか作成できません」という趣旨の表示が出たので、いったんあきらめました。しかし、新規に作成したことにして「要約」欄に英語版からの翻訳である旨を記述して継承関係を明らかにすれば問題ないかと思い、公開した上で各国語版リンクを編集して結びつけるという形をとりました。今回のスペイン語版から英語版への翻訳も同じ形で実行しました。
個人的な課題としては、画像をどうやって入れるのかというのと、カテゴリの設定をどうすればいいのかがまだわかっていないので、調べておきたいと思います。
また、上記の方法での公開に問題がある、あるいはもっといい方法があるという場合は、ご教示いただければ幸いです。
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(上の動画はProvided to YouTube by Universal Music Groupとあり権利者が公開しているものだと思います。)