yuhka-unoの日記

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「生きる力」とは、自分の人生を自分で決めていく力

昨今の子供の教育については、「生きる力」という言葉がよく言われてきた。「生きる力」が具体的にどういうものなのかは、個々人が様々な考えを持っているが、私が考える「生きる力」とは、自分の人生を自分で決めていく力のことだ。
そのためには、自分がどういう人間なのかを知るために、自分自身に向き合わなければならない。自分は何が好きなのか、何に興味があるのか、何に向いていて何に向いていないのか、どういう生き方をしたいのか…
それらを踏まえて、世間が言ってくる「こうすれば間違いない人生を送れますよ」という声に囚われず、間違いや失敗を覚悟で、自分にとって一番良いと思われる道を選択していくこと、これが「生きる力」だと私は思っている。
 
今の若者の問題の代表的なものとして「ひきこもり」がある。もちろん、ひきこもりになる原因は様々で、一概に言えないことを前提として言うが、ひきこもりの中には、私の言うところの「生きる力」を身につけられなかった人が多いのではないかと思う。
今の若者の親世代は、「良い学校→良い就職先→良い人生」というレールに乗れば人生安泰という「世間の声」を内面化してしまっている人が多いのではないかと思う。そのレールから脱落してしまったら人生終わりという恐怖感を植え付けられている。
親世代は、今はもうそんな時代じゃないと理屈ではわかっていても、植え付けられた恐怖感が拭いきれず、またそれ以外の生き方を子供に提示できないために、結局子供に「良い学校→良い就職先→良い人生」というレールを敷いてしまう親が多いのではないだろうか。
 
親から生き方を押し付けられた子供は、たまたまその生き方ができる子供なら、一見何の問題もなく育つが、親の押し付けた生き方に向いていない子供の場合は悲劇だ。子供自身が「親の押しつけは自分に向いていない」と自覚できる場合ならまだ良いが、自覚できない場合は、子供は親に認められたいがために、無意識に親の望む子供になろうとし、実際の自分を押し込めて、親が押し付けた生き方を自分が望んだ生き方だと思い込む。そして、本当に自分がやりたいことや自分の向き不向きがわからなくなっていく。本来なら、自分自身に向き合い、「生きる力」を成長させていく貴重な年月を、親の望む子供になることに時間と労力を費やしてしまい、「生きる力」の成長を停滞させてしまう。
こういう生き方をしていると、年月が経つにつれ、徐々に徐々に歯車が噛み合わなくなっていき、とうとう歯車が外れた段階で「ひきこもり」になる。
 
「良い子がキレる」というのは今日ではよく知られた話だが、ひきこもりになりやすいのも実は「良い子」だ。
こうして見てみると、世間から見れば、学校に行ったり働いたりしている状態が「正常」で、ひきこもりは「異常」に見えるが、本人にとっては、むしろひきこもりになる前のほうが「異常」で、ひきこもりになってからのほうが「正常」だと言える。
 
今の若者は、「生きる力」を身に付け、世間の常識に囚われずに自分の人生を切り開いていく若者、「良い学校→良い就職先→良い人生」というレールに囚われてしまっている若者、その生き方が合わなくてひきこもりになってしまった若者がいる気がする。おそらく今が新しい価値観に移行する過渡期なのだろう。
ちなみに、この中で一番ひきこもりに対して嫌悪感を持つのは、「良い学校→良い就職先→良い人生」というレールに囚われてしまっているタイプだと思う。このタイプは、本質的にはひきこもりと同じだが、たまたま今まで歯車が外れずに来てしまったタイプだ。本当は自分で自分の人生を選びとっていないから、「自分はこんなに我慢しているのに…」と、自分の生き方に不満を抱えている。
 

子どもを育ててきて、やっとわかったこと
http://d.hatena.ne.jp/rieronlibrary/20110729/1311907980
 
○「全力でなになにする。」「力の限り努力する」という大方のヒトが目標にする生き方とは全く別の流れで生きていくヒトがいる。

○全力を尽くすことは、人間としてあるべき姿というのは必ずしもあたってない。

○「力半分主義」だからと言って、何にもしないで流れているわけではなく、力半分しか出さなくてすむための努力をしているからこそ、力半分で生きていける のだ

たぶん、二女さんは「全力でなになにする。」「力の限り努力する」という生き方が向いていないのだろう。そして、それを自分でよくわかっている。
いくら世間から安定した進路と言われていても、その生き方が自分に向いていなかったら、結局すぐ辞めてしまうことになるので、それは自分にとって不安定な進路だ。逆に言うと、世間から不安定な進路と言われていても、その生き方が自分に向いていて続けていけるようなら、それは自分にとって安定した進路ということだ。
二女さんは、「生きる力」が十分に身に付いているので、きっと大丈夫だと思う。もし失敗したとしても、そこから学んで立ち直っていけるだろう。逆に「生きる力」を身に付けられないまま、親から「全力でやりなさい」「力の限り努力しなさい」と駆り立てられた人がどこかで壊れてしまうのはよくあることだ。そしてこういう人はなかなか立ち直れない。
 

@daijapan 為末 大
多くの人が限界を作らない事が、モチベーションは無尽蔵に湧いてくる事だと勘違いしている。限界に挑もうとする人ほどモチベーションが全てだと知っている。モチベーションは乱暴に扱えば途切れる。知ってる人は井戸を涸らさないように大事に大事に扱う。
http://twitter.com/#!/daijapan/status/96398522550714369

子供のモチベーションを乱暴に扱って井戸を涸らしてしまう親は多い。
 
 
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