読書感想:お兄ちゃんとの本気の恋なんて誰にもバレちゃダメだよね?

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 さて、言うまでもないことかもしれないが、ラブコメと言うジャンルにおいて妹とは妹である事が基本であり、特に実妹と言う存在は基本的にはヒロインになる事は無い。それは何故か。それは実妹と恋仲になるという事は、倫理的にも法律的にもスリーアウトチェンジな行いだからである。それでも実妹がヒロインの作品を楽しみたいと言う読者様は某ヨスガノソラ辺りか三上ミカ先生の作品辺りをお勧めしたい所である。

 

 

そんな前置きはともかく、この作品は一体どういう作品であるのか。作者であられる保住圭先生は、イチャイチャな物語の名手である。その保住先生が、JCが好きと言う自らのリビドーに忠実に描かれたのがこの作品である。

 

 そして、この作品のヒロインは実妹である中学生、ちまり(表紙)である。もう一度言おう、実妹である。つまりは背徳的な愛、禁断の関係である。

 

が、しかし。ここまで読まれた読者の皆様、ここでブラウザバックするのは少しお待ちいただきたい。安心してほしい、この作品に背徳感というものは一文字も存在していないので。

 

妹が世界一可愛い、寧ろ女の子として好き。そんな自分の思いに蓋をするべく高等部進学を機に一人暮らしを始めた少年、千晴。

 

「ちまは女の子として、お兄ちゃんっていう男の人が好き・・・・・・です」

 

が、一人暮らしを始めて約一か月後。彼を追いやってきた妹、ちまりに告白され思いを抑えきれなくなり。千晴はちまりと恋人同士になる事を選ぶ。

 

 そんな二人の前に立ち塞がるのは、指導を受ければ人格改造、拒否したら退学もあり得ると言う不純異性交遊を固く禁ずる校則。その校則へとどう立ち向かうのか。その助けの一つになるのは、兄妹という二人の関係である。

 

普通であれば実の兄妹が恋人同士なんてありえない。だからこそ少しくらいイチャイチャしていても、兄妹だから大丈夫だとなんとか言い訳できる。

 

だが、そんな二人を疑う千晴に一目ぼれした先輩、希衣に絡まれ慌てて否定したり。ちまりの大親友、梢にも疑われてひやひやしたり。

 

 だが、何とかうまくいってしまう。傍目から見ているとそれで誤魔化せているのか、とツッコミたくなるようなドタバタが、結果的に背徳感を打ち消しコメディちっくに仕上げ。その中でちまりと千晴の、初々しい恋人同士の触れ合いが描かれているのである。

 

初めてのデートでいつもとは違う妹にどきどきしたり、久しぶりに一緒にお風呂に入って妹の成長ぶりにどきどきしたり。

 

周囲のドタバタと引っ掻き回しに負けないと、逆に挑戦状を叩きつけるかのようにバカップルぶりを見せつけ。引っ掻き回す者達を巻き込み、新たなドタバタを巻き起こす。

 

「ああ・・・・・・ずっと、ずっと深めていこう。どこまでも・・・・・・さ」

 

実の兄妹の悶絶レベルのイチャイチャ、そしてドタバタに全振りし。背徳感を置き去りにコメディに仕上げ。怪作として見ても面白いが、ラブコメとして純粋に見ても面白いのがこの作品である。

 

いちゃいちゃに特化したラブコメを読みたい読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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