読書感想:隣の席の王女様、俺の前だけ甘々カノジョ

 

 さて、隣の席に王女様に限らず身分の高い子供が居たりするのはラノベではまぁまぁよくある事と言えるかもしれない。現実に考えればそんな事はめったにないであろう。例えば皇族の方々は一般的な学校には通う事もなく、有名な学校だったり大学に通っている事も多い。得てしてそういう学校は一般庶民からすれば届かない世界である、というイメージが強い方もおられるかもしれない。実際私もそんなイメージがある。

 

 

だがしかし、この作品は言うまでもなくライトノベルである。故にそう言う状況も発生する訳で。この作品はそんなロイヤルな相手との甘々なラブコメなのである。

 

異世界の王国、マギパステル。魔導において並び立つ国なしと呼ばれるこの国は学問にも力を入れており。主に貴族の子女が通う王立魔導学園パレットにもまた特待生の制度があり。主人公である平民の少年、ハイムは入試で満点を叩きだし。現国王以来の天才として、授業料全免除の特待生として通っていた。

 

「俺は魔術が好きなんだ」

 

だが貴族ばかりの中、平民の彼は目立つもの。大貴族の次男、グオリエが作り出したクラス内での排斥の空気。しかしそんな空気もどこ吹く風と、唯一自分を心配してくれる級友、フィーアに心配されながらも彼は実力を隠しながら、研鑽に励んでいた。

 

「おお、ようやっと正体を明かしたか。いや、思った以上に長かったの」

 

そんなある日、フィーアの正体は実は正体を隠していた、国の至宝と呼ばれる第三王女、ステラフィア(表紙)と判明し。記憶を消されそうになるも自動的にレジストしてしまい。父親である国王に相談した所、そも特待生とはこの世界の魔術の歴史を変え得るほどの素質を持った者にのみ許されるもので、妾腹の生まれである為王位継承権がない彼女がハイムとくっつけば、爵位を与えた上で王家に取り込めるからと逆に応援されてしまい。 立ちはだかるであろう問題に立ち向かう覚悟を決め、二人の関係が始まる。

 

「わ、私と付き合っちゃえば、全部解決しない!?」

 

唯一の秘密を知る者として、彼女が授業前にしている善行をお手伝いしたり。不意に密着した璃、彼女の作ってきたお弁当を食べたり。それが面白くないのが、正体は知らねどステラフィアを狙っているグオリエである。 ハイムの方から決闘を挑ませ自分に有利な条件を持ち出すべく、嫌がらせを始め。 それに手出しさせぬために彼女は偽装の恋人になることを提案し。不器用ながらも更にイチャイチャする中、ハイムの中で大きく育っていく恋慕の気持ち。 それに水を差すようにグオリエは、二人の憩いの場である図書館を燃やしてやると脅して来て。ハイムもまたブチ切れて、決闘を挑む事に。

 

「でも、問題ない」

 

さぁ、やるべきことはなんだ? 簡単な事だ。消させるな、その思い。忘れるな、大切な事。 裏切るつもりもない、彼女の信頼を。それを胸にぶっ〇せ、もとい勝ち抜け。

 

「―――問題ない」

 

解き放つのは隠していた牙、抑えていた本気。この世界を変えうるかもしれぬ、才能の片鱗。 その前に木っ端な悪人、お邪魔虫のかませなど相手になる筈もなく。

 

「―――好きだ、フィーア」

 

「ハイムくんが、好き」

 

その先に結ばれるのは、本当の特別。偽物ではない、本物の関係。

 

とーんと恋に落っこちきる、この甘々さ、正に悦い。悪人もなにもかもぶっ飛ばして言うカタルシスありのラブコメを楽しんでみたい読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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