2/27日朝日新聞朝刊での斉藤誠氏のインタビューについて

 2/27日朝日新聞朝刊に一橋大学の斉藤誠氏のインタビューが掲載されています.長期経済停滞・世界同時不況における経済学の役割についてが主題.インタビュアー(原真人氏)の「ノーベル経済学賞でも、危機に真っ向から挑む受賞者は出てこない」や斉藤誠氏による現在の円安は経済政策の効果ではないという主張など,個別に反論したいところもありますが,これは賛否両論ある事でしょう.


そういった経済学的な論点はさておき,非常に問題のある主張が行われています.

(原真人氏)一方で安倍首相のブレーン、浜田宏一エール大名誉教授のようにリフレ政策を強く主張する学者もいます。誰が正しいのか、経済学で決着をつけられないのでしょうか。


(斉藤誠氏) 「経済学は、成長には構造改革が必要だとか、財政規律は維持すべきだといった『長期』のことはかなり明確に言えます。だが政府・政党が毎年決める個別の経済政策のような『短期』のことはさじ加減がいろいろある。僕ら象牙の塔の人間は良しあしを言いにくい。ところが経済学者の中にもさじ加減にまで口を出す人たちもいます。たぶんそういう人たちはスポンサーがいて、その意向で議論を展開しているのでしょう。アカデミックな経済理論に支えられているわけではないと思います」


http://digital.asahi.com/articles/TKY201302260679.html


浜田先生に関する質問を受けて,

そういう人たちはスポンサーがいて、その意向で議論を展開している

 これはどういう根拠に基づく発言なのでしょう.浜田先生個人に関することでないと言われるかもしれませんが,それならどの学者に対しての発言なのでしょう.これは議論ではなく名誉毀損の問題だと考えていおります.そのような意図はないとおっしゃるかもしれませんが,「○○氏は(または金融政策批判派は)外国勢力から金を貰って意見を主張している」と書かれたらどう感じるか(反応するか)考えていただきたい.

だが政府・政党が毎年決める個別の経済政策のような『短期』のことはさじ加減がいろいろある。僕ら象牙の塔の人間は良しあしを言いにくい。

をもって個別具体的な政策に言及するエコノミスト全体を指しているというならば,財政政策・金融政策といったマクロ経済政策に言及しないで政策を語るエコノミストの方が希でしょう.斉藤氏自身がアベノミクスの金融緩和姿勢について「政府・政党が毎年決める個別の経済政策のような『短期』のこと」に当該記事で(批判的に)言及されている.すくなくとも「あし」は言っているように思えてなりません.


 コストプッシュの話など個々に指摘したい点もありますが,そういうの吹っ飛ぶくらいビックリしてしまったので急ぎ久々のblogを書いてみました.